かっこいい見かけとは裏腹に、
みょ～にオバサンっぽい、中年役者のＡさん。
スタジオ稽古が終了し、劇場に入って、
生活の拠点が楽屋に移ると・・・、
今度は、
掃除と片付けだけじゃ物足りなくなったようで、
ご自宅から、
バカでかい空気清浄機を持ってきてくれました。
「空気悪すぎだからさ。
ほら、こんな秘密兵器、持ってきたよ！」
・・・と。
・・・狭い楽屋に、
・・・でかい清浄機
その上、音がまたでかい。
またまたその上、ときどき、おかしくなって、
「ブウォーンブウォーン」と、
とんでもない大きな音でうなりだす・・・
楽屋と舞台が隣り合わせの、小さな小屋。
楽屋での会話も気をつけているくらいのところに、
「ブウォーンブウォーン」
でも、せっかく持ってきてくれたんだし、と、
最初はまぁ我慢していたのですが、
これが突然、本番中にうなりはじめたんです。
「ブウォーンブウォーン、ブウォーンブウォーン」
まぁ、音のでかいのなんの！
楽屋からの音で、
舞台の会話が聞こえないんじゃないか、ってくらい。
「やばい、消さなきゃ。
スイッチ切って！」
「え？ まずいよまずいよ！
これ、スイッチ切っても切れないよ」
「えーーっ、壊れてるんだっ！
コンセント引っこ抜け！」
「コード！ コードどこっ？ あっ、ここだっ！」
みんな、汚しちゃいけない衣装のまま、
床を這いずり回って、奥のコンセントを引っこ抜いて、
ほ～～、やれやれ
もう汗だくです。
あ、ちなみに、こういう会話、
みんなで叫んでるみたいに読めますが、
これだけテンパった会話を、
ものすごいヒソヒソ声でやっていますので（笑）
こういうシチュエーション、
たまに冷静になって観察すると、かなり笑えます。
そして本番終了。
カーテンコールを済ませて、
彼が楽屋に戻ってきました。
（つづく）
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