あきらの稽古日誌~合唱、日本舞踊、ETC

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

芝居のメッセージを表現する

2012-12-24 09:59:21 | 日記
「お金を返せ!」、「てる」が、必死に「田口」に迫る。
「田口」、せせら笑う。
「てる」、ついに土下座して、涙ながらに「返して下さい」と懇願する。
その後の「伸枝」の台詞に注目。

「よしなよ、てるちゃん。立って、さあ、立って。」

ディレクターは、この台詞に、この芝居のメッセージ性を見る。
「てるは、ここで、生涯かけて貯めた唯一の生きがいともいえる金に対する執着を見せる。
しかし、伸枝は、てるの必死さには、(感情的に)ついていけない。
でも、てるの泣き声を聞いて、いたたまれない気分になる。
将来の確固たる見通しもなく借金を繰り返し、日々をしのいでいる伸枝が、てるのこの姿を見た時に、心に去来するものは、何か?
ディレクターは、一語一語絞り出すように、ポツポツと語る。
《伸枝には、てるの姿が耐えられない。
しかし、金の亡者となった「てる」に対し、毅然と、冷静に、ちょっと冷たく見える雰囲気で、「よしなよ、てるちゃん。・・・」
ここでは、「伸枝」は作者の代弁者である。
そこには、「てる」の生き方に賛成できないという作者のメッセージが、示されている。》と。

ここまで掘り下げるんですね。
ディレクターの言葉には、いつも感銘を受けます。

てる「返してください。」(左から田口、てる、伸枝、待子)


伸枝「よしなよ。てるちゃん。・・・」