杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

さまよう刃

2012年08月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年10月10日 112分

最愛の一人娘・絵摩が、少年達によって、凌辱され殺された。謎の密告電話により、失意のどん底に落ちていた父親・長峰重樹(寺尾聰)は、犯人を知ることになる。「我が国の法律では未成年者に極刑は望めない!」復讐が何も解決しない虚しい行為だと分かっていながら、父親は自ら犯人を追う―。「警察は市民を守っているわけじゃない。警察が守ろうとしているのは、法律の方ってことですか」娘を殺された父親の気持ちと残酷な犯罪を繰り返す少年を守るかのような少年法の狭間で揺れる刑事・織部孝史(竹野内豊)と真野信一(伊東四朗)。それぞれの苦悩と葛藤が交差し、事件は予想外の結末を迎える。


東野圭吾の同名小説が原作です。

長峰に密告電話をかけたのは、犯人達のパシリをしていた中井誠です。彼は犯人である伴崎敦也や菅野快児を長峰に殺させることで自分の保身を図ったのです。相当な卑怯者とも言えるかなそれでも彼はお咎め無しなの?警察も、犯人と繋がる中井をただ泳がせるだけで携帯履歴も調べない、長峰の家の留守電も放置なんてちょっとあり得ない気もするんですが・・そもそも長峰の携帯から所在割り出すことも可能なんじゃないのぉ?

とにかく、寺尾さんの演技が凄い愛娘を喪った悲しみ・苦しみ・絶望感が全身から滲み出ていて、犯人の一人である伴崎のアパートでビデオを見てショックを受けた様子や、彼を殺す時の躊躇いのない憎しみなどもはっきり伝わってきます。少女が殺される様子は全編を通して具体的な映像として出て来なかったのは救いです。実はそういうシーンがあったら嫌だなぁと思って劇場へは行けなかったのですもの

若手刑事の織部が捜査に疑問を持つ様子は、原作ではもっと詳細にその矛盾点が描かれているのでしょうけれど、時間の限られる映像の中では読み取るのが少し難しいかな彼が長峰に情報を漏らすのも刑事としてありえね~ぞ

長野のペンションの父娘がとった行動もそれぞれの立場から長峰を思い遣った結果でしょう。私はやはり娘の方を支持するけど・・・。(原作と違って長峰は銃の扱いは素人という設定なので、この父の方が銃の使い方を教える場面が挿入されています。)

「予想外の結末」は何となくそうじゃないかなぁという展開ではありました。
長峰の行為は果たして「彼」の中に恐怖や反省、後悔を惹起したのでしょうか?
気になるところです。

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君に届け

2012年08月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年9月25日公開 123分
2011年10月28日 日テレ金曜ロードショー「秋コレ」放送録画分

長い黒髪のせいで“貞子”とあだ名される黒沼爽子(多部未華子)。他人の嫌がる掃除なども積極的にこなす爽子だが、見た目のせいで気味悪がられ、なかなか友だちができない。7月、クラスの人気者の風早翔太(三浦春馬)の提案で、肝試しに行くことに。そこでお化け役を買って出た爽子は、吉田千鶴と矢野あかねというクラスメイトと仲良くなる。そして、爽子が掃除する姿などをいつも見守っていた風早も、爽子を気遣って色々と話しかけてくれるようになる。(goo映画より)

原作は『別冊マーガレット』収載の椎名軽穂の同名漫画で、不器用で周囲に誤解されがちだが、内面は優しく純粋な女子高生・黒沼爽子が経験する初めての友情や恋を描いた作品です。
TV放送版は時間の都合で千鶴の失恋やくるみの告白などがカットされているらしい。

爽やかな子と書くヒロインは、地味で消極的な性格。小声でぼそぼそ話す喋り方や緊張すると強張ってしまう表情など、観ていてイライラしてしまうほど不器用な女の子です。髪型のせいで小さい頃は「座敷わらし」、その後『貞子』が流行ると貞子と呼ばれるようになります。
普通ならそんな風に言われることは苦痛な筈ですが、彼女の場合は自分が『貞子』のように霊感がないことを申し訳なく思うというちょっと変わった性格それだけ純真な子とも言えるのかも。演じる多部未華子は今期のTVドラマのしのぶ先生役のイメージが強烈というか似合ってる気がしてちょっと違和感あるんだけどね

一日一善をモットーとし、他人が嫌がるような清掃なども進んで行う「良い子」なのに、クラスメイトたちは噂(霊を呼び寄せる、3秒以上目が合うと不幸が訪れるetc)を信じて彼女を避けているの。無視とかの苛めに遭わない点は良いのだけど

肝試しがきっかけで千鶴とあかねという友人が出来、風早とも親しくなっていくのですが、彼らが周囲から浮くことを心配して離れようとしたり、風早のことを好きなくるみの策略でトラブルになったりと、青春もののお約束のあれこれが次々に起こります。
友達とどう付き合ったらいいのか、風早に抱いている気持ちが何なのか、初めての経験に戸惑う爽子が何だか眩しくて、つい一緒に感動してじわ~~っと涙が出てきたり・・忘れていた思春期の甘酸っぱい記憶が甦るような作品

爽子の邪魔をするくるみでさえ、根は悪い子じゃないんだもんな

現実ではこんな風に上手くはいかないから、これも一種のファンタジーと見るべきか でも嫌いじゃないよ、こういうお話

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