歳をとると、昔のことばかりを思い出す。
もう30年以上も前の話である。
息子たちがまだ保育園に行っていた頃、父母会の有志で、
人形劇団を作っていた事があった。
軍手で手作りした指人形や、紙に絵を書き長い棒をつけた物を、
動かすだけの簡単なものだったが、
それでも、プロの人形劇団に、教わりに行ったり、
夕食後、子供を連れて、練習にも集まった。
地域の運動会や、父母会の行事では、子供たちの前で披露もした。
そんな活動は、息子たちが卒園するまで続けられた。
その時の、人形劇団の名前が“おむすび”だった。
人形劇団を紹介する記事に、名前の意味を書かせてもらった事があった。
子育てを語るとき、手塩に掛けて育てる。と言う風に“手塩”と言う言葉を使うが、
この“手塩”は、おむすびをむすぶ時、手に塩を付けることから来ているそうだ。
手に塩を付け、まだ温かいご飯を、両手で包みこむように、ギュッとむすぶ。
この時のギュッは、きつ過ぎてもいけない。柔らか過ぎてもいけない。
ちょうど、いい頃合いが必要だ。
子育てにも、このちょうどいい頃合いが、必要だと思う。
子供を両手で、ギュッと包み込むように育てていきたい。
そんな思いで“おむすび”と名付けました。
そんな事を書いた記憶がある。
その時の子供たちは、もう親になり子育てをしている。
だからと言って、おむすび論を、押しつけがましく言うつもりはない。
ましてや、子育てに口出すつもりもない。
ただ、歳をとった母親が、昔を懐かしがっているだけなのだ。
数えてみれば、あの頃の私は、今の息子より若かった。