アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

オイゲン・ヨッフム

2013-12-18 16:30:00 | 音楽/芸術

最近聴いたCDの中で、オイゲン・ヨッフム(1902-1987)指揮のベートーヴェンがある。今にして思えば何とも重厚でドイツ物らしい良い音がしていて懐かしく思えた。クラシック音楽も、その時代時代によって演奏が変化していくことはわかっているが、昨今の演奏、特にベートーヴェンは、ずいぶんとスマートでフレッシュになってしまった。いつの間にか、こんな演奏が耳に慣れてしまっていたようで、久しぶりのヨッフムの演奏は、逆に新鮮で楽しめた。

ヨッフムと言えば、言わずと知れたブルックナー指揮者である。アントンKがまだ学生の頃、自宅にグラマフォンのブルックナー交響曲のLP(60年代)があり、親父に聴いてみろ!と言われて、確か第4かなにかに針を落としてみたが、(当時は当然LPレコードなのです)何が何だかわからず、あまり良いイメージが残らなかったことを思い出す。その後、ヨッフムは、EMIでブルックナー全集を完成させることになるが(80年代)、このあたりから、日本でも、朝比奈隆が盛んにブルックナーを取り上げたり、また日本ブルックナー協会も創設され、いわゆる静かなブームのようになっていく訳だ。ヨッフムの実演も何度か足を運ぶことができた。バンベルク響やコンセルトヘボウ管のブルックナーにも触れられたが、何と言っても最晩年に来日した(1986年)時、人見記念講堂で聴いたブル7は忘れられない。その前座のモーツァルトも素晴らしかったが、本命のブルックナーの第7は凄かった。現在この時の実況録音がCD化されているが、聴いてみても当時の半分くらいしか感じられない。やはり録音は記録としての録音でしかない。明らかにアダージョに楽曲の頂点を構えている解釈であり、クライマックスでは、それまで座って指揮していたヨッフムが、思わず立ち上がりオケを絶叫させていた事が思い出される。第7については、圧倒的にハース版派のアントンKも、当日は、版がどうのこうのとか、そういった細かい小さい事はどうでもよくなってしまった・・・

さて、それでは、CDでは何を上げようか?

色々候補がよぎるが、やはりコンセルトヘボウ管を振ったブルックナーの第5だろう!!(TAH247)中期のシンフォニーとしては、地味だが巨大であり、バロック的で厳しい音楽だが、実に的を得た内容とでも言うべきか、感動の幅が他のものと比較して群を抜いている。指揮者ヨッフムが、朝比奈隆に、フィナーレのコーダは、金管群はダブルで!との助言をしたことは有名で、おそらくこの演奏でも、ここの部分は金管楽器群は指定の2倍の人数で演奏しているだろう。ライブ録音とのことだが(1986-12/3~4)、中々録音も良く響きが素晴らしい。お勧めの1枚だ。

色々な音源や情報が蔓延している現代、一歩立ち止まって、19世紀~20世紀の演奏を耳にすることも大切な時間だということを思い知らされた気がしてならない。