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一般映画より配慮されたド変態ピンク映画『花と沼』

2020-12-26 | 備忘録

alpsnohashi


生まれて初めてピンク映画を映画館に観に行ってしまいました。
今年もそんなに劇場で映画を観られなかったけれど、本作は今年一番劇場で度肝を抜かれました。

映画『花と沼』予告編


同作を撮った城定監督の『アルプススタンドのはしの方』も面白い作品だったけれども、城定監督のホームであるピンク映画の最新作『花と沼』は城定監督の真骨頂と言うべき怪作・快作でこちらの方が好みでした。

生理的に気持ちの悪い言動を繰り返す会社で嫌われ者の沼田課長に対して、気持ち悪いからこそ惹かれてしまう沼田の部下であるOLの花が恋をすると言うド変態な恋愛映画と言うか、心の交流と言うか。

課長の沼田を演じるのが、城定監督組でお馴染みの麻木貴仁さん。花を演じるのが七海ななさん。沼田が気持ち悪いと言う映画内設定が、沼田の見た目ではなく言動に還元されるように配慮されていたり、花が劇中性行為に及ぶ際に性的同意を得て事に及ぶなど、一般映画でも中々ここまで気を使えている映画が無い中でピンク映画でこのような配慮が見られていることにまず驚きました。

気持ち悪い沼田課長の気持ちの悪い生態を、ド変態OLの花が追いかけるシークエンスは爆笑の連続。また、ピンク映画だからこそ濡れ場もありしっかりエロい。正直AVよりも全然エロい。余談だけれどもFANZAのコメント欄での擬似・本物を評価軸に語っているレビューって滑稽だなと思います。

城定監督作品なので『汚れた血』の疾走シーンのようなシーンまであり、主人公たちが疾走し飛躍し、ラストでオチが付く。そしてそして城定監督なのでこれらが70分で完結する膀胱に優しい映画。城定監督の映画を観ると、映画の面白さは予算だけでは決まらないと言う当たり前のことを毎度思い知らされます。

ピンク映画、且つOPフェスと言うピンク映画の限定公開なので、非常に観る機会は少なめなのでプロの批評は少ないのですが、是非プロの批評、特にフェミニズムに通じた方の批評を読みたくなる映画でもあります。機会があれば、是非色んな方に観て頂きたい映画でした。