都響が今年から開始したマーラーツィクルスを聴きに行ってきた。学生時代は、世の中がマーラーブームまっただ中であり、あちこちの演奏会でマーラーが取り上げられて、色々聴き比べなども楽しかったが、近年マーラーは、とんと聴かなくなったしまった。演奏会に足を向けること自体が減ってしまったのも原因だが、なかなか魅力的に思えるものが少なくなったことも事実だと思う。そんな中、このインバルによるマーラーツィクルスは、それこそ、20年以上前に、都響との組み合わせで何度か聴いたことがある。マーラーを得意とするインバルは、当時からその指揮ぶりには定評があり、一定のファンも多かった。アントンKも、第5や第8の解釈は好きでCDで何度も聴いていた。
友人の勧めもあり、今日のこのインバルのマーラーは外せないと思い、台風の接近する横浜まで行ってきた訳だ。今日の第2交響曲「復活」は、アントンKにとって思い出多い楽曲であり、大好きな曲なので期待せずにはいられない。この曲を実演で聴くのは何年振りだろうか。思い出せないくらい久しぶりになってしまった。ほぼ満席の会場に入り、舞台にはところ狭しと目いっぱい椅子が並べられている。ひな壇には、混声合唱団が並び、オルガンもスタンバイ状態、これがマーラーだ!忘れかけていた雰囲気が甦ってきたところへ、指揮者インバルが舞台へ登場。だいぶ恰幅が良くなった印象だ。さて肝心の演奏はというと、オケのレベルは過去の記憶からすれば、随分と上がっていたが、指揮者とオケとの意思の疎通が感じられないのだ。緩急を与えた解釈は理解できるとして、座った座席の性かもしれないが、ずっしりと効いてほしいところでこなかったり、打楽器が無機質にうるさかったりした箇所が散見していた。しかし、4楽章から5楽章にかけて、特に、混声合唱がPPで歌い始めるところは、さすがに鳥肌がたつくらいに美しく綺麗で感動的だった。この部分が聴けただけでも来た甲斐があったというものだ。ホールから最後の音が消えるか消えないかで、ブラボーの嵐!まあ確かにこの曲の後では、気持ちが高揚するのはわかる。しかし、アントンKは、そんな拍手で沸いているホールを早々に後にして帰路を急いでしまった。