杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

闇金ウシジマくん

2012年08月29日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2012年8月25日公開 132分

丑嶋馨(山田孝之)は10日で5割(トゴ)、1日3割(ヒサン)という暴利の闇金・カウカウ・ファイナンスを営んでいる。パチンコにはまった母の借金を背負い、容赦ない取り立てに負われる鈴木未來(大島優子)は、友人から楽に稼げると誘われ出会いカフェで働き始めるが、売春だけはしないという決意は、簡単に大金が手に入ることを知ると次第に揺らいでいく。成り上がりを狙う小川純(林遣都)はイベントサークルの代表を務め、イケメンダンサーを集めたイベントを主催しては彼ら目当てに集まる女性たちから金を巻き上げている。セレブへの野心の命運を握る2000人の大イベントの資金集めに奔走しようやくIT企業のスポンサーを見つけるが、丑嶋に奪われてしまい復讐を企むが・・・。


真鍋昌平原作の同名漫画の映画化です。といっても原作コミックも深夜放送の連ドラも見てません。「ナニ金」は中居君が主演してたのと内容が面白かったのでTVシリーズは全て見ているけれど(原作は読んでません)、あれは年率40%(当時)の法律規定で貸す「街金」(消費者金融)の話で、一応人情仕立てにもなってましたが、こちらは完全に法律違反の闇金融業者です。ウシジマ君はにこりとも笑わない無表情で寡黙な男。その取り立ては一切容赦ない非情さが漂います。だけどそれなのに心の奥底には人情が灯ってる、そんな印象を受けるのは山田君の演技力のせい?

冒頭、岡田義徳演じるFX長者の猪俣に向かっての取り立ての様子はかなり過激で驚きますが、同時に、幅広い人脈を持つ成功者でも土壇場で救いの手を差し伸べてくれる友人はいないということを示しているように見えます。これは後に純が最後の救いを求めて三人に電話するエピソードでも感じられました。3台の携帯に3000人のアドレスがあっても、頼れる人は一人もいないという現実が哀しいし切ないですねぇ

ウシジマの取り立てのせいでスポンサーを奪われてしまった純は、幼馴染のネッシー(鈴之助)に知恵をつけられたことを利用して逆にウシジマを嵌めようとします。恐喝の告訴をされて警察で取り調べを受けるウシジマはまるで濡れ衣を着せられた人のように見えるから面白い。刑事の乱暴な言動とウシジマの寡黙さの対比がそう見せるのね

告訴を取り下げさせようとウシジマに雇われた 西尾弁護士(金田明夫)とカウカウの社員たち、柄崎(やべきょうすけ)・高田(崎本大海)や元社員の千秋(片瀬那奈)が動きます。一方仕掛けた純の方は思うように資金が集まらず、会場代の支払いや広告代理店の先輩、上原(ムロツヨシ)の我儘な要求に肉蝮(新井浩文)からの脅迫も加わり追い詰められていきます。
貧乏で学歴のない純が這い上がるために必死で動くほどに自分を追い詰めていく姿は滑稽なピエロのようで切ないです。自分がイケメンたちを利用していると思っている純ですが、実際のところ、彼らの方が純を利用しているんだもんな。

未來(ミコ)はパチンコ狂いで幼い息子の面倒も見ず、自ら売春をするだけでなく娘にも強要するような母(黒沢あすか)を嫌っていますが、母が作った借金の返済をするなど、完全に見捨てることも出来ません。この母がもう憎たらしいほど我欲の塊なのよね。
どうしようもなく流されていくばかりだった未來ですが、母親の借金の利息は払うけれど元本は払わない、とか、出会い系でバイトしても売りはしないとか、ギリギリの一線を最後まで踏み外さない点はエライです きっぱりと自堕落な生活から足を洗い地道にファミレスのバイトを始める未來はバイト先の先輩アキト(市原隼人)となんか良い雰囲気。まぁ、志を高く持つ人にはそれなりの平穏がってところでしょうか

そんな未來と対照的に純の方はどんどん欲に支配され周囲が見えなくなっていきます。どんどん悪人面になっていく純。演じてる林君も凄いね
結局ウシジマたちに拉致られて山中に捨て置かれるまでの状況を作ったのはひとえに純の弱さからなのよね。救いは最後にほんの少し残っていた自分を取り戻したことでしょうか。

映画の最後にアパートの部屋を一軒ずつ回り借金を申し込む老婆が出てきますがこれが内田春菊さん おいおい、演じてる本人も楽しんでないか?

肉蝮との対決シーンや暴力シーンも多いのですが、個人的には人間関係の方に興味があるのでそういうシーンはさらっと頭から流してしまいましたまた、カウカウの元社員とか、ウシジマと登場人物たちとの過去の因縁などドラマや原作を知っていないとわからないところもあったけれど、全体の流れにはあまり関係なかったから、ま、いっか~~!

続編とかあったらまた観たいな

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする