とんでもなく格好悪いふられ方をしてしまう。。。。。。。。嗚呼。。。。。。。
―『桐島、部活やめるってよ』(公式)
バレー部のエース、桐島が部活を辞めるということを中心にその周辺の人々の人間模様を様々な視点から徐々に描き出していく。前半は『メメント』のように、桐島が部活を辞めるという噂が学校中を駆け巡った日の夕方からその日の朝へと、学校の中の生徒のそれぞれの視点から切り出されていく。エースである桐島に抜けられたバレー部の面々。部活を辞めることを知らされなかったスクールカースト上位層の親友・友人に彼女と彼女の友達。桐島とはゆかりも無いスクールカーストの下部に位置する映画部の面々などなど。
ラストと思われるところで、桐島を巡ってあたふたしたり、怒っていたり、関係なく過ごしてきた人々が一堂に会して、屋上で乱闘騒ぎが繰り広げられる。映画部の前田はその中でゾンビに扮していた部員たちにやつらを襲えと言い放ちその模様を撮影。スクールカースト最下層が運動部やモテ層を襲うという大逆転劇。その祭りの後に、野球部幽霊部員の宏樹は好きなことに一生懸命な前田に親しげに声をかける。そして将来は映画監督にでもなるの?と声をかける。でも前田は…その言葉を聞いた時の宏樹の表情。
明らかに宏樹は持つ者であり、前田や野球部の先輩は持たざる者。映画が好きで、映画秘法を読み、高校の映画部で仲間たちと楽しく映画を撮っているにも関わらず、将来は映画監督になれるとは思っていない前田。田舎のそんなに強くない野球部キャプテンで、プロのスカウトなんて来るはずもないのに3年になっても野球部に席をおき、試合に出ている。プロになれるとは思ってもいないのに、かすかにどこかでプロになれることを期待してドラフト会議のその日まではユニフォームを脱がない、脱げない野球部の先輩。
頭も良く、ルックスも良く、運動神経もあり野球部への復帰を望まれ、くそ女ではあるもののスクールカースト上位の彼女がいる宏樹は明らかに持つ者。でも宏樹には何も無い。前田との会話や先輩が野球部を続ける理由をしり、最後に宏樹は涙を流す。あの涙って持つ者の持たざる者への哀れみ、悲しみなのかなとぼくは思いました。あれだけ好きなことに没頭し、一生懸命好きなことに日々を費やしているのに前田や先輩は自分たちの分をわきまえているというか、知ってしまっている。それを思って泣いているのかと。
一方でその涙は決意の涙なのかもと。おそらく宏樹はその後、野球部に復帰する。そして何にも無いくそ女の彼女とは別れるのだろうか。そして吹奏楽部部長の亜矢と付き合うのかと。そして宏樹はぽっかり空いた部分を埋められる。桐島は物語の中心であり、欠落している。登場人物はみなどこか欠落している。宏樹のそれは打ち込むべきもの?だからこそ彼は自分がそれを見つけた?時に涙したのかもしれない。…エンドロールで高橋優が書き下ろした『陽はまた昇る』がかかる。どんな人にも平等に陽はまた昇り繰り返すと。前田にも先輩にも宏樹にもくそ女にもあ…凄い残酷な映画なんだと。
―「テレビ朝日が視聴率増戦略、日曜洋画でバラエティ」(映画.com)
日曜午後9時「日曜洋画劇場」枠において、今秋から “映画” 編成を中心としながらも、高数字が見込めるバラエティなどのスペシャル企画も投入していく方針とした。
<中略>
「日曜洋画劇場」は、45年の歴史を誇る洋画番組のパイオニア。昨秋から10分枠大して強化しているが、今回、洋画大ヒット作の減少傾向や視聴率などを考慮し、映画とバラエティSPの混在放送枠に変更するものと見られる。既にこの枠で、6月17日「池上彰の学べるニュース」(15.2%)、7月1日「とんねるずのスポーツ王は俺だ!」(18.51%)、9月2日「無人島0円生活3時間SP」(18.3%)を放送、いずれも高視聴率をマークし、映画の平均的な視聴率を上回った。ただ、非映画作品が月1回ペースになるのかどうか、その割合については、平城隆司取締役編成制作局長は「検討中」と話す。
(上記記事リンクより一部抜粋引用)
最古参の映画枠にもついに縮小の波がやってきているようです。数年前から「日曜洋画劇場」の後ろにドラマ枠を作ってみたり、最近では「日曜芸人」というバラエティ番組を放送したり、「日曜洋画劇場」自体を休止してバラエティ番組を放送しており、明らかに”狙われ”ていたと素人ながら思っていましたが、それがもはや現実味を帯びてきています。
「日曜洋画劇場」番組スタッフもその流れに流されるだけではなく、45周年特別企画と銘打って『ダークナイト』をはじめとして洋画・邦画問わずに精力的に新作を放送してきていますし、最近は少なくなってきたテレビ放送用の新作日本語吹き替え録音も積極的に行い、そればかりではなく、ホームページ上で録音風景までアップしてくれる力の入れよう。
この流れは「日曜洋画劇場」ばかりではなく、もうひとつのテレビでの映画放送の雄、「金曜ロードショー」も今夏から「金曜ロードShow」として映画以外も扱う枠となってしまっており必然ともいえるものになってきてしまっています。ただ不幸中の幸いは現状では「日曜洋画劇場」という看板や枠は残り、あくまでも「日曜映画劇場」の枠で”特別に”バラエティを放送するという体ではあるところです。
新作映画が公開から数ヶ月でDVD化・ブルーレイなどでソフト化されて、レンタルなら1本数百円で、過去作なら100円で観ることが出来てしまうこのご時勢ではテレビで映画を放送するということ自体特別なことではなくなっているのかと個人的には思います。それならば、バラエティを観てしまうのかもしれません。また途中から観るのが難しい映画は現代のテレビ視聴には向いていないかも知れません。(その点で「日曜洋画劇場」はインターバルに前半のあらすじを挟んだりと工夫を凝らしています。)
でもテレビで放送されるからこそ周りと一緒に見ることができる。DVDなどでは出来ないことです。(だからニコニコ動画でもDVDと同期させるといった試みがなされていました。)その恒例が『天空の城 ラピュタ』です。20年以上昔の映画にも関わらず、放送されればツイッター上で作品中の重要なキーワード、「バルス」という言葉がバズワードになりました。いくらネットの利用率が高まってもテレビ放送にはいまだかなわないのです。
またこれは一部の好事家向けではありますが、テレビ放送される映画の大半はDVDで売られているものとは異なるのです。映画の長さは作品によって違うのに、テレビの映画枠の放送時間は大抵同じです。そのため放送時間に合わせて映画が再編集されます。ソフト版とは違った編集が見られるのはテレビ放送版だけなのです。また前述のようにソフト収録版とは異なる吹き替え版が作成さえることもあります。
『日曜洋画劇場』での先日の『ダークナイト』や『インセプション』の新録音はすばらしかったです。また旧「金曜ロードショー」ではジェラルド・バトラー版『オペラ座の怪人』を放送する際には、吹き替えに劇団四季の俳優を使いソフト版では吹き替えでも字幕でしかなかった歌唱シーンも舞台版の日本語訳の歌を用いるなどアグレッシブな日本語吹き替えを行っていました。(のちにこの吹き替えはブルーレイ版に収録されたようですが。)
何が言いたいのかといえば、テレビで映画を放送することってまだまだ需要があるんじゃないのかということです。そしてテレビ局の人も頑張っているということです。ただこのままではやっぱりジリ貧なのでは?とも思ってしまいます。前述の頑張りって一般の視聴者の人は気にも留めていない、あんまり気づいてもいないかもしれませんし。それなら何か新しいことをして欲しい。個人的には淀川長春さんを未だにフィーチャーするならば映画解説を復活させては?と思うのです。というか、町山智浩さんの解説を地上波テレビで観たいですよ。まぁ今のところ映画好き観たいな人しか喜ばないでしょうが。でもあの人の解説は映画好き以外も楽しめるんじゃないかと、映画好きとしては思うのです。