アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

いつも特別だった中央線の客車列車~EF64

2019-12-21 22:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

昔から撮影してきた鉄道写真を振り返ると、自分自身の小史を見ているようでとても懐かしい。アントンKの場合、以前にも書いてきたが、模型からこの世界へと入ったので、鉄道車両にカメラを向け出したのは、当初「走り」より「止まり」の車両を狙って撮影していた。当時は模型製作の資料としての撮影と考えていたのかもしれないが、その頃の想いはかき消されてしまっている。資料としては、どれもダメダメで、何を撮影していたのか今考えても不甲斐ないものだ。

しかし残された画像の印象より、ほのかな温かい楽しかった記憶の方が、はるかに今では良い思い出として脳裏に浮かぶ。自転車で模型店を廻り、ウィンドウ越しに熱い視線で模型を眺め、ため息をつきながら夢を描いていた時代。少なくとも今よりも心持は楽しかった。ちょうどブルックナーやマーラーを毎日聴き、念仏を唱えていたのもこの頃だ。朝比奈隆の音楽を体験した時期(1978年)と重なり、その充実した時間が計り知ることが出来る。

そんな時期のアントンK、知らず知らずに模型よりも写真に重きを置くようになったのは、前にも書いたEF57という電機だが、同時にその当時、客車列車としてもっとも身近だった中央線の臨時列車だったように思えてならない。模型店近くの三鷹付近におよそやってくるのは、オレンジの101・103系だったが、時折姿を見せる165系に憧れ、70系や115系に山を感じていた。しかしそんな中、ひと際心惹かれたのは、夕方上ってくるEF64が牽いてくる客車列車だった。臨時スジだったこの列車は、前日の夜行で長野へ行き、その返却を兼ねた列車で、この当時は急行「たてしな」としての運転だった。この列車を何とか上手く写したいと躍起になり何度も通っている。結果は失敗の連続で、この時に写真への興味と奥深さを思い知ったのかもしれない。そりゃそうだ!当時ド素人の若造が、太陽光や露出なども考えず、むやみやたらに構えてシャッターを切っていたのだから致し方ないというもの。こうした悔しい想いがバネとなり、一気に鉄道写真への道へと舵を切ることになったと今思い返している。

掲載写真は、そのEF64がけん引する急行「たてしな52号」。三鷹付近で撮影している。集中的にこの列車を撮影していた最終時期のもので、これでも見せられたものではないが、数々の失敗理由がこの1枚に凝縮されているようで個人的には思い出深い。ロクヨンに雑形客車が姿を現すと、いつもの光景がガラッと変わる気がして、その瞬間をいつも楽しんだもの。アントンKの原点の1枚かもしれない。

1978-08-09  8404ㇾ  EF6457  たてしな51号   中央東線:三鷹付近



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