いつもは観た芝居の感想は絶対書かないのですが、
先日観てきた芝居のことを少しだけ。
すごく面白かったし、役者さんたちも素敵だったし、
でも、そんな公演はたくさんあるわけで。
あ、だから、芝居の感想じゃないのかも。
舞台は1900年の年の瀬。
年が明ければ、20世紀が始まる、という時代。
なのでタイトルは「OVER THE CENTURY」
もちろん、作品自体がめちゃくちゃ面白かったのですが、
でも、それ以上に心が動いたのは、ラスト近く。
登場人物が、20世紀に思いを馳せるシーンがあるのです。
20世紀になったら、
みんなが空を飛べるかもしれない。電車が土の中を走るかもしれない。
他にも、いろいろな想像の産物が語られます。
できたことも、できないことも、
21世紀の未来から彼らを見ている私たちには、全部その結果がわかっています。
いや、それ以上に、20世紀という時代が決して夢のような100年ではなかった、
って事も、私たちみんな、知っているわけです。
でもその登場人物たちが目を輝かせて語るのは、明るい夢ばかり。
そんな彼らを見ているうちに、
なんというか、心の中のいつもと違う部分が動いたんですね。
彼らと一緒にワクワクしてしまっている自分が・・・。
そして今、この21世紀。
本当にロクなことがないと暗い気持ちになっているこの時代でも、
しばしそれを忘れて、
未来を夢見たっていいじゃないか、と思っている自分が・・・。
何十年と役者をやってきたおかげで、
作品を純粋に楽しめない悲しい習性ができてしまった私が、
こうやって作品の中に入って、心が自由になっているって、
衝撃でした。
上演しているのは、丸福ボンバーズという劇団さん。
小田急線の千歳船橋にある、APOCシアターという、
本当に小さな劇場での公演です。
といっても、作・演出は、とっても有名な方で、
・・・なーんて、そんな事は一切関係ないですね。
12月って、やっぱり独特の感情が動きやすいのかも。
これがいよいよ大晦日が近づくと、
今度は談志の「芝浜」を聴きたくなるんだなぁ。