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雀庵の「常在戦場/74 習近平式“文革”が始まった」

2021-08-26 15:41:41 | 日記
雀庵の「常在戦場/74 習近平式“文革”が始まった」
“シーチン”修一 2.0


【Anne G. of Red Gables/358(2021/8/26/木】チャイナウォチャーの福島香織氏が懸念していた「文革2.0」が正式に始まった。毛沢東の文化大革命は1966~1976年の10年間で、本質的には自らの失政で実権を失い神棚に祀り上げられていた毛沢東が復権を狙って起こした内乱だった。


毛沢東は、「共産主義より経済を重視して、みんなで豊かになろう」という劉少奇、トウ小平ら実務派を、若者を洗脳、扇動して排除、屈服させ、永遠の皇帝、国父として君臨することに成功した。「一将功成りて万骨枯る」、6000万人が殺され、国際社会から孤立して経済もボロボロになった。


中共は世界第2の経済大国になった今でも半数近い6億人は「どうにか三度の飯が食えるようになった」という貧困層である。この6億を支援するためか、手懐けるためかは判然としないが、毛沢東の正統な後継者を目指す習近平はいよいよ「習近平式文革」を始めた。


汚濁に満ちた資本主義的世界から孤立してもいい、毛沢東式の清貧的自給自足経済でも構わない、金持ちも貧乏人もいないマルクス・レーニン・毛沢東(MLM)主義の理想国家、あるいはポルポト式「私有なき原始共産主義」への回帰を目指すつもりか、近現代では誰も成功しなかった破滅的な妄想を実現しようと大きく一歩を踏み出した。


習近平は狡猾な毛沢東を目指しながらポルポトの如く人民を地獄に陥れるだろう。ベテランチャイナウォチャー・近藤大介氏「文化大革命の再来か 中国経済を揺るがす『共同富裕』という強権発動」『現代ビジネス』2021/8/24から。


<(党重鎮による非公開の北戴河会議後)8月17日に早速、その「強烈なアクション」が始動した。習近平が中央財経委員会会議を招集したのだ。参加したのは李克強首相、汪洋全国政治協商会議主席、王滬寧中央財経委員会委員、韓正同委員。この4人はいずれ「トップ7」(中央政治局常務委員)のメンバーだ。


彼ら最高幹部に加えて、国家発展改革委員会、財政部、人力資源・社会保障部、中央農業弁公室、中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会の幹部たちも参加した。


テーマは「共同富裕問題の着実な促進の研究」。習近平が長い重要講話をぶった。要旨は――


(1978年末からの)改革開放政策の実施後、中国共産党は、プラスとマイナスの両方の深い経験をした。貧国は社会主義でないことを知り、伝統的な体制の束縛を打ち破った。そして一部の人、一部の地域が先に富んでいくことを許容し、社会の生産力の解放と発展を進めたのだ。


(2012年11月に習近平総書記を選出した)第18回共産党大会以来、中央委員会は、国民全体の「共同富裕」の実現をだんだんと重要な位置に据えるようにしていった。有効な措置、保障と民生の改善を行い、脱貧困の戦いに打ち勝ち、全面的な小康社会(そこそこに豊かな社会)を達成した。「共同富裕」の良好な条件を作り出すように促進していったのだ。


我々は今まさに第二の100年(2021年7月の共産党創建100周年に続く2049年の建国100周年)に奮闘目標に向かって邁進中である。わが国の社会の主要な矛盾の変化に適応し、国民が日増しに望む快適な生活の需要をさらに満足させようとしている。それには国民全体の「共同富裕」の促進を、国民が求める幸福の力点に定め、党の長期の執政の基礎を固めていかねばならない。


「共同富裕」とは、国民全体の富裕であり、庶民の物質生活と精神生活がともに富裕になることだ。少数の人が富裕になることではなく、平均主義の線引きをすることでもない。段階ごとに共同富裕を促進していく必要がある、云々・・・


キーワードは「共同富裕」だ。高所得者層の有り余る財産を、低所得者層に回そうということ。要は「共同富裕」の名の下に、韓国の左派政権がお得意とする「財閥叩き」のようなことが、中国で始まろうとしているのである。


特に狙いをつけられているのが、振興著しい大手IT企業(及びその創業経営者)だ。だからこそ恐れをなしたテンセントは、邦貨8500億円もの資金を差し出したのである。ちなみにテンセントの深センの本社ビルの前には「共産党とともに創業する」と大書したモニュメントが飾られている。


習近平政権が突如として掲げ始めた「共同富裕」という言葉は、実は新語ではない。習近平は、一言で言えば、何でも崇拝する毛沢東のマネをする人だが、今回も例外ではない。実は1953年12月16日、毛沢東は「中共中央の農業生産合作社の発展に関する決議」において、こう記している。


「農業生産力をさらに引き上げるため、党の農村活動の最も根本的な任務は、すなわち明快平易で農民が受け入れられるような道理と方法で教育し、農民たちを次第に組織化していくのがよい。次第に農業の社会主義への改造を実行し、農民が遅れた小規模生産の個人経済から、先進的な大規模生産の合作経済へと変わっていけるようにするのだ。


そして次第に、工業と農業の二つの経済部門の発展の不釣り合いな矛盾を克服していくのだ。かつ農民が一歩一歩、完全に貧困から脱却できるような状況をにし、共同富裕と普遍繁栄の生活を取得できるようにするのだ」


この文章の起草者は毛沢東本人である。以来、同月だけで『人民日報』に9回も「共同富裕」が登場した。


この毛沢東の考えを結実させたのが1958年から正式に始まった「人民公社」である。この年、毛沢東はこの集団農場化を基軸として、大躍進運動を推し進めた。「15年でイギリスの鉄鋼生産を追い越す」などと言い出し、その結果、中国経済は破綻。4000万人が餓死する三年飢饉となった。


それでも毛主席は1960年代に入ると、今度は文化大革命を起こして中国経済をさらに破綻に追い込んだ・・・


1978年以降、そんな中国経済を発展に導いたのが「改革開放の総設計師」ことトウ小平である。中国の従来の社会システムだった「社会主義計画経済」を「社会主義市場経済」に変え、「先富論」を唱えた。「先に富める者から富んでいけ」というわけだ。ここから雨後の筍のように、民営企業が生まれたのである。続く江沢民、胡錦濤はトウ小平路線を歩み、「改革開放の果実」を享受した時代だった。


そして2012年11月の第18回共産党大会で登壇したのが習近平だ。習主席が目指したのはトウ小平路線の継承ではなくて、毛沢東路線の復活だった。登壇から9年近くを経て、いよいよ毛沢東式の「共同富裕」を始めようというわけだ。昨年来の新型コロナウイルスの蔓延によって、習近平主席のコアな支持層である庶民層の生活を直撃し、彼らの経済が立ち行かなくなってきているのである。もはや取れるところから取るしかない。


毛沢東が「9つの敵」とみなしたのが、地主、富農、反革命、悪人、右派、叛徒、特務、走資派、知識分子だった。特に標的にしたのが富裕層で、財産をすべて没収したどころか、一族をすべて貶(おとし)めた。


もしも毛沢東がいまも存命なら、真っ先に叩くのがアリババだろう。アリババは昨年11月3日、子会社のアント・フィナンシャルが上場のわずか2日前に、中国当局から上場をストップされた。今年4月10日には、中国当局に史上最高額の182億2800万元(約3100億円)もの罰金を喰らった。


そして「共同富裕」のキャンペーンが始まった後、正確には8月21日夜7時半、党中央紀律検査委員会と国家監察委員会の共同ホームページは、漢字45文字からなる小さな「通知」を掲載した。


「浙江省党委常務委員、杭州市党委書記の周江勇は、重大な紀律法律違反の容疑により、現在まさに中央紀律検査委員会と国家監察委員会の紀律審査と監察調査を受けている」


杭州市トップの周江勇書記は、杭州市に本社を置く「アリババの後見人」と言われる男である。アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)とは「刎頸の友」で、2019年9月7日には馬雲に「功勲杭州人」の称号を与えている。その馬雲も自宅に「蟄居」したままだ。
「共同富裕」とは、もしかしたら中国に嵐を呼ぶものなのかもしれない>


「嵐」で済むのかどうか・・・福島香織氏も疑義を呈している。


<8月17日の会議では、習近平は「共同富裕は社会主義の本質的要求であり、中国式現代化の重要な特徴である」とし、「質の高い発展の中で共同富裕を促進していかねばならない」と訴えた。そして初めて「高すぎる収入は合理的に調整し、高収入層と企業にさらに多くの社会に報いることを奨励する」と、寄付・慈善事業などの富の分配方法に言及した。


そして、低所得層の収入を増加させ、高所得層を合理的に調節し、違法収入を取り締まり、中間層を拡大して、低所得と高所得を減らしてラグビーボール型の分配構造を構成することを打ち出し、社会の公正正義を促進する、とした。


ここで富裕層たちの肝を寒からしめたのは、高所得層と企業がより多く社会に報いるべきだ、として、寄付や社会貢献が求められている点だ。会議では共同富裕を実施する手段として「一次分配(市場メカニズムによる分配)、再分配(税制、社会保障による分配)、三次分配(寄付、慈善事業)を協調させて、基礎的な制度を準備する」と表現。


三次分配である寄付、慈善事業は「道徳の力の作用」のもと、富裕層・大企業が自ら進んで行うことが求められている。だが、今の習近平体制の中で、富裕層・大企業に本当の意味での自由意志が認められているだろうか。


「共同富裕」どころか、いじめられた民営企業がモチベーションを失い、経済のパイが縮小し、一部の富裕層は富を失うかもしれないが中間層はさらに富を失い、貧困層はより貧しくなる「共同貧困」時代が来るかもしれない。


いや、富裕層に向けられる大衆の敵意がより煽動され、最悪、文革のような階級闘争時代が帰ってくるかもしれない>(「みんなで豊かに」習近平提唱の新目標に怯える大企業と富裕層」JPプレス2021.8.26)


改革開放政策を止めて市場経済を抑圧し、共産主義統制経済に復帰するなら外資は中国から手を引くだろうし、中共自身も悪しき西側世界との交流を望まず国境を固くして引き籠るかもしれない。しかし、孤立すればソ連の二の舞で自壊する。


自壊しないためには一点突破、全面展開、外に押し出して縄張り「大アジア共栄圏」を創るしかない。ソ連は無理やり「東欧圏」を創ったが、自由がない、カネがない、モノがない、食い物がない・・・結局、構成国はどんどん逃げ出していった。


中共は自縄自縛の自殺的自虐的経済破壊の上に西側からの経済包囲網・・・静かに自滅してくれれば世界は大喜びだが、国益ではなく目先の利益、私利私欲で動くのが“漢流”のようで、あまり期待しない方が良さそうだ。それどころか人口の1割、1億4000万が難民となって周辺国に押し寄せたり・・・悪夢だ!
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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