暮れも押し迫った師走の金曜日、懐かしいブルートレインが東海道線を駆け抜けた。
EF65のP型牽引による特急「富士」がリバイバルされたのだ。編成こそ短いものの、65P型牽引、それも往年のHM装着となれば、いやが上でも撮影したくなるのが心情。しかし平日は時間的にも厳しいものがあり、結局仕事の合間の撮影という、何とも中途半端な気持ちで撮影地に向うことになったのであるが・・・
この日は、冬晴れ。朝から気持ちよく空は澄み切っており、撮影にはベストなコンディションが続いていたが、こうなるとどこで東京14時発の「富士」を狙うかが問題となってくる。可能な限りサイド光にて撮影したいが、限られた時間の中で行けるポイントは、結局戸塚付近となった。おそらく暗いうちから準備していたような撮影者が多く、その中でどうにか場所を確保してその時を待つ。「富士」が来るまでの約1時間の間でも、冬至に近いこの日は、刻一刻と影が変化して、手前のビルの影が長く伸びだしており、かなり良い好みの光の中では想定外であった。「富士」通過予定時刻14:31が近づいたその時、並走して走る横須賀線が戸塚駅に入るのがわかった。「う~ん、これは?」ここ数年の朝練でスカに食われることには、免疫ができているつもりだったが、まさかこの場でやられるのか?といやな予感がして、これまた想定外。
こういう時に限って、その予感は的中してしまうのか。そうこうしているうちに、定刻14:31,戸塚駅に差し掛かるEF65P型のヘッドライトが見えてきてしまった。何と、先行していた横須賀線(実際にはSSライン)と並走で戸塚駅を出てきたではないか!仕方なくゲストを向かい入れようと、とっさにカメラを右に振りシャッターを切り始めた瞬間、背後から「バ~ン!」と上り東海道線がファインダーに飛び込んできてしまい、これにて一貫の終わりと相成った。
鉄道写真には、当然抵抗勢力は数多い。時にそれは、一筋の雲だったり、あるいは帰宅を待つ家族であったり・・何でこんな苦労をしながら、撮影しているんだろうと、冷めた気持ちになることもしばしば・・・
しかし今回のような「カブリ」はどうも後味が悪くて困ったものだ。カブリのないところで撮影すれば良いだけなのに、そのリスクをさて置き、果敢にチャレンジを試みる。希望通り撮影出来た時の満足感を考えながら、一か八か、白か黒かの勝負に出たわけだが、二度々同じ撮影は出来ない結果有りきの写真の世界。やはり厳しいものがある。逆に言えば、それが次へと繋がっていく原動力なのかもしれない。
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2014(H26)-12-19 9003レ EF65501 JR東日本/ 東海道本線:戸塚付近
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