杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ミックマック

2011年01月12日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年9月4日公開 フランス 104分

ビデオ店で働くバジル(ダニー・ブーン)は、ある日発砲事件に巻き込まれ、一命は取り留めたものの、頭には流れ弾が残ってしまう。仕事も家も失ったバジルは、野宿しながらパントマイムで日銭を稼いで暮らしていた。そんなバジルを見かけたガラクタ修理屋プラカール(ジャン=ピエール・マリエル)は、彼を仲間の所へ連れて行く。そこには、とても個性豊かな人々が住んでいた。体を四つ折にできる“軟体女”(ジュリー・フュリエ)、何でも即座に計ってしまう“計算機”(マリー=ジュリー・ボー)、ギネス記録を持つ“人間大砲”(ドミニク・ピノン)、四字熟語やことわざが得意の元民族学研究者“言語オタク”(オマール・シー)、ガラクタから何でも作ってしまう“発明家”(ミッシェル・クレマド)。廃品に囲まれた工場みたいな家には、笑顔と温かな空気が満ちていた。新たな人生を歩み始めたバジルだったが、ガラクタ集めの途中で自分の頭に残る銃弾を造った会社(オーベルヴィリエ軍事会社)と30年前に父の命を奪った地雷を造った会社(ヴィジランテ兵器会社)が向かい合って建っているのを見つける。自分の人生をメチャクチャにした2つの兵器製造会社を許すことは出来ないと、バジルは仲間たちと共に“死の商人”への仕返しを開始する……。

昨年秋に公開されていた作品ですが、いきつけのシネコンに年が明けて上映されることになったので、早速観てきました。

周囲で観た人の評価が大変良かったのも納得です。

非暴力、非戦を貫く復讐劇というのがまず何よりも気に入りました。
バジルを温かく迎え入れてくれ、仲間=家族に気を配る肝っ玉母さん風な“料理番”(ヨランド・モロー)にも悲しい過去があります。バジルも彼の仲間たちもホームレスに分類される社会の負け組ですが、その特技と個性を存分に発揮してユニークな悪戯(といっても十分に計算された筋書きですが)を仕掛けます。

フヌイエ(アンドレ・デュソリエ)とマルコーニ(ニコラ・マリエ)ら軍需産業で巨万の富を築いた死の商人たちへの悪戯の中で、彼らの趣味の悪さや身勝手さを笑いものにしてしまうのです。
例えば、煙突から盗聴作戦で知った情報を基に、収集した有名人の遺品(爪とか眼球とか肝臓とかちょっとグロイ)を盗むエピは笑えます。
偽の取引で双方を疑心暗鬼にさせ喧嘩を煽るやり方も彼らの特技を上手く使っていて面白かったですが、バジルたちは決して他者を傷つけたりはしません。その点もこの作品に親しみを感じるところです。

フヌイエたちに計画がばれてバジルが拉致された時も、頼もしい仲間たちのお蔭で窮地を脱し、反撃に転じるのですが、この作戦がまた愉快。そして「騙された武器商人」の滑稽さがユーチューブで流されるのもとても現代風。
また、悪戯計画の中で生まれるバジルと軟体女恋愛感情も楽しかったです。それにしても彼女の特技は本物?と気になった~~(^^;

全体的にモノクロなサイレント映画のような独特な雰囲気を漂わせていたのも作品の持つ味わいに深みを与えていました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アンストッパブル

2011年01月12日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年1月7日公開 アメリカ 

ペンシルバニア州の操車場。ベテラン機関士のフランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)と車掌のウィル・コルソン(クリス・パイン)の初対面の印象は最悪だった。年齢も家庭環境も異なる2人は、ぎこちない雰囲気のまま旧式の機関車1206号へ乗り込む。一方、最新式貨物列車777号が運転士の怠惰が引き起こした操作ミスにより無人のまま暴走を始める。777号の貨車には大量の化学物質が積まれていて、もし事故が起きれば一つの街を壊滅しかねなかった。鉄道会社の上層部は様々な手段を講じて777号を停止させようとするが、いずれも失敗してしまう。777号と同じ路線を走っていたフランクたちは、間一髪で待避線に入り衝突を回避するが、事態の重大さを知るとすぐさま777号の追跡を開始した。777号の最後尾に連結して、1206号のブレーキで停車させようというのだ。初めこの計画に反対していたウィルも、フランクの経験と直感を信じ命懸けのその計画に同意したのだった。脱線器を使った計画が失敗に終わり、1206号に最後の望みを繋いでテレビ中継を見守る人々の中には、フランクの2人の娘やウィルと別居中の妻の姿もあった。

2011年一発目の劇場鑑賞作品にはこれを選びました。

2001年米北東部で起きた事件に着想を得たと最初に断りが入ります。
未曾有の大事故を防いだという結末なんだろうと思って観てはいても、777号を停止させようとする作戦が失敗に終わる度、またフランクたちの命懸けの作業にもついつい肩に力が入り、手を握りしめてスクリーンに見入ってしまいました。

まずは、あと数日で首を切られるベテラン機関士と、コネ入社の若造といった対比が描かれます。フランクは妻に先立たれて2人の娘との関係もどこか上手くいってない様子。一方ウィルは妻と別居中で、妻子への接近禁止令が出ています。その理由は命懸けで777を追跡する途中で語られるように、彼の嫉妬による被害妄想が原因でした。

テロや、意識的に操作されたというわけではない単純な人的ミスが引き起こした事故は、列車の加速に比例するかのように周囲に多大な騒動と波紋を広げていきます。一作業員の気の緩みが重大な事件を引き起こすのです。しかし、事件を解決に導くのも特殊部隊とかではなく鉄道会社の作業員(機関士と車掌)なのでした。緊急会議の重大な案件をゴルフをしながら決定するTOPや、操車場長のコニー(ロザリオ・ドーソン)の進言に耳を貸さず会社の利益と損失しか頭にない運行部長のガルビン(ケヴィン・ダン)の選択がことごとく失敗に終わるのも、人間性の対比として見れば興味深いものがあります。

映画の最大の見所は何といってもスタントンの街に入る大カーブのシーンでしょう。
制限速度を大幅に超えたまま突っ込む貨物列車に懸命にブレーキをかけて脱線を防ぐその場面はスクリーンでこその迫力です。

暴走列車のスピード感も、生中継する報道ヘリや、車や脱線器などの障害物を蹴散らして突き進むシーンなどで臨場感たっぷりに魅せています。ただ、逐一最新のデータをTVの前にいるだけで知ることが出来るという報道のあり方は凄いな~~とは思いますが、報道ヘリに関しては、あんなに近寄って邪魔じゃないのかなぁとか、無線もヘリの爆音で聞き取りにくいんじゃないの?とか疑問に感じることもありましたが(^^;

事件が解決した後の登場人物たちのその後も紹介されていましたが、まぁ当然でしょ!!っていう・・。ガルビンはともかく、事件を起こした張本人のデューイ(イーサン・サプリー)も解雇だけ??なら軽過ぎな気がするけど。

余談ですが、去年日本上陸した「フーターズ」ネタ、今作でもありました。(フランクの娘たちのバイト先)

何気に好みだったのが溶接工のネッド(リュー・テンプル)。最後にウィルを777の運転席に連れて行った人です。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする