NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

午後ローの意義というか役割というか

2010-11-28 | 休み
「午後のロードショー」(テレビ東京)


「午後のロードショー」(以下午後ロー)と言えば、学生やニートのゴールデンタイムで地上波の映画枠ではなかなか放映してくれないB級映画だったり、カルト映画だったり、旧作だったり、屑映画を放送してくれる枠ですが、先月ぼくの大好きな『カプリコン1』が放送されていました。もちろんDR録画で、丁寧に編集しましたよ。

『カプリコン1』は『UFOとポストモダン』などでも言及されていましたが、月面着陸は実は成功しておらず、映像はハリウッドのスタジオで録画したものだとするしばしば都市伝説などで語られる月面着陸陰謀説を背景としたサスペンス映画です。陰謀論的な物語背景もすばらしいですが、何より終盤の空撮がとにかくすごい。今あれと同じものが撮れるのかと思えるほどに悪路バティックな画を見せています。

そんなすごい映画なのにBD版が日本では出てない。しかもDVD版では日本語吹き替えが収録されてない!だからこその地上波デジタルが真価を発揮します。この地上波デジタルというのがやはり味噌で、確かにCSやBSでも『カプリコン1』などの作品は放送されていますが、いかんせん本物志向なので9割9部字幕版のみの放送に限られています。だからこそ地上波放送、「午後ロー」が重要なのです。



「木曜洋画劇場」、「水曜シアター9」が終了して久しいですが、こういう古い吹き替え版が好きな人間のためにも何とか「午後ロー」には末永く頑張って欲しいところです。ということで、明日の「午後のロードショー」は野沢那智追悼企画として『アラン・ドロンのゾロ』が放送されます。

さすらい記

2010-11-27 | 仕事
さすらい記

ハンバートハンバートの2年ぶりのニューアルバム。ちょっと悩んだけど買いました。

全体的にやっぱり完成度が高いなぁと思う一方で、毒っ気が減じたかなぁと思います。でもアルバム全体に通底しているのは別離であり、死であったりするのはハンバートハンバートっぽいなぁって思います。幸せそうな「待ち合わせ」ですらラストの佐藤さんの歌唱部分を聞くと、必ずしも幸せな歌ではないんだなぁという思いを感じますし。「引越しの準備」なんかは別離の歌ですし。

関東の人間には東急電鉄のCMソングな「待ち合わせ」。熱狂的なファンというわけでも無いので、記事とかインタビューを追いかけていないので、正確なところは分からないけれど、聞いた印象の限りだとどうにもサビの部分だけ作ってあって、それ以外は後から作ったんじゃないかと穿ってしまいました。だってサビ以外の部分はかなり平坦なんだもの。

「罪の味」。曲自体を知って随分経つけれど、今更ながらこの歌が、罪が指し示すものが自殺のことなのかなぁと思い始めました。だからこそ「とうとうおいらやってしまった 超えては成らぬ線を跨いだ」なわけで、ラストの「後光のような輪っか」であり、「Bye My Honey おしまいだ」なわけで。でも前半を聞くと法律上の罪のような気もするし。アレンジは楽しい。


完成度は高いけど、ちょっと遊びが無いかなぁという印象。でも「おべんとう」とかとっても良いですし、どの曲も良いです。「アセロラ体操のうた」以外は。あれはいくらボーナストラック扱いでも酷いだろと。楽しいけどあくまでCMソングだし、「アセロラ体操」目当ての人を狙って中途半端な曲をボーナストラックだろうが入れて欲しくなかったなぁ。



それにしても、DVD付きの初回版をタワレコで買ったけど、アマゾンだと900円も安い…再販制度から守られてないDVD付きは恐ろしい。シールは付いてたけど。

ハングオーバー!

2010-11-07 | 休み
アメリカで低予算ながら大ヒットしたコメディ映画だったのに、日本ではDVDスルーとアナウンスされ、映画ファンの一部から抗議の声が上がり、結局劇場公開になったといういわく付きのコメディ映画。

『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(公式サイト)
ハングオーバー




ハリウッドのコメディ映画大好きだけど、90年代以降の「サタデーナイトライブ」出身者を中心としてビッグバジェットものの定型感というか、中だるみ、つまらなさが嫌なので、ハリウッドコメディはやっぱり低予算だね!と思わせる映画でした。低予算映画で、コメディながら、というか低予算コメディ映画だからこそ面白い!ブラッドリー・クーパーとか脱ぎっぷりが潔いヘザー・グラハムも出てるし。

下ネタ満載のコメディ映画だけど、ミステリー映画でもあって、記憶を無くした一晩のことを紐解いていくという形で謎解きでもあり、笑いとミステリーが並列に存在していて大きなクリフハンガーになっている。冒頭の荒れ果てたホテルのスイート目を覚ますシーンはコメディでありなら、ミステリーでもある本作を非常に象徴してて、コメディのディティールでミステリーが成立してる。パンチの効き方はどこか池上遼一的。

コメディとしても面白いし、すごくテンポ良い。冒頭の目を覚ますシーンからラストの謎解きまで一気に駆け抜けていって気付いたらラストになってる。終盤、ラストの手前で解決してしまっているので、結婚式のシーンは減速している感(ただそもそも結婚式に間に合うというのが目的だから仕方ないけど)があって、尻つぼみしている感は否めない。でもステュの喧嘩別れとエンドロールのデジカメ写真でしっかりとまとまってる。



ハリウッドのビッグバジェットコメディ映画にありがちなラストの感動や中だるみ感が一切無く次から次へと問題が起こっていって(そしてその問題もコメディ的にも、ミステリー的にも面白い!)飽きない。本当に面白いコメディだと思います。チョーさんの件はちょこっと…

フィリップ、君を愛してる

2010-11-07 | 休み
ゲイの恋愛映画だったからかアメリカ国内では公開できずに先にヨーロッパ・日本とかでの公開になったそうだけど、それなりに分かりやすいゲイ描写があるけれどなんでなんだろうか。


フィリップ、君を愛してる


ジム・キャリーの映画って『トゥルーマンショー』以降、そのオーバー過ぎる演技や雰囲気のせいで個人的にはどれもコメディなんだかシリアスなんだかよく分からない地平にいるように感じる。(だからアカデミーからは完全に無視されてるんだろうけど)『フィリップ、君を愛してる』はもちろんコメディはコメディのような気がしないでもないけれど、やっぱり変な感じなんだよなぁ。

でも今回はジム・キャリーではなく、ユアン・マクレガー。ジム・キャリーはもちろんシリアスのフィールドで役として大暴走を繰り広げるけれども、散々公開時にも言われていたけど、ユアンの目や仕草が女性というかお芝居がノンケには本物に見えるすごさ。まぁガチの人から見れば、誇張表現かもしれないけど、男臭いイメージのユアン・マクレガーのゲイっぽい演技はやっぱり見もの。

全体的には面白いとは思うけど、『ブロークバックマウンテン』とかのガチゲイ映画なガチ恋愛モノではなくて、ハリウッドの最近の流行の「Based on True story」をコメディを基調にさらっと仕上げた系映画。でもだからといってビッグバジェット・ハリウッドスター起用映画特有の定型感、パッケージ感は薄めで、見易い葉見易いけど、やっぱりちょっと微妙だなぁ。



本編を字幕で観た後に、吹き替えで観てみたら、ジム・キャリーの吹き替えが山寺さんでも江原さんでもなく藤原啓二さんだったのが何だか新鮮だった。でもやっぱりジム・キャリーの吹き替えは山寺さんだろと思うのですよ。

トイストーリー3

2010-11-06 | 仕事
まぁ、ヤバイよなぁ。


『トイストーリー3』(ディズニー公式)
トイストーリー3


ぶっちゃけ基本的なストーリーラインは前2作と同じで、アンディの元から引き離され、そこからの脱出を図るというお馴染みのもの。1作目は近所のサイコ少年で、2作目はおもちゃマニア。そして3作目は同じおもちゃ。でもここは水戸黄門的な王道であればこそのべたであり、繰り返しであり、問題は無いんじゃないかと。やはり重要なのはラスト。

『トイストーリー3』で一番重要なのはラストのけりの付け方。ウッディたちの持ち主であるアンディは結局大学へ行くときにウッディだけを連れ、他のおもちゃたちは屋根裏に置いて行こうとする。そして最後にはウッディもおもちゃたちもアンディのその決定を認めて、それぞれの人生を受け入れる。受け入れるんだけれど、『1』からの主題歌が想起される。

最後の最後でウッディは仲間たちと別れることを再認識してしまい、受け入れたはずのアンディの意思を翻して、アンディ宛にメモを残す。それは仲間との未来を選ぶ行為だったけれど、一方で一番の友達で、相棒だったアンディとの別れを意味しちゃう。というか、そんなことをおもちゃ自体が差し向けちゃう。でもアンディもそれを受け入れる。

アンディはウッディの提案を受け入れて、アンディたちおもちゃたちをおもちゃを大事にしてくれる子供の元へ届ける。ある種大人な対応で、おもちゃを手放す青年な様子をアンディは見せるんだけれど、大学にも連れて行くはずだったウッディが子供へあげるおもちゃの中に見つけて逡巡。子供がウッディに手を伸ばすと、拒絶する反応を見せる。


でも結局アンディはウッディたちがおもちゃを大事にしてくれる子供たちといることが幸せだと考え、彼らを手放す。確かに良いシーンなんだけど…アメリカだからこういうラストしかありえなかったのかなぁとも思うけど…不可避な別れなのかなぁとか大学の寮にまで自分の年齢以上のビンテージなプーさんを連れて行った身としてはちょっと思うところがあるのです。日本だったら、他の選択肢もあるんじゃないのかなぁとか思うんです。


『トイストーリー』を観ると、おもちゃを大事にすべきと思うと同時に、軽々しくおもちゃを買えないよなぁって思うのです。ペットを飼うのと同じで最後まで面倒を見る責任があるんじゃないかと、神様ことUFOキャッチャーで取ったたくさんの人形を捨ててきた人間としてそう思います。