いつの時代にも、工場からの新車輸送、譲渡、廃車といった目的で運転される臨時列車が存在している。情報時代の現代では、SNSを駆使してチョチョイと運転日を調べることは簡単になったが、黒電話や紙の時代ではなかなか遭遇出来ず、偶然に見かけることがほとんどだったように思う。そして鉄道ファン人口が増大したのか、機関車ファンが多いのか、単に「ネタ」物の珍しい列車が好きなのか、とにかく今ではカメラ小僧が溢れているのだ。
確かに珍しい被写体は、写欲を掻き立てるものの、時間軸から考察すると日常のありふれた光景の方が、時間が経ってからの心の熟成が深いと思っている。アントンKもかつて珍しい臨時列車には写欲をそそられ全国を旅した時期もあったが、30~40年時間が過ぎた今見返してみると、余白に撮影していた定期列車たちの方が懐かしく当時を忍ぶことができるのだ。
掲載写真のEF200型も、現在はすでに引退していて見ることはできないが、こんな新車輸送の姿よりも、当時の長大なコンテナを牽き、軽々とやってくるたくましい姿が懐かしく思えてしまうのである。これはアントンKだけかもしれないが、数年前からそんな想いがしており、何気ない日常の鉄道風景にも目配りして撮影に出ている。
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