早朝から夜行列車の撮影に没頭し、一息つける時間帯になった時の一コマ。こんな他愛もない忘れ去られた一コマの方が、今となってはとても懐かしく感じるのはどうしてなのか。全てが変わったと言っても良いほど、鉄道撮影において身の周りの環境に変化が生じて、こうした思い付きでシャッターを押したカットは、当時の想いをそのまま伝えてくれるような気がしている。今からでも遅くはない。目的とは違う、いわゆる「遊びカット」も今後は意識していこうと思い直している。
国鉄時代、東海道線国府津駅でのカット。ここは御殿場線との分岐駅で、当時その歴史を知って驚嘆したことを思い出す。箱根越えの丹奈トンネル開通前は東海道線だったなんて誰が思えるか・・・、当時はまだ、その栄光の歴史を物語る残照が至る所にあったと記憶している。73型電車の横に入線の165系急行「東海1号」東京行き。アントンKは、スカ色の73系が当時から好きで、何度か撮影に出向いているが、やはりそこには、身近で消えていった三鷹電車区の70・71系電車のスカ色をダブらせていたのかもしれない。
1979-03-29 御殿場線73系電車 Tc79309 東海道本線:国府津にて