雀庵の「開戦前夜/18 盛者必滅、中国のGDPは張子の虎に」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/429(2022/2/7/月】高校の先輩に「金持さん」、大学時代には「地主さん」がいた。昔は村では同じ苗字の家ばかりというのは珍しくなく、屋号で呼ぶのが普通だった。苗字(名字)は明治8年の「平民苗字必称義務令」で普及したが、使い慣れた屋号をそのまま名字にしたケースは多かったろう。
我が家のご先祖様(父の婿入り先、高座郡座間町入谷)は昭和の初めの頃だろう、村で初めて電動式精米所を開設したからか通称は「精米」と呼ばれていた。自宅の真ん中に農業用水路が流れていたから、それ以前から水車による精米を始めていたようだ。戦中・戦後はこの水車小屋でヌー(ネズミ目ヌートリア科、毛皮が売れた)を飼っていたと父が言っていた。電動式精米が軌道に乗ると、三輪自動車「オート三輪」も村で初めて導入したらしい。
10年ほど前に法事の帰路、村を訪ねて近所の人に挨拶したら、高齢の夫人から「ああ、精米の君蔵さんのお孫さんかね」と懐かしがられた。くたばる前にもう一度、訪ねたいが、確定申告の準備もあるし、ツンドク本をざっくりでも読んでおかなければいけないし、3月には父母の法要も予定しており、何よりも「中共殲滅、支那解放」という、喫緊の“天命”を優先しなければと勝手に思っているから、気は急くばかり、嗚呼、如何せん。
カミサンや子供が「温泉にでも浸かってノンビリしたら」と言ってくれ、それもいいかなあと思わないでもないが、かつての多動児は老いても多動ヂヂイで、じっとしていられない性分だ。名所旧跡巡りでも、興味を催すと1カ所に数時間いることもあるから付き添いの連中に嫌な顔をされる。俺は孤独だ、孤老だ、大事にするように、と言いたいが、一方で「ほっといてくれ、Leave me alone!」なんて言うものだから、可愛くないヂヂイ。ま、身勝手、煙たがれるヂヂイではある。
「孤立を恐れずも連帯を求める、万国の孤老団結せよ」・・・開戦前夜の今、国家はイデオロギーや好悪ではなく、目の前の「利益」で動くようだ。世界の嫌われ者、習近平による、習近平のための、習近平の中共五輪に対して、米英豪加NZ、日印蘭、デンマーク、リトアニアが外交ボイコットまたは政府当局者の出席を見送ったという。
一方、習近平をヨイショするために独裁者プーチンの他、国連のグテレス事務総長、エジプトのシーシー大統領、サウジのサルマン皇太子らが出席したが、世界の注目を集める時の人、“狡猾漢”プーチンは眠ったふり?をしていた。習近平の奥さん、彭麗媛も参列していたが、ヨリを戻したわけではあるまい、ポスト習近平、女帝を狙っているのか?
孫子曰く、彼を知り己を知れば百戦殆からず。「上兵は謀を伐つ。其の次は交を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻む。城を攻むるの法は已むを得ざるが為なり」(最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化すること。次策は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立させることである。それができなければ、いよいよ敵と戦火を交えることになるが、その際に一番まずいのが敵の城を攻めることである。城攻めは、他に方策がない場合に仕方なく行う手段に過ぎない)(経営コンサルタント・長尾一洋氏)
戦争に勝つためには敵を観察して“急所”を知る、特に懐具合=経済を探らなければならない、と、このところ小生は思いついた。ところが、経済学を専攻したものの、基本的な簿記でさえ「なんで俺が銭勘定せにゃならんのか」とウンザリして1回授業に出ただけで挫折したから、「中共経済分析」なんて考えただけで頭が痛くなる。しかし、天命ならば是非もなし、まずは三菱UFJモルガン・スタンレー証券のサイトでざっくり経済のイロハを学ぶことにした。
<GDPとは「Gross Domestic Product」の略で、「国内総生産」のことを指します。1年間など、一定期間内に国内で産出された「付加価値」の総額で、国の経済活動状況を示します。付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、原材料や流通費用などを差し引いた価値のことです。
極めてシンプルに例えるならば、付加価値とは「儲け」のことですので、GDPによって国内でどれだけの儲けが産み出されたか、国の経済状況の良し悪しを端的に知ることができます。
【経済成長の度合いがわかるGDP成長率】ある一定期間と次の一定期間のGDPを比較して、変化を%で示すことで、経済成長の度合いを知ることができます。例えば、ある年のGDPが500兆円、次の年のGDPが550兆円だった場合、GDP成長率は(550-500)÷500×100=10%となります。もし、前年のGDP成長率も10%だった場合、同程度の成長が続いているといえるでしょう。
このように、成長率の推移は、経済成長が続いているのか、それとも停滞しているのかを判断する目安になります。
【名目GDPと実質GDPの違い】GDPは、国の経済状況を知ることのできる指標ですが、より正確に状況を知るためには、物価の変動についても考える必要があります。そこで、物価の変動を考慮するかによって、GDPは「名目GDP」と「実質GDP」という2つの指標に分けられます。
・名目GDP:対象の期間の付加価値を単純に合計して求めます。たとえ、インフレが起こって貨幣価値が下がっていたとしても、考慮には入れません。
・実質GDP:貨幣価値の変動を考慮に入れて計算します。そのため、より正確な経済成長状況を把握するためには、実質GDPを用います>
ここまでは分かった。さらにBRAVE ANSWERというサイトを見ると――
<GDPを簡単にいうと「国が1年間にどれだけ儲けたか?」と考えてもらって差し支えありません。具体的には「民需+政府支出+貿易収支」という式で表すことができます。
★民需:消費と投資。「消費」は生活者が行った支出=日本国民約1億2700万人が使ったお金の総額で、日本のGDP約500兆円における約55%は家計消費が占めています。
「投資」は企業が行った支出=日本のGDPの約15%は企業投資。特に機械や工場など有形固定資産へ投資をした「設備投資」が重要な指標です。設備投資は企業の短期未来予測が表れます。日本のGDPの約15%は企業投資です。
★政府支出:政府が使うお金、主に国が発注する公共工事のこと。具体的には「公共工事請負金額」という指標でみることができます。
★貿易収支:輸出額-輸入額。国の輸出額から輸入額を差し引いた総額です。日本では原材料を輸入して車や家電などの製品をつくり、製品を輸出する「加工貿易」によって産業が成立してきました。
加工貿易によって日本の貿易収支は1980年度以降ずっと黒字でしたが、リーマンショックがあった2008年度、日本の貿易収支は赤字になりました。それ以降は黒字になったり赤字になったりしていますが、2011年度以降は継続して赤字であり、2015年度も赤字トレンドが続いています>
なるほど、おおよそのことは分かった。しかし、泡沫企業の経営者であった小生は、税理士に「今期は200万円の黒字にして下さい」と頼めば、税理士はそのようにしてくれた。どうしてもそうならない時は「今期は赤字にしかならないですよ」とダメダシされたが、2期連続で赤字になると銀行から融資を受けられなくなるから、2001年の9.11同時多発テロで会社を畳まざるを得なくなった。まったくの想定外で、売上の6割が米国航空会社のPRで、運休、減便が続いたからどうしようなかった。閑話休題。
そもそも会社経営者は大なり小なり数字を“創る”。そんなことは政府も官庁も投資家も知っている。大体「政府による数字改竄」もあった。改竄とか粉飾はどこの国でも、いつの時代でもあることだろうが、「やり過ぎはダメ」ということだ。化粧はまあいいだろう、しかし整形手術のやり過ぎはまずい。顔面崩壊したり・・・
先進国のGDPは概ね信頼できる。常に監視されているからだ。ところがトップから下っ端まで「数字で出世する」国である中共には「やり過ぎはダメ」とブレーキをかける監査能力や独立した司法、検察、警察、議会、報道機関、言論の自由がない。各省長は党中央の意を伺い、左右の省を観察しながら数字を創っているのだろう。みんな横並びで不自然だ。
李克強首相は2000年前後に「鉄道貨物輸送量、電力消費量、銀行融資残高で経済動向を見ている」と言い、公式発表のGDPが当てにならないことを示唆、「李克強指数」と呼ばれていた。さらに李克強は2020年には「中国には月収1000元(1万5000円、1日500円)の人が6億人もいる」と明かし、暗に習近平の夜郎自大ぶりを批判、物議をかもした(今は半分失脚したよう)。
実需を伴わないマンションや道路、線路などを創っても、それはGDP上ではプラスの数字となり、各省長にとっては実績になる。数字だけを見れば景気がいいことになっている。さらにリベートで懐も温かくなる。まったくもってWinWinだ。
「農村戸籍の貧困層の生活向上のために省のカネをつぎ込んでも儲からない、ドブに捨てるようなものだ。大体、奴らに媚びる必要はないのだし・・・今はゴーストタウン、ゴースト道路でも、それを創れば儲かるし、建設業も潤う、党中央も評価してくれ、出世のための実績になる。基本的にビルやマンションは投資物件で、人は住んでいなくても売れるから、無駄な投資とは言えないだろう。あ、これオフレコだよ、こんなことを記事にでもすると反革命罪で刑務所行きだから、あまり騒ぎ立てない方がいいよ」
まあ、そんなことだろう。以上は「中共経済分析」の初級だが、産経2/5の田村秀男先生の「強権中露はドル利上げに耐えられるか」は大学院コースを超えたトップレベルで、以下のことしか理解できなかった。即ち――
<米連邦準備制度理事会( FRB)はインフレ抑制を名目に利上げへと動く。基軸通貨ドルは(暴れまわっている)中露に対する強力な武器であり、中露は耐えられるか。
中国はドルを主体とする外貨準備資産に応じて人民元を発行する。ドル金利よりも人民元の金利を高くして外貨の流入を誘い、国内からの資金流出を避けなければならない。しかし住宅投資の落ち込みに伴う景気情勢の悪化の中で、中国人民銀行は(景気浮揚のために)利下げせざるを得ない(ドルに連動して利上げはできない)。
となると(中国からの)資本逃避が激しくなり、(旨味の減った)人民元の暴落を防ぐために虎の子の外貨準備(主にドル)を取り崩して人民元を買い支える羽目になる。FRBは2015~18年にかけて政策金利を大幅に引き上げたが、(その際に)中国からの資本逃避(当局が把握できない資本流出)は激増した(外貨準備(外準)の減少)。
習政権は資本逃避による外準減を穴埋めするために、証券投資を中心とする対外債務(国債発行や借入金)を増やしているが、ドル金利上昇は海外投資家の中国市場からの引き上げを促しかねない(投資マネーは利益率=リターンが高くてリスクが低い方へ流れる)。
習近平は今秋の党大会で党トップの座を無期限化させようと狙っているが、ドル依存ゆえに避けられない金融危機のリスクはその野望に立ちはだかるだろう>
ドルよりもリターンを高くすることで投資マネーが中国企業や人民元建ての債券に向かったが、中共経済は最早 WinWinでも昇竜でもなく、下手をするとハードランディングしかねないようだ。既に2018年下半期からトランプ政権の圧力もあって「「中国経済を牽引してきた消費、投資、輸出の『三頭馬車』が、三頭とも動きが鈍くなってきている。これまでは輸出だけは好調だったが、中米貿易摩擦のあおりを受けて、急速に悪化している」という説もあった(近藤大介氏「習近平の金融ブレーンが告発!中国発の金融恐慌は必ず起こる 当局に削除された『幻の論文』」(現代ビジネス2018/7/3)
それから4年、コロナ禍もあって中共経済はかなり怪しくなっているはずだ。古森義久先生「中国の嘘を知ることの重要性」(Japan In-depth 2022/2/2)から。
<日本にとっての中国の動向の重要性がますます巨大となった。とくに2月4日からの北京冬季オリンピックの開幕では中国への日本国民の関心は飛躍的に高まる。その中国の動きは日本の国家全体を大きく揺さぶる。だから日本にとっては中国の動きを正確に知ることが欠かせない。
だが中国共産党政権が公式に発表することには事実の欠落が多い。秘密が多い。そして嘘も少なくない。その点のまさに虚実、真偽を見分けることは日本にとって死活問題ともいえよう。
私はこれまでの長い中国関連の取材や米中関係の報道を基礎にこの中国政府の公式発表の虚実を一冊の本にまとめた。『中国、13の嘘』(飛鳥新社刊)というタイトルの書である。表題はどぎついが中国の虚と実、嘘と真実の区分を体系的に、かつ具体例に基づき報告した実証的な本である。
この報告の主要部分はアメリカの大手研究機関「ヘリテージ財団」が2021年にまとめた長大な調査報告「中国の透明性」に依拠した。「透明性」とは秘密かオープンか、虚偽が真実か、の尺度だといえる・・・
中国がいったいなぜ他の諸国とは異なる方法や規模で内外に虚偽を発信し、事実を隠そうとするのか。その理由は第一に中国共産党政権は自己の支配の継続こそが最高至上の目的であり、独裁支配の保持にかなうためにはあらゆる分野の事実やデータを隠し、ゆがめることが最優先されるシステムができていることである。
つまり中国共産党の自己保存の強烈な欲求こそが自身の統治の真実を隠してしまう、というのだ。そしてアメリカがその中国と競いあうためには、中国側のその真実隠し、つまり虚偽や虚構の実態を知っておくことが不可欠だというわけである。
こうした中国に関する現実はわが日本にも当てはまる。日本としても中国のなにが真実でなにが虚偽かを常に知らねばならない。私が今回の拙著『中国、13の嘘』で訴えたかったのも、まさにその点だった>
中国のGDPは張子の虎、そうであっても威勢がいい間はバレないが、秘すれば現れるのは世の倣い、やがて1930年前後の世界大恐慌みたいになりはしまいか。1991年前後のソ連崩壊の時、ソ連圏以外が無傷で済んだのは、自由主義圏は基本的にソ連と経済的な繋がりが薄かったからだろう。当時の日本はバブル崩壊が始まりバタバタし始めたが、堅気の産業はさしたるダメージは受けなかったと記憶している。
ところが14億の中共経済、“世界の工場”が機能不全になると、自動車から電気製品、パソコン、スマホ、衣料、食糧、自転車、パンダ、ウイルスまで Made in China だらけの世界はどうなるのだろう。あれっ? あまり困らないような・・・そこそこインフラを整えれば、どこの国でも作れそうな・・・
一方で、世界市場の20%近い購買力がフリーズしたら在中企業は撤収することになるが、アジアならインド、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシアなど移転先には困らない。
つまり危険かつ厄介者の中共が消えても、1年も経てば生産、消費はそこそこ軌道に乗るのではないか。14億の2割の3億人ほどが難民と化して押し寄せかねない不安はあるものの、戦狼・中共が消滅すればロシアも大人しくなるだろうから、自由陣営はずいぶん安心できる。インド、台湾、香港、モンゴル、ウイグル、チベットは大喜びするだろう。
中国は言語圏別に10~20程の国に分け、10~20年ほど国連暫定統治にすればいい国になると思うが、甘いか? 自由に伸び伸び金儲けさせ、たっぷり納税させ、福祉国家に領導すれば、世界制覇なんていう持続不可能な妄想は抱かないのではないか。武器よさらば、米国製の日本国憲法を譲れば10年で羊になることは実証済みである。
・・・・・・・・・・・・・・
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/429(2022/2/7/月】高校の先輩に「金持さん」、大学時代には「地主さん」がいた。昔は村では同じ苗字の家ばかりというのは珍しくなく、屋号で呼ぶのが普通だった。苗字(名字)は明治8年の「平民苗字必称義務令」で普及したが、使い慣れた屋号をそのまま名字にしたケースは多かったろう。
我が家のご先祖様(父の婿入り先、高座郡座間町入谷)は昭和の初めの頃だろう、村で初めて電動式精米所を開設したからか通称は「精米」と呼ばれていた。自宅の真ん中に農業用水路が流れていたから、それ以前から水車による精米を始めていたようだ。戦中・戦後はこの水車小屋でヌー(ネズミ目ヌートリア科、毛皮が売れた)を飼っていたと父が言っていた。電動式精米が軌道に乗ると、三輪自動車「オート三輪」も村で初めて導入したらしい。
10年ほど前に法事の帰路、村を訪ねて近所の人に挨拶したら、高齢の夫人から「ああ、精米の君蔵さんのお孫さんかね」と懐かしがられた。くたばる前にもう一度、訪ねたいが、確定申告の準備もあるし、ツンドク本をざっくりでも読んでおかなければいけないし、3月には父母の法要も予定しており、何よりも「中共殲滅、支那解放」という、喫緊の“天命”を優先しなければと勝手に思っているから、気は急くばかり、嗚呼、如何せん。
カミサンや子供が「温泉にでも浸かってノンビリしたら」と言ってくれ、それもいいかなあと思わないでもないが、かつての多動児は老いても多動ヂヂイで、じっとしていられない性分だ。名所旧跡巡りでも、興味を催すと1カ所に数時間いることもあるから付き添いの連中に嫌な顔をされる。俺は孤独だ、孤老だ、大事にするように、と言いたいが、一方で「ほっといてくれ、Leave me alone!」なんて言うものだから、可愛くないヂヂイ。ま、身勝手、煙たがれるヂヂイではある。
「孤立を恐れずも連帯を求める、万国の孤老団結せよ」・・・開戦前夜の今、国家はイデオロギーや好悪ではなく、目の前の「利益」で動くようだ。世界の嫌われ者、習近平による、習近平のための、習近平の中共五輪に対して、米英豪加NZ、日印蘭、デンマーク、リトアニアが外交ボイコットまたは政府当局者の出席を見送ったという。
一方、習近平をヨイショするために独裁者プーチンの他、国連のグテレス事務総長、エジプトのシーシー大統領、サウジのサルマン皇太子らが出席したが、世界の注目を集める時の人、“狡猾漢”プーチンは眠ったふり?をしていた。習近平の奥さん、彭麗媛も参列していたが、ヨリを戻したわけではあるまい、ポスト習近平、女帝を狙っているのか?
孫子曰く、彼を知り己を知れば百戦殆からず。「上兵は謀を伐つ。其の次は交を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻む。城を攻むるの法は已むを得ざるが為なり」(最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化すること。次策は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立させることである。それができなければ、いよいよ敵と戦火を交えることになるが、その際に一番まずいのが敵の城を攻めることである。城攻めは、他に方策がない場合に仕方なく行う手段に過ぎない)(経営コンサルタント・長尾一洋氏)
戦争に勝つためには敵を観察して“急所”を知る、特に懐具合=経済を探らなければならない、と、このところ小生は思いついた。ところが、経済学を専攻したものの、基本的な簿記でさえ「なんで俺が銭勘定せにゃならんのか」とウンザリして1回授業に出ただけで挫折したから、「中共経済分析」なんて考えただけで頭が痛くなる。しかし、天命ならば是非もなし、まずは三菱UFJモルガン・スタンレー証券のサイトでざっくり経済のイロハを学ぶことにした。
<GDPとは「Gross Domestic Product」の略で、「国内総生産」のことを指します。1年間など、一定期間内に国内で産出された「付加価値」の総額で、国の経済活動状況を示します。付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、原材料や流通費用などを差し引いた価値のことです。
極めてシンプルに例えるならば、付加価値とは「儲け」のことですので、GDPによって国内でどれだけの儲けが産み出されたか、国の経済状況の良し悪しを端的に知ることができます。
【経済成長の度合いがわかるGDP成長率】ある一定期間と次の一定期間のGDPを比較して、変化を%で示すことで、経済成長の度合いを知ることができます。例えば、ある年のGDPが500兆円、次の年のGDPが550兆円だった場合、GDP成長率は(550-500)÷500×100=10%となります。もし、前年のGDP成長率も10%だった場合、同程度の成長が続いているといえるでしょう。
このように、成長率の推移は、経済成長が続いているのか、それとも停滞しているのかを判断する目安になります。
【名目GDPと実質GDPの違い】GDPは、国の経済状況を知ることのできる指標ですが、より正確に状況を知るためには、物価の変動についても考える必要があります。そこで、物価の変動を考慮するかによって、GDPは「名目GDP」と「実質GDP」という2つの指標に分けられます。
・名目GDP:対象の期間の付加価値を単純に合計して求めます。たとえ、インフレが起こって貨幣価値が下がっていたとしても、考慮には入れません。
・実質GDP:貨幣価値の変動を考慮に入れて計算します。そのため、より正確な経済成長状況を把握するためには、実質GDPを用います>
ここまでは分かった。さらにBRAVE ANSWERというサイトを見ると――
<GDPを簡単にいうと「国が1年間にどれだけ儲けたか?」と考えてもらって差し支えありません。具体的には「民需+政府支出+貿易収支」という式で表すことができます。
★民需:消費と投資。「消費」は生活者が行った支出=日本国民約1億2700万人が使ったお金の総額で、日本のGDP約500兆円における約55%は家計消費が占めています。
「投資」は企業が行った支出=日本のGDPの約15%は企業投資。特に機械や工場など有形固定資産へ投資をした「設備投資」が重要な指標です。設備投資は企業の短期未来予測が表れます。日本のGDPの約15%は企業投資です。
★政府支出:政府が使うお金、主に国が発注する公共工事のこと。具体的には「公共工事請負金額」という指標でみることができます。
★貿易収支:輸出額-輸入額。国の輸出額から輸入額を差し引いた総額です。日本では原材料を輸入して車や家電などの製品をつくり、製品を輸出する「加工貿易」によって産業が成立してきました。
加工貿易によって日本の貿易収支は1980年度以降ずっと黒字でしたが、リーマンショックがあった2008年度、日本の貿易収支は赤字になりました。それ以降は黒字になったり赤字になったりしていますが、2011年度以降は継続して赤字であり、2015年度も赤字トレンドが続いています>
なるほど、おおよそのことは分かった。しかし、泡沫企業の経営者であった小生は、税理士に「今期は200万円の黒字にして下さい」と頼めば、税理士はそのようにしてくれた。どうしてもそうならない時は「今期は赤字にしかならないですよ」とダメダシされたが、2期連続で赤字になると銀行から融資を受けられなくなるから、2001年の9.11同時多発テロで会社を畳まざるを得なくなった。まったくの想定外で、売上の6割が米国航空会社のPRで、運休、減便が続いたからどうしようなかった。閑話休題。
そもそも会社経営者は大なり小なり数字を“創る”。そんなことは政府も官庁も投資家も知っている。大体「政府による数字改竄」もあった。改竄とか粉飾はどこの国でも、いつの時代でもあることだろうが、「やり過ぎはダメ」ということだ。化粧はまあいいだろう、しかし整形手術のやり過ぎはまずい。顔面崩壊したり・・・
先進国のGDPは概ね信頼できる。常に監視されているからだ。ところがトップから下っ端まで「数字で出世する」国である中共には「やり過ぎはダメ」とブレーキをかける監査能力や独立した司法、検察、警察、議会、報道機関、言論の自由がない。各省長は党中央の意を伺い、左右の省を観察しながら数字を創っているのだろう。みんな横並びで不自然だ。
李克強首相は2000年前後に「鉄道貨物輸送量、電力消費量、銀行融資残高で経済動向を見ている」と言い、公式発表のGDPが当てにならないことを示唆、「李克強指数」と呼ばれていた。さらに李克強は2020年には「中国には月収1000元(1万5000円、1日500円)の人が6億人もいる」と明かし、暗に習近平の夜郎自大ぶりを批判、物議をかもした(今は半分失脚したよう)。
実需を伴わないマンションや道路、線路などを創っても、それはGDP上ではプラスの数字となり、各省長にとっては実績になる。数字だけを見れば景気がいいことになっている。さらにリベートで懐も温かくなる。まったくもってWinWinだ。
「農村戸籍の貧困層の生活向上のために省のカネをつぎ込んでも儲からない、ドブに捨てるようなものだ。大体、奴らに媚びる必要はないのだし・・・今はゴーストタウン、ゴースト道路でも、それを創れば儲かるし、建設業も潤う、党中央も評価してくれ、出世のための実績になる。基本的にビルやマンションは投資物件で、人は住んでいなくても売れるから、無駄な投資とは言えないだろう。あ、これオフレコだよ、こんなことを記事にでもすると反革命罪で刑務所行きだから、あまり騒ぎ立てない方がいいよ」
まあ、そんなことだろう。以上は「中共経済分析」の初級だが、産経2/5の田村秀男先生の「強権中露はドル利上げに耐えられるか」は大学院コースを超えたトップレベルで、以下のことしか理解できなかった。即ち――
<米連邦準備制度理事会( FRB)はインフレ抑制を名目に利上げへと動く。基軸通貨ドルは(暴れまわっている)中露に対する強力な武器であり、中露は耐えられるか。
中国はドルを主体とする外貨準備資産に応じて人民元を発行する。ドル金利よりも人民元の金利を高くして外貨の流入を誘い、国内からの資金流出を避けなければならない。しかし住宅投資の落ち込みに伴う景気情勢の悪化の中で、中国人民銀行は(景気浮揚のために)利下げせざるを得ない(ドルに連動して利上げはできない)。
となると(中国からの)資本逃避が激しくなり、(旨味の減った)人民元の暴落を防ぐために虎の子の外貨準備(主にドル)を取り崩して人民元を買い支える羽目になる。FRBは2015~18年にかけて政策金利を大幅に引き上げたが、(その際に)中国からの資本逃避(当局が把握できない資本流出)は激増した(外貨準備(外準)の減少)。
習政権は資本逃避による外準減を穴埋めするために、証券投資を中心とする対外債務(国債発行や借入金)を増やしているが、ドル金利上昇は海外投資家の中国市場からの引き上げを促しかねない(投資マネーは利益率=リターンが高くてリスクが低い方へ流れる)。
習近平は今秋の党大会で党トップの座を無期限化させようと狙っているが、ドル依存ゆえに避けられない金融危機のリスクはその野望に立ちはだかるだろう>
ドルよりもリターンを高くすることで投資マネーが中国企業や人民元建ての債券に向かったが、中共経済は最早 WinWinでも昇竜でもなく、下手をするとハードランディングしかねないようだ。既に2018年下半期からトランプ政権の圧力もあって「「中国経済を牽引してきた消費、投資、輸出の『三頭馬車』が、三頭とも動きが鈍くなってきている。これまでは輸出だけは好調だったが、中米貿易摩擦のあおりを受けて、急速に悪化している」という説もあった(近藤大介氏「習近平の金融ブレーンが告発!中国発の金融恐慌は必ず起こる 当局に削除された『幻の論文』」(現代ビジネス2018/7/3)
それから4年、コロナ禍もあって中共経済はかなり怪しくなっているはずだ。古森義久先生「中国の嘘を知ることの重要性」(Japan In-depth 2022/2/2)から。
<日本にとっての中国の動向の重要性がますます巨大となった。とくに2月4日からの北京冬季オリンピックの開幕では中国への日本国民の関心は飛躍的に高まる。その中国の動きは日本の国家全体を大きく揺さぶる。だから日本にとっては中国の動きを正確に知ることが欠かせない。
だが中国共産党政権が公式に発表することには事実の欠落が多い。秘密が多い。そして嘘も少なくない。その点のまさに虚実、真偽を見分けることは日本にとって死活問題ともいえよう。
私はこれまでの長い中国関連の取材や米中関係の報道を基礎にこの中国政府の公式発表の虚実を一冊の本にまとめた。『中国、13の嘘』(飛鳥新社刊)というタイトルの書である。表題はどぎついが中国の虚と実、嘘と真実の区分を体系的に、かつ具体例に基づき報告した実証的な本である。
この報告の主要部分はアメリカの大手研究機関「ヘリテージ財団」が2021年にまとめた長大な調査報告「中国の透明性」に依拠した。「透明性」とは秘密かオープンか、虚偽が真実か、の尺度だといえる・・・
中国がいったいなぜ他の諸国とは異なる方法や規模で内外に虚偽を発信し、事実を隠そうとするのか。その理由は第一に中国共産党政権は自己の支配の継続こそが最高至上の目的であり、独裁支配の保持にかなうためにはあらゆる分野の事実やデータを隠し、ゆがめることが最優先されるシステムができていることである。
つまり中国共産党の自己保存の強烈な欲求こそが自身の統治の真実を隠してしまう、というのだ。そしてアメリカがその中国と競いあうためには、中国側のその真実隠し、つまり虚偽や虚構の実態を知っておくことが不可欠だというわけである。
こうした中国に関する現実はわが日本にも当てはまる。日本としても中国のなにが真実でなにが虚偽かを常に知らねばならない。私が今回の拙著『中国、13の嘘』で訴えたかったのも、まさにその点だった>
中国のGDPは張子の虎、そうであっても威勢がいい間はバレないが、秘すれば現れるのは世の倣い、やがて1930年前後の世界大恐慌みたいになりはしまいか。1991年前後のソ連崩壊の時、ソ連圏以外が無傷で済んだのは、自由主義圏は基本的にソ連と経済的な繋がりが薄かったからだろう。当時の日本はバブル崩壊が始まりバタバタし始めたが、堅気の産業はさしたるダメージは受けなかったと記憶している。
ところが14億の中共経済、“世界の工場”が機能不全になると、自動車から電気製品、パソコン、スマホ、衣料、食糧、自転車、パンダ、ウイルスまで Made in China だらけの世界はどうなるのだろう。あれっ? あまり困らないような・・・そこそこインフラを整えれば、どこの国でも作れそうな・・・
一方で、世界市場の20%近い購買力がフリーズしたら在中企業は撤収することになるが、アジアならインド、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシアなど移転先には困らない。
つまり危険かつ厄介者の中共が消えても、1年も経てば生産、消費はそこそこ軌道に乗るのではないか。14億の2割の3億人ほどが難民と化して押し寄せかねない不安はあるものの、戦狼・中共が消滅すればロシアも大人しくなるだろうから、自由陣営はずいぶん安心できる。インド、台湾、香港、モンゴル、ウイグル、チベットは大喜びするだろう。
中国は言語圏別に10~20程の国に分け、10~20年ほど国連暫定統治にすればいい国になると思うが、甘いか? 自由に伸び伸び金儲けさせ、たっぷり納税させ、福祉国家に領導すれば、世界制覇なんていう持続不可能な妄想は抱かないのではないか。武器よさらば、米国製の日本国憲法を譲れば10年で羊になることは実証済みである。
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