きのねの本音

染色や木彫り そして気の合う仲間たち
大好きなものに囲まれ シニアライフを楽しんでいます
時には 愚痴や本音もポロリ

“おおきな木”という絵本

2012-07-11 21:12:40 | 日記

“おおきな木”という絵本をラジオで知り、すぐに購入した。
もう1ヶ月も前の話である。

この本は、シェル、シルヴァスタイン(著) 村上春樹さん翻訳で出版されて、
話題になったが、その分、無償の愛のテーマーが賛否の対象になった。

歳のせいか、私のように60歳を超えると、無償の愛で育てられたことを、
素直に感謝できるのだが。

色んな考え方が有ると思うが、簡単にあらすじを紹介してみます。


 

おおきなリンゴの木があった。

小さな男の子は、この木と遊ぶのが大好きだった。
木登りしたり、かくれんぼをしたり、ぶら下がったり、

木も男の子が大好きだった。
男の子は、少しづつ成長して、いつしか、来なくなった。

月日が過ぎ、男の子は少年になって、やって来た。

「欲しいものがいっぱい有るんだ。その為、お金が欲しいんだ」と言った。

木は「お金は持ってないが、私の実を取って売りなさい」と言う。

少年は、1個残らず実をもぎ取って行ったが、
木は幸せだった。

そして、また月日は過ぎた。
少年は、大人になって、やって来た。

「結婚して、家族を持ちたいんだ。その為、家が欲しいんだ」と言った。

木は「家は持ってないが、私の枝で、家を建てなさい」と言う。

少年は、1本も残さず枝を切り取って、持って行った。
雨、風を防ぐ1本の枝も無くなった木は、少しづつ弱っていったが、
それでも、幸せだった。

そして、また月日は過ぎ、少年は、疲れてやって来た。

「この街を出て、新しい土地に行きたいんだ。その為、船が欲しいんだ」と言った。

木は「船は持ってないが、私の幹で船を作りなさい」と言う。

少年は、根元から木を切り、持って行った。
この時初めて、切り株だけになった木は、幸せだとは、言えなかった。

それから、また月日が過ぎ、少年は年老いて、やって来た。

木は言った「私には、もうあげられるものが、何にも無い」と・・・

年老いた少年は「もう何にも欲しい物は無い。静かに座れる場所が欲しいだけ」と言う。

切り株だけになった木は「ここに座りなさい」と言って、
精一杯背筋を伸ばし、年老いた少年を座らせた。 


 

 一度読んだだけなのに、はっきりとあらすじを覚えている自分にびっくりした。
そして、1か月たった今の方が、感動している自分がいる。

私の父は、92歳。
無償の愛で、私たちを育ててくれた。
もう、すっかり切り株になっているだろうに、今も私たちを心配して、
手作りの野菜を送ってくれる。

この本の帯に書かれた言葉が
あなたは少年ですか。
木ですか。・・・と問いかける。

私は60歳過ぎても、親孝行の一つも出来ない、少年のままである。

92歳の父の切り株に、私の座る場所は、まだあるのだろうか。

一度、父のもとに帰ろうと思う。
しなければならない事を、今、見つけた気がする。

 

コメント
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