NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

ウディ・アレンの現在、『ウディ・アレン追放』

2021-06-19 | 備忘録



猿渡由紀著『ウディ・アレン追放』を読んだ。

現在、ウディ・アレンは自身の養子への過去の性的虐待疑惑で非難を浴び、過去の映画出演者は映画出演を後悔し、アレンとの訣別を公言し出している。また、それまでアレンの映画製作に協力していたアマゾンは一方的に契約を破棄し、アレンはどんな時も毎年一本のペースで撮り続けていた映画が撮れなくなってしまった。

その要因となったスキャンダルを軸として、アレンとスキャンダルの中枢に居る過去のパートナー、ミア・ファローの生い立ちからキャリア、出会いから別れ、そして今回のスキャンダルに繋がる事象をそれぞれの自伝や記事などを参照し、ルポルタージュとして提示されている。単純に読み物として面白かった。

基本的に被害者の声を無条件に信じるべきだと思う。ただ、著者の猿渡も後書きに書いているが、単純な性的虐待事件とは趣の異なる、アレンとのファローの愛憎の帰結のような様相を呈した事件の真偽は当事者にしか判断できないもののように思える。

読み終えた個人的な印象としては、映画のアレンが演じてきた主人公たちよりもアレンは邪悪で酷い人間でロリコンだとは思うが、ペドフェリアでは無いのでは?と言う印象だ。一方でスキャンダルの後に発表された『マッチポイント』や『ウディ・アレンの夢と犯罪』などを思い起こすと本当は?と言う思いにも駆られる。

ウディ・アレン映画を好んで観てきた人たちは必ず読んでおくべき内容だった。