すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。
Ⅱ.プーチンは習近平に勝利の可能性を潰された
:230415情報
昨日からの続きです
プーチンの要請を拒否した習近平
習近平との首脳会談。プーチンの目的は、一つしかない。すなわち、習近平を説得し、中国から武器弾薬を提供してもらうことだ。ところが、習近平には、まったく違う思惑があった。なんだろうか?
習近平には、「ロシア―ウクライナ戦争を和平に導きたい」という野心がある。では、なぜ、中国は、ロシアとウクライナの和平を願うのか?
それは「プーチンを救うことで、習近平自身を救うため」だ。どういうことか?
中国の戦略観では、「二匹のトラの戦いを山頂で眺める賢いサル状態」を最上とする。現状は、どうだろうか?
プーチン自身が断言しているように、「ロシア―ウクライナ戦争」の本質は、米国とロシアの戦いだろう。まさに「二匹のトラ」が戦っている。そして、「賢いサル」である中国は、山頂でそれを眺めている。中国は今、最良のポジションにいる。
実際、中国はこの戦争最大の勝ち組だ。
この戦争で、欧米日とロシアの経済関係が切れた。欧州は、ロシアからの石炭、原油、天然ガスをほとんど輸入しなくなっている。結果、中国はロシア産の資源を激安で買うことができている。「The Moscow Times」3月20日付は、中国が、ロシア産天然ガスを、欧州向けよりも70%安い価格で輸入していることを報じている。
さらに、制裁でドルもユーロも入手できなくなったロシアは、資源を「人民元」で中国に輸出している。では、ロシアは、資源輸出で得た人民元をどうするのか?
もちろん中国製品を購入する。要するに、ロシアは、「人民元経済圏」に組み込まれてしまった。つまりプーチンは、ウクライナを侵略するという愚かな決断によって、ロシアを「中国の属国」にしてしまったのだ。
この動画を見ていただきたい。
注目していただきたいのは、習近平とプーチンの目線だ。習近平は、プーチンを一直線に見つめている。一方、プーチンは、習近平と一瞬目をあわせると、すぐ下を向いてしまう。ロシアでは「目を見て話すのがマナー」であるにもかかわらずだ。
習とプーチンは、いまや「皇帝と属国の長」の関係になっている。習近平はあくまで「チャイナ・ファースト」
筆者は、この戦争がはじまる前から、「ロシアの大戦略的敗北は不可避」と主張してきたが、予想通りの展開になってきた。
このように、中国は現状、ロシア―ウクライナ戦争でもっとも得をしている国だ。ロシアの「弱体化」についても、中国への依存度が高まるので、中国は大歓迎だ。
しかしその一方で、ロシアがウクライナに「敗北」すると困ったことになる。なぜか?
ロシアがウクライナに完敗し、プーチンが失脚したと仮定する。そして、親欧米派のロシア新大統領が誕生したとしよう。その新大統領は、ロシアの間違いを認め、クリミアと昨年9月に併合したルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州をウクライナに返還する。
さらに、賠償金の支払いも約束する。ここまでいけば、欧米と日本は、対ロシア制裁を解除するだろう。欧米日とロシアの経済関係は改善され、ドルとユーロの使用が再開され、ロシアは、「人民元経済圏」から離脱していく。
最悪のシナリオは、ロシアの親欧米新大統領が、「反中包囲網」に参加することだ。習近平は、このような最悪の事態を招かないために、「和平の仲介役」を買って出た。
中国政府は2月24日、12項目からなる停戦案を発表している。
停戦案の中には、〈(8)戦略的リスクの低減。核兵器の使用及び使用の威嚇に反対するべきだ〉など、一部「反ロシア的内容」も含まれている(核兵器をもたないウクライナは、核兵器を使うことも、威嚇することもできない)。
しかし、2項では、「軍事ブロックの強化、拡大」(つまりNATO拡大)に反対。10項では、欧米日によるロシア制裁に反対している。
要するに、この停戦案は、「ロシアを救う内容」になっている。そして、習近平が停戦案を出してきた理由は、「戦争に負けてプーチンが失脚したら困るから」だ。
習近平は、プーチンに「中国の停戦案を認めろ」と要求した。習は、プーチンの承認を得たうえで、ゼレンスキーとも会談し、より具体的な話に移行したかった。
ところがプーチンは、中国の停戦案について、「西側とウクライナの準備ができていない」といった。要するに、西側とウクライナを「ダシ」にして、中国の停戦案を遠回しに拒否したのだ。彼は、「武器さえあれば勝てる」と信じているのだから。
そして、プーチンは、「武器をくれ!」と習に迫った。しかし、習は了承しなかった。なぜか?
中国がロシアに武器を供与するようになれば、欧米日から制裁を科される可能性が出てくる。世界GDPの2%以下のロシアのために、世界GDPの約半分を占める欧米日との関係を犠牲にできない。習近平は、どこまでも「チャイナ・ファースト」なのである。
こうして、プーチンが「中国製兵器」によってこの戦争に勝利する道は閉ざされた。そしてウクライナの反転攻勢がはじまる。ロシア―ウクライナ戦争は、これからどうなっていくのだろうか?
「大きな戦い」は、まだつづいている。しかし、ロシア軍の大攻勢は、兵力と武器弾薬不足で止まってしまった。これからは、ウクライナ軍の反転攻勢がはじまるだろう。
なぜプーチンは、ゲラシモフに「3月末までにドンバスを完全制圧しろ」と命じたのか?
期限を切ったことには、理由がある。3月末になると、英国、ドイツ製の戦車がウクライナに届き始めると予想されたからだ。
そして、実際、戦車が届き始めた。
「NHK NEWS WEB」3月28日。
- ウクライナのレズニコフ国防相は27日、自身のSNSでイギリスの主力戦車「チャレンジャー2」などを受け取ったことを明らかにしました。レズニコフ国防相は「1年前には、パートナーの支援がこれほど強力なものになるとは誰も考えられなかった。ウクライナは世界を変えた」と書き込み、欧米の軍事支援に感謝の意向を示しました。
ウクライナへの軍事支援をめぐって、ノルウェー軍は20日、8両の「レオパルト2」がウクライナに配備されたと発表しています。また、ドイツは27日、18両の「レオパルト2」を引き渡したと明らかにし、ウクライナ軍の軍備の強化が進んでいます。―
戦車を得たウクライナ軍は、反転攻勢の準備を進めていく。「大きな戦い」の第2幕がはじまろうとしている。
(了)
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Ⅰ.プーチンは習近平に勝利の可能性を潰された
:230414情報
昨日に引き続き、ロシア問題に精通しておられる方のプーチンと習近平の関係について解説をしていただきます。
ゲラシモフ総司令官の苦戦
ロシア―ウクライナ戦争について筆者は、「歴史の教科書に載るであろう『大きな戦い』が近づいている」とお伝えし、予想通り「大きな戦い」がはじまった。
-2月13日、 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は13日、懸念されていたウクライナでのロシアの新たな大規模攻撃がすでに始まっていると述べた。 ウクライナ侵攻から1年が近づく中、ロシア軍は13日、ウクライナ東部のバフムトを攻撃。NATOの事務総長は、長い間恐れられていたロシアの大規模攻撃が始まったとの見方を示した。―
では、その後の戦局はどうなっているのだろうか?
「大きな戦い」は、今もつづいている。だが、ロシア軍は、プーチンが願ったような戦果をあげていない。
プーチンは1月11日、ロシア軍のトップであるゲラシモフ参謀総長を、ウクライナ特別軍事作戦の総司令官に任命した。ロシア・ハイブリット戦略生みの親で、世界的に有名な戦略家がいよいよウクライナ戦争の指揮を執るーー世界中の軍幹部が、「ゲラシモフの戦い」に注目した。
そして、ロシア軍は、大きな戦果をあげつつあった。
3月8日、NATOのストルテンベルグ事務総長は、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトが、「今後数日中にロシア軍によって陥落する可能性がある」と語った。この時点で、ロシア軍はかなり優勢だったのだ。
しかし、英国防省は3月25日、バフムトで、ロシア軍が激しい人員の損失によって「失速している」との分析を発表した。プーチンは、ゲラシモフに「3月末までにドンバス(ルガンスク州、ドネツク州)を完全制圧しろ」と命じた。しかし、ゲラシモフは、プーチンに与えられたミッションを期限内に完遂できなかった。
習近平に武器弾薬の支援を求めるプーチン
なぜ優勢だったロシア軍は、劣勢に転じたのか? それには三つの要因が挙げられる。一つは、ロシア兵士の士気の低さだ。自国の領土を防衛しているウクライナ軍の士気は高い。一方で、他国を侵略しているロシア軍の士気は低い。
プーチンは、「この戦争をはじめたのは西側とウクライナだ」とフェイク情報を拡散し、ロシア国内のテレビ世代をだますことには成功している。しかし、前線で戦う兵士は、戦闘が「ウクライナ領内で起こっていること」を知っている。「なんのための戦争なのか」意味を見いだせない。
しかも、動員で連れてこられて人たちは、超短期間の訓練しか受けていない、いわば素人だ。
二つ目の理由は、人員不足。
プーチンは昨年9月、「部分的動員令」を出した。ロシア国防省はこの時、「30万人を動員する」と発表した。それでも、人員が足りなくなってきている。
三つ目は、武器弾薬の不足。「BBC NEWS JAPAN」3月6日を見てみよう。
- イギリス国防省は5日、ウクライナ侵攻を続けるロシアの予備役が、弾薬不足のために「シャベル」を使って「接近戦」を行っている可能性が高いとの見方を示した。英国防省の最新のアップデートによると、ロシアの予備役が2月下旬、「『銃器とシャベル』のみで武装して」ウクライナの陣地を攻撃するよう命じられたと述べたという。―
ウクライナは、欧米から、ほとんど無尽蔵の武器支援を受けることができる。一方、国際的に孤立しているロシアに武器を提供してくれる国はほとんどない。たとえば、トルコのエルドアン大統領は、「独裁者つながり」でプーチンと良好な関係を保っている。だが、そのトルコは、ロシアの敵ウクライナに無人機「バイラクタル」を輸出している。そしてこの無人機が、ロシアの戦車部隊に壊滅的打撃を与えている。
その一方で、トルコは、ロシア軍に無人機を提供することを拒否しているのだ。困ったロシアは、イラン製の無人機を輸入している。
日経新聞2022年10月27日。
- イランの最高指導者ハメネイ師は最近、自国の軍事用ドローン(無人機)の効果を称賛した。ウクライナ政府や欧米諸国によると、イラン製のドローンはロシアに売却され、ウクライナの大都市を爆撃するのに使われている。 -
武器弾薬にいたっては、さらに悲惨だ。ロシアは、北朝鮮に輸出した物を買い戻している。
東洋経済1月1日。
- 2022年11〜12月にかけて、ロシアが北朝鮮にかつて販売した武器・弾薬などを北朝鮮から買い戻したという証言も出てきた。東洋経済の取材に応じたビジネス面で北朝鮮と関係が深い中華系実業家によれば、「携帯型の武器や弾薬などを北朝鮮からロシアが買い戻した」という。―
欧米から全面的に支援を受けているウクライナ。ロシアが支援を受けているのは、イランと北朝鮮。ロシア軍が劣勢なのも理解できるだろう。「ゲラシモフの戦略以前」の問題だ。
しかし、3月20日、プーチンにこの劣勢を挽回するチャンスが訪れた。世界第2の経済、軍事大国・中国のトップ習近平が、モスクワにやってきたのだ。
(つづく)
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習近平の目を見て話せないプーチン :230413の2情報
ロシア問題に精通する識者から、我々の想像をはるかに超えるご指摘がありました。
この方は、当ブログの『ウクライナで最終決戦か!?』、『ロシアは有名戦略家を投入』で、「歴史の教科書に載るであろう『大きな戦い』が近づいている」と指摘された方で、実際、「大きな戦い」がはじまりました。
この方の経歴は、ロシアの外交官とFSB(元KGB)を専門に養成するロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を日本人として初めて卒業した方ですから、ロシア事情に精通するのは当然かもしれません。今回の、ご指摘もメディアでは伝えられないことばかりですので、紹介させていただきます。
立場が弱いプーチンは、もはや【皇帝】習近平の目を見て話すことができません。
プーチンが大統領になったのは2000年です。一方、習近平が共産党のトップになったのは2012年。12年の差があります。ちなみに、ムッソリーニがイタリアの首相になったのは1922年。ヒトラーがドイツの総統になったのは1934年。興味深いことに、12年の差があります。
さて、習近平が中国のトップになった時、プーチンはすでに12年も独裁者をやっていました。「長期独裁政権」を最初から目指していた習近平にとってプーチンは、真似すべき「成功モデル」だったのです。
習近平には、尊敬する人物が3人います。
一人は父親で副総理だった習仲勲。二人目は毛沢東。三人目がプーチン。父親と毛沢東は死んでいます。習近平にとってプーチンは、唯一「生きている成功モデル」だったのです。
最初のうちプーチンは、習近平に「どうすれば絶対権力者になれるのか」を上から目線で教えていたようです。
・資源を支配しろ
・金融を支配しろ
・メディアを支配しろ、など。
ところがその後、二人の明暗はわかれます。中国の人口は、ロシアの約10倍。中国のGDPは2022年、約20兆ドル。ロシアは、約1兆8000億ドル。ロシアの経済規模は、中国のわずか11分の1です。いつの間にか二人の立場は逆転したのです。
しかし、習近平が、プーチンへの尊敬も信頼も失ったのは,つい最近のことです。
プーチンは、バカにしていたウクライナに勝つことができない。欧米との関係は切れ、ロシアは中国に、天然ガスを欧州より70%も安い価格で売らざるを得なくなった。ロシアは、ドル、ユーロ決済ができなくなったので、中国は、ロシア製品を人民元で買える。
ロシアはSWIFTから除外されたので、中国版SWIFTと呼ばれるCIPSを使うようになった。要するに、欧米と対決しているロシアは、中国の属国になり下がったのです。もちろん、この状態は、習近平にとって最善の状態です。しかし、自国を中国の属国に落としたプーチンを尊敬できるでしょうか?
もちろんできないでしょう。
今、二人は、どういう関係なのでしょうか?
ロシア人は、日本人とは違い、相手の目をしっかり見て話します。しかし、プーチンは、皇帝習近平の目を長時間見ることができません。目が合うと、すぐ下を向いてしまうのです。
この動画を見ていただきたい。
注目していただきたいのは、習近平とプーチンの目線。習近平は、プーチンを一直線に見つめている。一方、プーチンは、習近平と一瞬目をあわせると、すぐ下を向いてしまう。ロシアでは「目を見て話すのがマナー」であるにもかかわらず。
習とプーチンは、いまや「皇帝と属国の長」の関係になっているのです。
明日と明後日に掲載する『プーチンは習近平に勝利の可能性を潰された』という記事で、私の書いていることがウソか、是非ご確認ください。
この記事には他に、
・ロシアーウクライナ戦争、現在の戦局は?
・首脳会談で、プーチンは、習近平に何を求めたのか?
・習近平は、プーチンに何を求めたのか?
・習近平は、なぜ ロシアーウクライナの和平を推進するようになったのか?
・習近平は、ロシアの勝利、敗北、どちらを願っているのか?
・ロシアーウクライナ戦争の展望は?
などについても書いています。
(つづく)
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半導体、過剰供給と供給不足が混在 :230413情報
「半導体供給過剰」という報道を聞いて首を傾げた人も多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。つい先日まで、「半導体不足」が取りざたされていたと思うのですが・・・。
ただ、関係者の間では、昨年の時点で、半導体商社に勤務する人が「メーカー側は半導体の在庫を積み増しており、1-2年先はもしかしたら追加の注文は少ないかもしれない」と話していたようで、実際、多くの半導体メーカーが過剰在庫を受けて減産していました。各国では、新規の半導体工場の立ち上げが進んでいる中で、半導体市場に何が起きているのでしょうか。
この業界に詳しい事情通は以下のように解説しています。
2021年初頭に顕在化した「半導体不足」の問題は2022年に大きな転機を迎えた。あらゆる用途の半導体が一様に不足している状況が解消された一方で、過剰供給品種と供給不足品種が混在する状況へと移行した。半導体不足の「一歩先」を占うのは、米中対立による両国経済の乖離、いわゆる「デカップリング」の行方だ。
パソコンやデータセンター用サーバーなどIT機器向け半導体チップは、コロナ禍による行動制限で需要が急増し供給不足に陥った。しかし2022年にその状況は完全に解消した。
2022年半ばから、データの一時保存用のDRAMやフラッシュメモリーなどの供給が需要を上回り始め、2023年2月にはメモリーメーカーである韓国サムスン電子や韓国SKハイニクスの業績が急降下する事態に陥るまでになった。
2022年10月~12月だけでDRAMとNAND型フラッシュメモリーの価格は約3割も下落したという。これに伴って、一時期値上がりしていたIT機器が値下げに転じる例も出ている。
その一方で、自動車業界や産業機器業界などでは「半導体不足は今も継続している。いつ解消するのか」といった声が上がり続けている。特に自動車業界では、2022年初頭の生産計画を達成できているメーカーが見当たらないような状況である。
IT向けは供給過多、自動車・産業機器向けは不足
2022年の半導体市場の統計と2023年の見通しによれば、IT向けにおいては供給過多、自動車や産業機器向けにおいては供給不足という明暗がはっきりと分かれている。
主要半導体メーカーが加盟する世界半導体市場統計(WSTS)は「2022年秋季半導体市場予測」の中で、「2022年の世界の半導体市場の規模は前年比4.4%増となるが、2023年は同4.1%減と4年ぶりにマイナス成長になる」という見通しを示した。
特に、パソコンやサーバーなどで多く消費されるメモリーは需要減の傾向が顕著であり、2022年の市場規模の推定値は前年比12.6%減で、2023年には17.0%減と減少率が拡大すると予想している。
一方、自動車や産業機器などで多く利用されるアナログICでは、2022年の推定値は20.8%増と需要が急拡大し、2023年の予測値は1.6%増となっている。2023年については供給が追い付かず市場が伸びきれない状況とみられている。WSTSでは、IT向けCPUやGPUと自動車など向けマイコンを同じ「マイクロ」という統計区分で整理しているが、マイクロ区分については2022年は1.8%減と縮小し、2023年も4.5%減と縮小率が拡大すると予測している。
半導体の品種別に、需要の動きの方向は大きく異なる
IT向け半導体の需要が減っている背景について多くのアナリストが指摘するのが、コロナ禍発生直後の特需による需要の先食いの影響が顕在化したことに加え、世界的な景気悪化とインフレによって消費者の購買活動が沈静化したことだ。実際、ここ数年間絶好調だった米国IT企業がこぞって人員整理に走るほどの業績悪化に転じており、IT産業での半導体需要の減退は推して知るべしと言えるだろう。
さらに、IT産業向け半導体はCPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理半導体)、さらにはメモリーが中心であり、これらはいずれも最先端の半導体技術で製造する半導体チップである。こうした高付加価値品に特需が起きたことで、米インテル、サムスン電子、台湾TSMCなど、巨大半導体メーカーが設備投資を積み増して迅速に増産体制を整えた。このため、増産体制が整った後に起こった需要減によって、供給過多の状態となったのはある意味当然かもしれない。
これに対し、自動車向けや産業機器向けの半導体市場では全く状況が異なる。
自動車・産業機器向けの領域では、数世代前の製造技術で作るマイコン、アナログIC、個別半導体などが多く使われている。その一方で、データ通信などに用いるロジックやメモリーの利用比率は低い。つまり、コロナ禍によるIT産業の特需の影響を受けた品種は、この用途にはあまり使われていない。
それでも、2021年初頭から特に自動車向けで半導体不足が顕在化した理由は、需要予測が外れて調達量を絞り込んだところに、供給をはるかに上回る需要が生まれたこと、それを補う半導体の製造能力がIT用など他用途に向けた半導体の製造に振り向けられて、追加調達ができなかったことなどが原因だった。
しかも、そもそも2020年前半までは、車載用マイコンなどを製造する半導体メーカー各社は、積極的な設備投資による生産能力の増強は行わず、半導体不足が顕在化してもその傾向は同じだった。理由は2つある。1つは、半導体不足は需要の読み違いが原因であり、実際に需要が急増したわけではなかったこと。もう1つは、自動車業界は「CASE(Connected, Autonomous, Sharing & Service, Electric)トレンド」に沿ったクルマの再発明と
言える大変革をしている最中であり、足下の需要に合わせて時代遅れの工場に投資しても、すぐに工場が陳腐化してしまう可能性があったからである。
そんな増産体制が整っていない状況下で、2022年に入って感染症との共存、いわゆる「ウィズコロナ」の生活習慣が定着。社会活動も正常化に向かい自動車の需要が高まった。しかも、不足している半導体を調達できるタイミングで将来分も含めて確保すべく、実際に必要な量より多めに発注する一種のモラルハザードが発生した。このため、現時点でも半導体不足の状況が解消されないまま続いている。
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プーチンがウクライナの次に狙っている国 :230412の2情報
プーチンは、「20世紀前半の領土観を持った政治家」といえるでしょう。この人は2008年のロシアージョージア戦争で、ジョージアから、南オセチア、アプハジアを事実上奪いました。
その直後、クリミアについては、
「クリミアは、係争地ではない。南オセチア、ジョージアと違い、クリミアには人種間の対立はなかった。ロシアはかなり前に、今のウクライナの領土を認めている。私達の国境に関する話し合いは、事実上終わっている。」と語り、ロシアがクリミアを狙っていることを完全否定しました。
しかし、誰もが知っている通り、プーチンは2014年、ウクライナからクリミアを奪いました。2022年9月には、ウクライナからルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を奪いました。
「親プーチン派」の人たちは、「プーチンは、ルガンスク、ドネツクで迫害されているロシア系住民を救いたいだけだ!」と主張していました。しかし、どこから「ヘルソン、ザポリージャ併合」はでてきたのでしょうか? 納得できる説明は聞いていません。
結局、プーチンの「領土欲」には際限がないようです。この事実に基づいて、ロシア事情に精通している専門家から、プーチンの次の一手を解説していただきました。
ロシアの元上院議長ミロノフは、【北海道は、ロシア領】と主張しています。
時事2022年4月9日には、
――ロシアのウクライナ侵攻を受けて日本が対ロ制裁を科す中、ロシアの政党党首が「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」と日本への脅しとも受け止められる見解を表明した。
見解を表明したのは、左派政党「公正ロシア」のミロノフ党首で、1日に同党のサイトで発表された。公正ロシアは政権に従順な「体制内野党」。ミロノフ氏は2001~11年に上院議長を務めた。――
▼次のターゲットは
プーチンの領土欲に際限がないとして、次のターゲットは、どこなのでしょうか?
すぐ思いつくのは、エストニア、ラトビア、リトアニア、いわゆる「バルト三国」でしょう。しかし、これらの国々は、「NATO加盟国である」という問題があります。もしロシアがバルト三国を攻めれば、自動的にNATOと戦うことになる。そういう意味で、NATO加盟国ポーランドへの侵攻も、決意がいります。
しかし、ロシアの西側に位置し、NATO加盟国ではなく、あまり強くない、要するに、「侵略しやすい国」が存在します。それが、モルドバ。
モルドバは、ウクライナの西南部と接する、人口400万人ほどの小さな国です。
旧ソ連国。1991年8月に独立し、同年12月に独立国家共同体(CIS)に加盟しました。その後、ソ連崩壊後のウクライナ同様、「親ロシア派」と「親欧米派」の綱引きがつづいてきました。
2020年11月に当選したマイア・サンドゥ大統領は、バリバリの親欧米派。彼女は、ハーバード大学ケネディ─スクールに留学。その後、世界銀行に勤務していた。
2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻しました。同年3月、危機感を強めたモルドバ政府は、EU加盟申請をしています。「旧ソ連はロシアの勢力圏」と考えるプーチンは、激怒したことでしょう。
▼ロシアの「モルドバ衛星国計画」
さて、プーチンは、「モルドバを属国化する計画がある」ことが暴露されました(中央日報3月16日)。
――ロシアが2030年までにウクライナと国境を接したモルドバを衛星国化する具体的な計画を持っているという暴露が出てきた。ヤフーニュースが14日にウクライナメディアのキーウインディペンデント、独日刊紙南ドイツ新聞などで構成された国際ジャーナリストコンソーシアムとともに入手した文書によると、ロシアは7年以内にモルドバから西側の影響力を完全に遮断し親ロシア政府を建てる計画だと明らかになった。
2021年にプーチン大統領直属の対外協力局から流出したと推定されるこの文書の核心は、モルドバをロシアの衛星国にするというものだ。(以下略)――
この文書は、2021年以前に作られたものなのでしょう。2022年のウクライナ侵攻で、モルドバは、EU加盟申請を急いだ。つまり、ゆっくり工作している時間がなくなった。それで、モルドバでの工作を急ぐことになったと思われます。
読売新聞オンライン2月14日には、
――ウクライナの隣国モルドバのマイア・サンドゥ大統領は13日、ロシアがモルドバでクーデターを計画していると指摘した。
サンドゥ氏は記者会見で、軍事訓練を受けたロシア、ベラルーシ、セルビアなどの外国人が非武装の市民を装って政府機関の建物を攻撃して人質を取り、ロシアが支配する非合法政府に体制を転換する計画をロシアが企てていると述べた。――
というわけで、ロシアは、モルドバで親欧米派サンドゥ政権打倒のクーデターを画策しているようです。
日本には、「欧米がウクライナに武器を供給するから戦争が長引く」などと、トンチンカンな主張をする人たちがいます。もし欧米がウクライナに武器支援をしなければ、ロシアはウクライナ全土を制圧し、今頃モルドバ侵攻を開始していたことでしょう。
欧米がウクライナに武器を支援しているおかげで、プーチンは、モルドバに進めないでいるのです。
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蔡英文・マッカーシー会談後の中国の反応 :230412情報
中米2か国の訪問を終え、経由地のアメリカに滞在した台湾の蔡英文総統は、日本時間の6日未明、西部カリフォルニア州のロサンゼルス郊外でマッカーシー下院議長と会談しました。
アメリカメディアによりますと、台湾の総統が、大統領権限を継承する順位が副大統領に次ぐ2位の要職である下院議長と、アメリカ国内で会談するのは初めてです。
会談後、マッカーシー議長は、「アメリカと台湾のつながりはかつてなく強くなっている。経済的自由と平和、地域の安定を維持することはとても重要だ」と述べました。
これに対し蔡総統は、「われわれの平和と民主主義は今、これまでにない試練に直面している。アメリカ議会からの揺るぎない支援は、台湾が孤立していないとわれわれを安心させるものだ」と応じました。
このあとマッカーシー議長は、超党派の議員らと記者会見し「この場にいるメンバーはみな台湾への支援を重視しており、一致して声をあげていく決意だ」と述べ、台湾を支持する姿勢は超党派で一致していると強調しました。
一方、中国は、外務省の報道官を通じて「断固とした強力な措置をとり、国家の主権と領土の一体性を守る」と述べ何らかの対抗措置をとることを示唆し、中国軍が台湾周辺で軍事演習を行っています。
台湾国防部(国防省)は9日、同日午後4時(日本時間午後5時)時点で、人民解放軍の軍用機延べ70機、艦船延べ11隻を台湾周辺で確認したと発表。そのうち、35機が台湾海峡の中間線を越え、南西の防空識別圏(ADIZ)に侵入を発表しています。
さて、今回の蔡-マッカーシー会談の意味について、国際政治専門家はどう見ているのか、解説をお願いました。
4月5日、アメリカで台湾の蔡英文総統とケビン・マッカーシー下院議長が対談会見をしました。
ホワイトハウスが台湾にものすごい圧力をかけたため、トランジット外交という屈辱的な形にはなりましたが、大統領継承順位が第2位の、つまりアメリカで3番目に重要な政治家と会談したことは台湾にとって大きな出来事です。
しかも場所もいいですね。ソ連とアメリカの冷戦を終わらせて、ソ連共産主義を打ち破ったヒーローであるレーガンの記念図書館で行われたのですから。
マッカーシーは事前に、蔡英文と会うという旨の案内に「President on Taiwan」という敬称を用いました。蔡英文が台湾の大統領(総統)であると言ったのです。これも素晴らしいですね。
外交というのは、形式が内実になりますからここで台湾の総統と呼んだことは非常に蔡英文のポジションを高め、台湾を独立国家として認めるまでの大きな前進であったわけです。
そしてこの会談が成功だったかどうかは中国共産党の反応を見ればよくわかります。
中国共産党側は怒り狂い、蔡英文と会った19名の議員たちに恫喝脅迫のメールを送っています。つまり台湾外交は大成功、アメリカと台湾の同盟関係をさらに強化することができたということです。
それから、18名の議員がマッカーシーと行動をともにしたということは民主党でも共和党でも、台湾を応援することが自分の選挙にも有利であると判断していることの表れです。
台湾の人気、台湾に対するサポートがアメリカの一般大衆の間でも高いということがわかります。
マッカーシーは
・今後バイデン政権に圧力をかけ台湾への武器売却を強化する
・二重課税を解消し台湾との貿易と技術交流を強化する
・台湾に国際舞台で活躍してもらうため、共通の価値観、デモクラシーや自由・人権を米台で広める
この3点に重点を置いて発表しました。
単に会談をするだけでなくその後も責任を持って次の行動に結びつける、それはアメリカの政治家のなかなか素晴らしいところだと思います。
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【補足】トランプ逮捕の背景とは(冤罪のトランプ) :230411の2情報
(午前の『冤罪のトランプ』の続き)
そもそもどんな罪で逮捕されたのか?
それは、2016年の大統領選挙まで遡ります。当時、トランプと過去に関係があったと称するポルノ女優がいました。その女性の口封じに、選挙資金から13万ドル支払ったことを今になってまた蒸し返そうとしているわけです。
しかしこの問題は、2016年に決着がついています。選挙の当事者が集めた資金を口封じであれ何であれ、協力を求めて渡すことは“合法”であると連邦の選挙管理委員が結論付けたのです。
今回の起訴は、裁判の“一事不再理”という原則に反します。既に解決した案件で、同じ人を問題にし、もう一度裁判をすることはできない。この原則から明らかに外れているのです。
■逮捕の裏に潜む…民主党の陰謀
これはいかにも民主党サイドの政治的な弾圧でしょう。2024年、強力な大統領候補になるトランプを引きずり下ろすという政治的な意図があります。今のアメリカは、もはや法の下の平等も法治もなく、法の支配する社会ではありません。
今、力を持つバイデン政権が反対派の党派を政治的権力を使って弾圧する、これは本来あってはならないことです。しかし、このニューヨークのマンハッタン地区の地方検事は極端な反トランプ派で、民主党の党派的な考えで行動する人なので、起訴は確実に行なわれると思います。
そんなことをやってしまえば、民主党が「法治社会・アメリカ」を破壊しているということが、誰の目にも明らかになってきます。だから、極端に党派的な人を除けば、多くの有権者が「民主党はもう終わりだ」という認識になって、2024年はトランプの圧勝になるのではないかと思います。
イーロンマスクなどもそう言っていますね。
■起訴する検事は“犯罪推進派”⁈
さて、このトランプを起訴しようとしているのはどういう人物でしょう。これをつかんでおくと面白いですよ。
ニューヨーク市マンハッタン地区の地方検事アルビン・ブラッグという人です。ブラッグ検事に関して、3つほどエピソードを紹介します。
①ジョージ・ソロスから100万ドルの選挙資金をもらう
アメリカでは地方検事も選挙で決めるのです。ブラッグ検事はその選挙資金を、有名な左派リベラルの投資家で、黒い噂が絶えないジョージ・ソロスからもらっていました。
②軽微な犯罪は全て不起訴
2022年1月4日、ブラッグ検事は「低レベルな犯罪は起訴しない」と公言しました。“低レベルな犯罪”とは
性異常者や売春行為、大麻関連の罪などを指しています。これは「壊れた窓理論」の逆ですね。「壊れた窓理論」は、小さな罪から誘発されて大きな罪が起きる。
もしも窓が一つ壊れていたら、それに誘発されていろんな犯罪が起きてくる。そこに不法占拠する人間が出てきたり、そこが犯罪の場所で使われたりする。だから、一つの壊れた窓も許しちゃいけない。そういう理論ですが、彼は全く逆のことを主張しています。
小さな犯罪なんて放っておけ、と。そうなれば当然重大な犯罪も多発し、犯人を逮捕したり、起訴するしたりすることもできなくなってきます。“犯罪者優遇都市ニューヨーク”を作っている張本人と言えますね。
③スティーブン・バノンを起訴
スティーブン・バノンはトランプの元首席戦略官です。2022年の9月6日、詐欺罪に問われていたバノンをトランプが大統領権限で赦免しました。
しかしブラッグ検事はその後、バノンを前と全く同じ罪状で起訴したのです。これも“一事不再理”の原則に反すると思うのですが、彼は近代法の原則すら破って権力を行使しています。
この3つのエピソードからもわかる通り、ブラッグ検事は反トランプの急先鋒です。
そして、検事が元大統領に対して、もはや罪を問うこともできないような時効の犯罪をでっち上げ、非常に卑劣な政治的弾圧を行う、それが今のアメリカの現実なのです。
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冤罪のトランプ :230411情報
トランプ前大統領は、4日午後1時過ぎ、ニューヨーク市警のパトカーが先導する車列で市内南部のマンハッタン刑事裁判所へ向かい、裁判所建物内にある地区検察事務所に入りました。午後2時半前には、罪状認否のため法廷に入りましたが、手錠はかけられていませんでした。
前大統領は罪状認否で34件の事業記録の改ざん罪について無罪を主張し、約1時間後に退廷、裁判所を後にした。保釈保証金を必要としない自己誓約に基づき釈放された模様とのこと。
前大統領をめぐっては、2016年大統領選まで2週間を切った時期に、「弁護士A」に指示して「女性2」に13万ドルを支払い、同氏との不倫とされる関係について発言させないようにした疑惑が持ち上がり、捜査が進められていました。こうした事案での金銭の支払い自体は合法だが、トランプ氏はそれを事業費として計上したためだとされています。
日本のメディアは総じて反トランプのため、「前代未聞の前大統領の逮捕劇」を報じていますが、元ネタがアメリカの反トランプ・メディアのため、ものすごいバイアスがかかっています。そこで、米国事情に詳しい政治学者に登場をいただき、トランプ事件の本質を語っていただきました。
冤罪と分かりながらトランプを起訴した2つの理由
まずはトランプの起訴についてお話しします。
3月30日、マンハッタンの地方検事、アルヴィン・ブラッグがトランプを起訴。トランプは4月4日に出頭し、逮捕・起訴されたわけです。
しかし、実はその同じ日、トランプに非常に有利なことが起きていました。第9巡回区連邦控訴裁判所(全米をいくつかの地域に分けた 連邦の控訴裁判所の第2審)が、トランプと元ポルノ女優、ストーミー・ダニエルズの裁判において、ダニエルズに12万ドル(約1600万円)の支払いを命じたのです。
そもそも今回の事件の発端は、トランプ陣営が過去、この女性に不当にお金を支払ったのではないかという疑惑です。両者は事の真偽をめぐって裁判を起こしていたのですが、トランプ側が裁判に勝ったというわけです。
すなわち、ダニエルズ側の主張が間違っているということが証明されました。実はダニエルズは、2018年1月30日の公開書簡でトランプとの関係は一切なかったということも、証言しているのです。トランプは完全に無実の罪、冤罪に落とされてるということですね。
これは政治的弾圧、わかりやすく言えば、今の大統領が自分の最大のライバルを追い落とすためにでっち上げた罪でしょう。
起訴に関わる人脈を見ても、民主党側はかなりトランプに不利な陣営、いわば“トランプシフト”を固めて裁判に入っているということもわかってきました。こうしてトランプを無実の罪にはめてやろうとしている人が何を考えているかというと、私はおそらく二つの目的があると思います。
一つ目は、民主党でもない、共和党支持者でもない、いわゆる独立の人たちに「トランプは悪い奴なんだ」という印象を与えて、2024年大統領選挙でトランプに投票させないという効果を狙っている。
二つ目はトランプに時間とエネルギーを裁判に費やさせて、2024年の選挙に向けさせないようにすることです。しかし、今のところどういうことになっているかというと、非常に面白い数字が出ております。
ラスムッセンという世論調査会社が4月5日に発表したデータによると、
2月には支持率が、トランプ:42%、バイデン:45%と、バイデン有利だったのに対し、
3月30日(起訴後)には、トランプ:47%、バイデン:40%と、トランプ有利で大差がついているのです。
トランプ起訴後、おそらく国民は衝撃を受けたのでしょう。中間層の人たちがかなりトランプ支持に傾いた。トランプに冤罪を吹っかけて失脚させようとしている人たちは今のところ逆効果ですね。
この調査では「トランプの起訴は政治的な動機によるものだ」と回答した人がなんと51%にものぼり、共和党員では80%という結果でした。なかなかアメリカの庶民は正確なところをつかんでいるなという印象です。
今日お話した多くのことは日本のメディアではほとんど報道しないことばかりですが、実際にこういったことが起こっているのです。
(午後に補足説明します)
ご参考:当ブログ3月27日 『トランプ逮捕か?』
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自衛隊ヘリの消失と同様の事件が台湾で起きていた
:230410情報
4月6日に発生した、陸上自衛隊ヘリコプターの「消失」から4日。いまだ、同ヘリに搭乗していた第8師団長の坂本雄一陸将はじめ幹部ら10人の行方は分からないままです。
(なぜか【動画】が撮影されています。)
報道では、「宮古島周辺で突然、ヘリがレーダーから消えました。その2分前まで通信がおこなわれており、救難信号も出ていないため、『急に何かが起きた』としかいえない状態です。自衛隊は、潜水艦救難艦や300人規模での陸上での捜索などもおこなっていますが、まだ10人を見つけられていません。回転翼や燃料タンクらしき漂流物だけが発見されている状況です」と伝えています。
森下泰臣陸上幕僚長は、6日の夜に記者会見で「当該期の燃料枯渇、および発見された機材から総合的に判断し、航空事故と概定した」と、今回の事件を「事故」と断定しています。
しかし、宮古島の島民の間では、「中国軍の工作員がレーザーを使ったり、あらかじめ、ヘリに工作をするなどして、“撃墜した”のではないか」との噂さがでているようです。
それと同様、多くの国民も感覚的に「中国の仕業」と思っているようで、ネットの書き込みに「撃墜された」とのニュアンスが多く見られます。
しかも、それに対して「如何にも中国が関与してる様に思わせるマスコミ報道とSNSでの反応。支那事変が始まる前の盧溝橋事件を思い出した」などと中国の立場で反論する人もおり、それがかえって、中国の関与を逆にほのめかす結果となっているのではないかと思えます。
なにせ、反論にある「盧溝橋事件を思い出す」とは、中国共産党軍が夜陰に乗じて、日本軍と中華民国軍の間に入り込み、双方に銃弾を撃ったことから、日支事変(いわゆる日中戦争)の発端となった事件です。それだけに、中国共産党の得意とする工作と十分に考えられるのではないか。
国際情勢に通暁する識者も、今回の事件とどうようのことが、「数年前に台湾でも起きた」と指摘しています。
陸上自衛隊のUH-60JA という大型のヘリコプターが4月6日に行方不明になりました。宮古島西方の下地島にある基地と交信していたのですが、2分後にヘリがレーダーから消えたということです。これがどうなっているのか、今のところまだ新しい情報はでていません。
一瞬にしてバラバラになって海上に落下したのではないかと言われています。今のままだとおそらく生き延びている人はいないんじゃないかという絶望的な観測が濃厚です。
搭乗者の中には、政策立案の中枢ポストを歴任した坂本第八師団長もおられたということなんです。遺体や期待が回収されれば何が原因でこういう墜落が起きたのかということがわかると思いますが、私は単なる事故ではなくて、攻撃を受けて墜落した可能性もあると思うので、そのところを隠さず、隠蔽せずにしっかりと厳重に調査し、公表していただきたいと思います。現代では、超音波兵器やレーザー兵器などが実用化しているわけですから。
台湾では、数年前なんですが、蔡英文政権の2期目になってから、軍の参謀総長、制服組のトップを乗せたヘリが落ちて軍の中枢の人たちが亡くなっております。
この時もなぜ落ちたのか、これは整備不良というようなことであればやむをえない、整備不良であるとか、操縦のミスであるということならばこれは事故であるということになり、そういった事故を起こさないようにするしかないんですが、外国から攻撃を受けているという可能性も十分にあると思うんですね。そのため、自衛隊は厳重に調査して、墜落の原因がなんであるかを発表していただきたいと思います。
機体がバラバラになるようなことは、航空機同士が衝突するというようなことがない限りあり得ないわけです。どうもそういうことらしいということで、何か異常事態が起きたのではないかと思います。
そのところ、厳重な捜査。調査並びに情報公開を是非していただきたいと思います。
もちろん、影にあるのはチャイナということですね。
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意地の日経とガソリン車・電気自動車の未来:230409情報
今から50年も前のことですが、学生時代国際政治を学んでいるとき、私のお師匠さんである伊藤哲夫先生(現・日本政策研究センター代表)から「日経新聞をよく読め」と勧められました。経済がわからないと国際情勢は正確に把握できないという理由のためです。また、そのとき、偏向報道しかしない朝日新聞も、「国際欄の記事は読みなさい」という指導を受けました。
しかし、時代を経るに従い、日経新聞も、朝日新聞の国際担当記者の劣化が進んでいるようで、物事を正しく伝えていないという事例がたくさん出てきました。
例えば3月26日の日経新聞(有料記事)では、「EUがエンジン車容認 高価格の合成燃料、利用は限定的か」の見出しの下、「【フランクフルト=林英樹】欧州連合(EU)が2035年にガソリン車など内燃機関車の新車販売を禁止する方針を事実上撤回した。温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料の利用に限り販売を認める。ドイツの反発を受け入れた格好だが、合成燃料はガソリンの2〜5倍と高額で、船舶・航空など限定的な利用にとどまる公算が大きい。」との記事を配信しています。
これに対して、当ブログにたびたび登場する国際政治の専門家は、事実をまともに見ていないと指摘しています。具体的にどういうことなのか、解説をいただきました。
EUの自動車の未来はどうなるかというお話です。
日本経済新聞は長い間、「EUが2035年以降も内燃機関を伴った自動車を廃止しないことになった」ということに関して、報道してきませんでした。
そして先日3月26日の朝刊でついに報道したのですが、その書き方がある意味で傑作といいますか、面白いのです
「EUは内燃機関を持った自動車、エンジン車を、2035年以降も売れるけれども、あくまで使えるのはガソリンやディーゼル油ではない。使えるのは合成燃料だけなんだ。合成燃料なんて高価すぎて、大量には作れない。
だからヨーロッパはEV主流の社会になるという基本ストーリーは変わらない」という書き方なのです。
ところが私はガソリン車やディーゼル車も復活するのは見え見えじゃないかと思っています。そうでないと、社会全体がやっていけないのです。
実はドイツの公共放送が3月に行った調査でも、エンジン車の禁止に対して、
賛成 25%
反対 67%
と、反対が賛成を大きく上回りました。
ドイツも自動車大国ですから、当然EUの規制には反対なのです。
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中東情勢の変化の裏に中露あり :230408情報
アメリカとの関係が濃く、かつ、中東の盟主を自認するサウジアラビアにアメリカ離れともいえる出来事が起きています。
3月10日には、中国の仲介でイスラム教国で最大のライバルであるイランと外交関係の正常化を、23日にはロシアの仲介で、アラブ連盟から参加資格を停止させられているシリアのアサド政権との関係改善をそれぞれ発表しましたが、これまでのサウジアラビアの外交スタイルを一変させるものだけに、中東地域のみならず、アメリカを中心とするいわゆる西側諸国に激震を走らせています。
まず、サウジとイランの関係は、2016年1月にサウジでイスラム教シーア派の指導者が処刑されたことをきっかけに、イラン・テヘランのサウジアラビア大使館が襲撃されたことから、外交関係を断絶していました。それ以来、イスラム教スンニ派が大多数のサウジアラビアと、シーア派が多いイランは、厳しく対立していました。
その上、イスラエルを敵視するイランとイスラエルとの関係改善を進めてきたサウジという構図もありました。このような激しい敵対関係にあった国が手を結ぶということは、裏に大きな利益があることは間違いありません。
また、シリアとは、2011年に始まった内戦をきっかけにアラブ諸国はシリアの反政府勢力側の支援に回り、アサド政権との関係が冷え込んでいました。しかし、内戦をめぐっては、アサド政権が軍事的な勝利をほぼ確実にしてからというもの、アサド大統領は今年に入りオマーンとUAE=アラブ首長国連邦を訪問し手厚い歓迎を受けるなど、シリアと一部のアラブ諸国の間で関係改善に向けた動きも出ていました。
今回、アラブ諸国の中心的な存在でもあるサウジアラビアが、シリアとの関係改善を目指す姿勢を示したことで他の国にも影響を与えそうです。
これらの情勢を踏まえて、国際政治の専門家はどう見るか、見解を求めました。
バイデン外交、2度目の大失態
サウジアラビアとシリアの関係が修復しまして、国交正常化します。なんとロシアの仲介によって外交関係を正常化する模様、とウォール・ストリート・ジャーナルは伝えています。
先日はサウジアラビアとイランの国交正常化を、チャイナが仲介しました。これは石油の値段は下がらず相変わらず経済力の支えとなっていて、アラブの盟主としてのサウジアラビアが復活してきているということだと思います。
そしてバイデンはサウジアラビアを敵視していますから、サウジアラビアもアメリカ離れをして、チャイナ・ロシア寄りの路線をとっているということです。
ですから残念なことに、このバイデン政権が続くほど、中露を中心とする独裁国家群の国際的な影響力が強まっているのです。そして、実はこれは、ウクライナ戦争への影響もあると思います。
どういうことかというと、恐らくアラブの国はウクライナ戦争がロシア有利に展開しているのだと考えているのです。
より具体的に言えば、ロシア系移民の多い、東部のドネツク州、ルガンツク州を独立国として事実上ウクライナ政府にも承認させてやがてはロシア領内に編入していく。そこまでの実力がロシアにはあると踏んでいるのではないかと思います。
そしてさらに、現在のヨーロッパ経済危機もロシア有利を助長している一因でもあるのです。ヨーロッパの経済力が落ちるということは、当然、ウクライナに対する支援力も衰えているということです。ウクライナとしては、戦争継続がより厳しくなってしまいます。
ですから、アラブの国はこの戦争はロシア有利に進んでいると読んでいるのでしょう。
政治と経済が表裏一体となって、ウクライナ戦争の休戦・停戦へと向かっているのではないかと考えます。
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オイル・マネー復活
―原油高で大儲けするエクソンとサウジアラムコ:230407情報
世界的な天候不順や災害、化石資源への構造的な投資不足、地政学的緊張等の複合的な要因によってエネルギの需給がひっ迫し、2021年後半以降、歴史的なエネルギー価格の高騰が生じています。
エネルギーは国民生活や企業の生産活動に欠かせないものであり、エネルギー価格が継続的に高い水準で推移すれば、製品価格の上昇と購買力の低下等を通じて、各国の経済活動の大きな足かせになるのみならず、政治・経済・社会に更なる悪影響を及ぼしかねません。
さらに、2022年に入ると、2月にはロシアがウクライナに侵略し、世界のエネルギー情勢は混迷を深め、エネルギー価格の上昇は一過性のものにとどまらず、各国政府は、中長期的な脱炭素の流れを認識しながらも、安定・安価なエネルギー供給を最優先に、価格抑制策や低所得者等への支援策や、産油国・産ガス国への増産要請、備蓄の強化、調達先の多様化等の政策を展開しています。それでも、エネルギー価格の上昇は抑えられません。産油国が「減産」しているからです。
このおかげで、産油国は大儲けという図式が出来上がっているようです。この間の事情を専門家に解説していただきました。
オイルマネーの復活というところを見ていきたいと思います。
原油高で、ペルシャ湾岸の産油国に大量のマネーが流入しておりまして、サウジアラビアなど、湾岸協力会議の6つの産油国の2022年の経常収支黒字は、3,460億ドル(46兆円)。その前の年の2.5倍ということで、石油を売っていれば、黙っていてもどんどんお金が入ってくるということです。
2012年に、この6つの産油国の経常収支黒字が3,893億ドルで、これが最高だったのですが、これに迫る勢いだということです。
さらに、サウジアラビアを見てみると、サウジアラムコというウジの国有の石油企業ですが、2022年に1,611億ドルの純利益を記録しました。
2022年、世界でトップクラスの利益を上げている企業を見ると、
1位 サウジアラムコ(1,611億ドル)
2位 アップル(998億ドル)
3位 マイクロソフト(727億ドル)
4位 アルファベット(599億ドル)
そして5番目が、アメリカの総合エネルギー会社のエクソン・モービル(557億ドル)ということです。
要するに、世界で儲かった企業の第1位と第5位が、石油で儲かっている企業ということです。完全に石油復活なんですね。
なので、サウジアラビアもまた非常に財政的に余裕が出てきています。
そのチャンスを作ってあげたのがバイデンさんだということで、ロシア憎しで始めさせたウクライナ戦争のおかげで石油がどんと上がり、それでサウジは儲かってしまった。
そして、エクソン・モービルも史上最高益をたたき出しましたということで、バイデンさんは石油産業を潰そうと思って色々やっていたのですが、逆に復活させてしまったのです。
この点でも非常に愚かですが、それだけではなく、アメリカの国益を非常に大きく損なったということです。
なので、オイルマネーが復活してきているということで、アメリカの中でも石油派やトランプ派は喜んでいるわけです。
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国際金融ショック :230406情報
シリコンバレー銀行(SVB)の破綻で始まった国際金融不安は、わずか10日間で米地方銀行の経営不安を超え、欧州の大手金融機関の再編にまで至りました。
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の利上げ幅や回数に注視していた従前のムードは吹き飛び、「これで不安が収まったのかどうか」という目先の展開に目を奪われる雰囲気が充満している模様です。
その影響を受けてドイツ最大の銀行であるドイツ銀行の株価が大きく下がり、ショルツ首相は3月24日の会見で「ドイツ銀行はビジネスモデルを根本から近代化、再編成し、非常に収益性の高い銀行になっている」と述べています。
この問題について、経済学者はどう見ているのか、見解を求めました。
ドイツ銀行の話です。ドイツ銀行は2022年の純利益が61億ドル(約8,000億円)もあったので、非常に健全な経営をしているということです。
もともとドイツ銀行はいろいろな問題があったのですが、従業員も大幅に削減して何とか凌いできたのです。
潰れたクレディ・スイスは、昨年80億ドルの損失ですから、比べものになりません。
しかしクレディ・スイスの後、ドイツ銀行も危ないのではということで、3/24には株価が1日で9%も下がりました。とはいえ、ドイツ最大の銀行ですから、何かあっても、政府がまずということはできません。ただし、政府の公的資金をいきなり入れることもしづらいので、まず筋からいって株主に損をしてもらう。
それからドイツ銀行にお金を貸している人たちに損を被ってもらう。そして恐らく預金は全額保証せざるを得ないと思います。預金の保証ができないと、これはもう社会的にパニックになってしまいますからね。
ドイツ政府はその辺りをぬかりなくやると思いますので、この危機はヨーロッパ内に封じ込められた危機ということになるでしょう。
これに関して、日本にどういう影響があるかというと、ヨーロッパの景気が悪くなるということは、その分、そこに対する輸出はマイナスになります。
しかし日本の銀行が危ないのかというと、そういうことはありません。日本が今後、悪影響を受けるとすると、巡り巡って銀行規制をもっと厳しくしようとなってくると困るんですね。
特に、自国の政府が発行している債権、国債を危険資産とみなそうという動きがあると、日本の銀行はものすごく困ります。日本の銀行が貸し渋りを起こして、日本の景気が相当悪くなります。
なぜかというと、日本の銀行は日本国の国債を150兆円も持っているからです。しかし、これは今のところ国際的な銀行の規制の中では、リスクゼロ資産なのです。日本の銀行が日本の国債を買っている限りにおいては、国は必ずお金を返してくれるのでリスクはゼロです。
しかし、これもリスクがあるんだという話になってくると、その分も自己資本を積み増しする必要が出て、日本の銀行はすごく苦しくなります。そんな愚かなことをやらせてはいけないのです。
これに関しては、黒田日銀総裁も国際的に非常に強力に反対してきました。これは黒田さんの一つの功績だと思います。しかし、ドイツを始めとするヨーロッパ、それからアメリカの一部でも、国債もリスク資産とみなせという考え方もあるんですね。
これは間違った考えだと思いますけれども、そういったことに万が一なると日本にも非常に悪い影響が出てきます。
ですが今のところは中規模ぐらいのショックと考えればいいと思います。
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ホンジュラスの台湾断断交 :230405情報
日本の国会議員の中に親中派が多いのは有名な事実です。
例えば、日中友好議連の会長を務めていた林芳正外相や、かつて文化交流という名目で中国に3,000人を連れて行った二階元幹事長など、なぜ「屈指の親中派」と呼ばれる政治家が多く存在します。日本に親中派を増やそうとする中国の巧妙な手口を知れば、その理由に納得すると思います。
しかも中国は日本のみならず世界にまで親中派の勢力拡大を図っています。最近の話では、「3月25日、中米の国家であるホンジュラスが、台湾と結んでいた国交を断絶し、翌26日には中国と国交を結んだ」というニュースがありました。
一般に、国交断絶というと、台湾にとっては不利、中国の勢力拡大」というイメージであまり良い印象はないのですが、台湾独立運動科家によると「これは台湾にとって良いニュース」だという逆の見方になります。なぜ、そうなのか、負け惜しみではない理由を解説していただきました。
今回の国交断絶ですが、台湾にとって非常に良かったと思える理由が3つあります。
1、「カネで買う外交」に価値はない
実は、ホンジュラスのカストロ大統領は、元々台湾との断交を選挙公約にしていた政治家です。しかし彼は、台湾と断交して、中国と国交を持つと宣言しておきながら、台湾に向けては、「もっと経済援助をしないと 本当に断交するぞ」と脅していたのです。
そして、中国側もホンジュラスに多額の金銭的援助を送ることで、台湾を捨てて中国を支持する国を一つ増やそうと動いていました。そんな状況を見た台湾はこの“金銭外交”の競争には意味がないと判断し、勝負をやめたのです。
蔡英文総統も「今後は我々と同じような 理念を持った友好国と共に頑張っていく」と声明を出していました。まさにその通りで、政治的な理念や価値観が同じで、共に発展していこうと思えば、その関係を維持していく意味はあります。
しかし、カネによって維持されるような関係というのは、人間関係と同じで健全ではありません。今回の件で、台湾と国交を結ぶ国は14ヶ国から13ヶ国に減りました。ですがその数稼ぎのためだけにわざわざ「外交を買う」というのは何の価値もありません。
2、「台湾との国交」には落とし穴がある
そもそも、現在の国際社会では中国と国交を結べば台湾とは断交し、台湾と国交を結べば中国と断交するという決まりが守られています。
今、台湾と国交がある13ヶ国はどういう立場をとっているかというと、「台湾」という1つの独立した国として関係を結んでいるのではありません。「中国の代表」(中華民国)として関係を結んでいるのです。中華民国こそが中国全土の代表であり、他に正当性のある国家は存在しないと認めているということです。
これはつまり、中華人民共和国と中華民国の争いの話であって、現在の台湾とは関係がないのです。これでは、中国との争いを助長するだけで、台湾の国際社会への参加にとって悪い影響しかありません。
そのため、中華民国を支持している国家は13からゼロになるべきであり、ホンジュラスとの断交も祝福すべきことなのです。
3、注目が高まった蔡英文の訪米
実は、アメリカには珍しい国内法があります。それは「台北法」という法律です。どういう内容かというと、台湾ができるだけ国際社会で活躍できるように、台湾と各国の外交関係を守る義務がアメリカ政府にある、というもの。
ですから今回の断交は、実はアメリカの努力不足という見方もあるのです。実際に、バイデン大統領は元上院議員のドッド大統領顧問をホンジュラスに派遣して、台湾と断交しないように説得もしていましたがその結果、ダメだったということです。
裏で動いていた中国としては、台湾に恥をかかせたかったのでしょうけど、この法律は世界的に有名ですから、実は一番恥をかいたのはアメリカだったとも言えるのです。アメリカとしては台湾に借りを作ってしまったことになります。
ちょうど蔡英文がこれから4年ぶりの訪米をするタイミングでしたから、ますますこの訪米が注目されるのではないかと思います。このような3つの理由から、台湾にとっては大いに祝福すべきニュースでした。
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アメリカの情報セキュリティ事情:230404情報
アメリカでは、TikTokのアプリを通じて中国側に情報が漏えいしないか警戒が高まっていて、去年12月、連邦政府が所有する端末で「TikTok」を利用することを禁止する法律が連邦議会で成立していました。これを受けてアメリカのホワイトハウスは2月27日、連邦政府の機関に対し、公用の端末から30日以内にアプリを削除するよう指示しました。
また、複数のアメリカメディアが17日、「TikTok」の親会社、バイトダンスが司法省とFBI=連邦捜査局の捜査対象となっていると一斉に報じました。個人情報に不正にアクセスし、「TikTok」に批判的な記事を書いた記者を監視していた疑いがあるとしています。
しかし、アメリカでは「TikTok」以上の情報漏洩があるようで、政府の情報がダダ洩れになっているようです。日本ではあまり報道されていないようですので、国際政治学者の情報を引用します。
2月8日、アメリカの国防総省で情報漏洩がありました。いわゆる機密情報ではないものの、特殊部隊の隊員の個人情報がパスワードなしで外部から閲覧できるようになっていたそうです。
特殊部隊も当然、海外で特殊な活動に従事したりするかなり重要な役割を担う軍人。その人たちの情報が漏れていたことはかなり重大なピンチだと思います。このシステムのクラウド担当企業はマイクロソフトでした。2月8日に民間人が発見しその後、修復できたと発表したのが2月20日でした。12日間たっていたということなんです。
それだけではありません。FBIのコンピューターも侵入されていた事実が発覚しました。2/17、CNNがFBIの広報官がハッキングを認めたと報道したのです。ハッキングされた情報がどういう情報なのかを公にはしていません。犯人を探しているもののまだ分からない状況です。
これは先日の気球問題に加え、アメリカは防空体制も情報セキュリティも、穴だらけだとわかってきたのです。
■世界を襲うハッカー集団の正体
2月2日~23日の3週間ほど、欧米で5000人近くの被害者が出るランサムウェアの事件がありました。ランサムウェアとは、これに感染したコンピューターはアクセスに制限がかかり、制限の解除にお金が要求されるもの。
なんと、5000ヶ所のうち 2000ヶ所はフランスで、集中的に狙われていました。その他は、アメリカ、ハンガリー、イタリア、ドイツなど…かなりランダムで、かなり大きな企業の大事な中枢コンピューターもやられてしまいました。
一体、誰が犯人なのでしょうか? これを考えると、容疑者は2人しか浮かんでこないでしょう。ロシアと中国です。
ただ、中国はこれくらいの実力とそれだけの悪い意思を持っていると思いますが、今、習近平としては対米関係は悪化させたくないのです。気球問題で悪化してしまったので、自分の方も対米経済関係を改善したい、今は少し妥協しようかなというところ。
ですから、ロシアの可能性が高いのではないかと思います。
今、ウクライナ戦争でアメリカがウクライナへ兵器供与をどんどんしているので、自分達にとっては非常に不都合なことです。そのため、アメリカの中枢機関を麻痺させたい。そして、原発大国のフランスも麻痺させたいのです。
なぜなら、ウクライナ戦争のエネルギー的側面に、欧米の原発推進派がロシアの天然ガス輸出を憎んでいたことがあります。そして、ロシアの海底パイプライン:ノルドストリーム2をアメリカが破壊した可能性が高いことが分かってきています。
つまり、今回のサイバー攻撃はこういったことに対するロシア側の反撃ではないか、というのが私の今の推測です。
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