とうとう181系「あずさ」には乗車出来なかったと思う。今にして思えば、国鉄の特急電車で、一番身近に感じていたのがこの「あずさ」だったかもしれない。絶えず模型店巡りを欠かさなかったあの時代、ふと線路に目を向けるとオレンジ色の101系電車に混じって特急色も誇らしく「あずさ」が姿を現していた。ようやく181系電車の後継に当たる189系(長野車で「あさま」と共通だったはずだ)がデビューするタイミングだった頃、訓練か何かで三鷹電車区に突如現れ、ピカピカな車体を披露し、アントンKも興奮を隠せなかったことは未だに鮮明だ。もちろん、当時は181系に混じって183系の0番代車(幕張電車区の車両)も「あずさ」の運用を持っていたが、同系列とはいえ、非貫通型の前面は強烈で、大きな愛称幕は魅力的に映ったものだ。
ここでは当時のものから、沿線で撮影した181系「あずさ」。中央線高架区間で新宿の高層ビルをバックに撮影出来ないか、探し回ったことが懐かしく思い出される。現代とはまるで建物の高さが違い、確かに新宿のビル群は当時特出していたと思うが、カメラを構える位置も高さが足りず、何とも中途半端になったことが今もなお無念な結果として残されている。それでも当時憧れていた181系は、長いボンネットも美しくカッコが良かった。20系客車もそうだが、見ているだけで優雅な気持ちになれる車両は、もう現代には生まれないだろう。そう思うと、いささか心寂しくなってしまうのはアントンKだけだろうか・・昔の車両たちを懐かしむ事もある意味大切なことだが、今の若者たちと一緒に夢中になれる車両に出会い、撮影し語り合い、喜びを分かち合いたいものだ。
1975-10-29 13M あずさ7号 Tc181-1 中央本線:高円寺-阿佐ヶ谷