「デビンちゃん」という名の由来

(昨日の続き)
 やせ細ったデビンちゃんは、ふっくらした日本猫の体型とは程遠くて、まるで猫の図鑑に載っているオリエンタルショートヘアーにそっくりだったから、もしかしたらそういう東洋系の猫かもしれないと思ったのだが、毎日しっかりご飯を食べて、数週間後には、真ん丸い顔と白いおでこが愛らしい正真正銘の雑種猫となった。ばさばさだった毛並みも、黒光りするほどつややかになって、家猫の中の誰よりも手触りがよくなった。
 次の年の夏には、夜の窓明かりに集まってきた蝉を、食べる目的ではなく捕まえること自体を楽しんで捕まえたり、アマガエルを部屋の真ん中に運んできて、カエルが跳ぶ様子を眺めたり、びっくりしたけれど巨大なカマキリを私にプレゼントしてくれる余裕も出来た。ようやく飢餓の記憶から解放されたデビンちゃんが、蝉を食べずに捕まえて遊ぶ姿を見て、どんなにほっとしただろう。(もっとも、蝉に関して言えば、その後、今度はおそらく珍味のひとつとして、食するようになった。)
 ちなみに、デビンちゃんという名前は、やせ細っていたときの猫離れした細長い顔が、映画界の奇才デビッド・リンチ監督のデビュー作「イレイザー・ヘッド」に出てくる奇妙な生き物に似ていたので、監督の名前をとって「デビちゃん」、それがなまって「デビンちゃん」となったのだが、今から考えると、ひどい命名だと思う。
 先日、実家の裏に現れた子猫だけれど、こちらが用意した餌を食べている様子もなく、あれから姿を見せないという。頼りない子猫が、どこでどうしているのか、考えると不憫でならない。どこかいい家を見つけたのならいいけれど、もしそうでないのなら、終身ご飯とベッド付き、少々自由は制限されるけれど、決して悪い話ではないと思うので、ぜひうちに来てもらいたい。


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