上野から直通の水上行きに乗り、丸1日かけて列車に揺られたことが何回かある。そんなプチ旅の道中を記録した画像が結構出てきた。かなり記憶もおぼろげと成り、曖昧なことも多いが、同行してくれた友人も近年では年賀状だけのやり取りになり、いささか切ない想いを感じてしまう。高崎線から上越線に入り、渋川を過ぎる頃、いよいよ線路は高度を上げていく。勾配こそ10‰そこそこだが、確実に山が近づき、MT54も本領発揮とばかり、一段と唸りをあげてくるのだ。いくつかトンネルを抜け、突然トンネルから出た直後、深い渓谷をアンダークロスの橋で渡る区間があるが、この辺りの美しい景観に魅了され、一度現場に立ちたいと思ったもの。そして掲載写真は、それから何度か乗り鉄を楽しんだ後、実際にポイントに立った時の画像だ。
想いを馳せ、気合を入れて現地に向かった割には、大したポイントではなくどこか悔しかった当時の思いはすでに消えてしまった。写真は未熟だが、白地図を買い、距離を測って念入りに計画した若き日の思い出は、不思議と鮮明で、こんな画像からでも浮き上がってくるのだ。そこには、今の心では決して撮影出来ない、純粋で無垢な「撮りたい」という想いの糧が表れている写真に思えてならないのだ。
1975-12-24 2005M とき Tc181-105 上越線:津久田-岩本