杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

最高の人生をあなたと

2012年08月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年2月4日公開 フランス=ベルギー=イギリス

イギリス人の母とイタリア人の父を持つメアリー(イザベラ・ロッセリーニ)は、建築家として世界的な名声を得ている夫アダム(ウィリアム・ハート)と、ロンドンで30年に及ぶ結婚生活を送ってきた。3人の子供たちはすでに独立、孫にも恵まれたメアリーだったが、突然襲った“記憶の空白”をきっかけに夫婦の老後を考え始めたところ、ふと疑問が心に湧いてくる。“私の人生って何?”高級ブランドのドレスを身に纏い、ゴージャスに着飾っても、なぜか気分は晴れない。若くて美しい娘たちと自分をついつい見比べてしまう。そんな社会からの疎外感にとらわれたメアリーに対して、アダムは若いスタッフとの新プロジェクトに新たな情熱を燃やしていた。これまで円満だった夫婦仲が、次第にギクシャクしてゆく。果たしてメアリーはもう一度、女性として大輪の花を咲かせることができるのだろうか……?そして、夫婦は離別の危機を回避することができるのか……? (goo映画より)

う~~ん・・・もっと違う内容を想像していたのだけれど・・
老境に突入した夫婦が主人公。
妻は老いを自覚し、それに相応しいと考える生活をしたいと思う。
夫は老いに抗い、若い部下と働くことで自分の現実から逃避しようとする。
この夫婦の考え方の違いは根本的な男女の思考の相違点なのかも。

冒頭、夫の受賞スピーチを会場の外に逃れて椅子に座るメアリーが映し出されます。
本来なら夫の晴れやかな姿を会場内で見守るのが普通だけど、彼女にとってこの受賞は夫へつきつけられた「はい、あなたはよく頑張ったけどここまでよ」な現実なわけ
でも彼女以外の人にはそんな気持ちは理解してもらえません。

日常の物忘れ、記憶の欠如も彼女を戸惑わせます。その気持ちはわかるなぁ
アクアビクスでリズムについていけず周囲から浮いてしまうメアリー。ふと鏡の中の自分を見ると、化粧で顔はごまかせても首の皺はどうにもならない。せめてスカーフで覆ってみる。若い女性への男性の視線に対抗して自分も胸元を広げてアピールしてみても誰にも気づいてもらえない・・落ち込むねぇ。で、ただ一人声をかけてくれたスイミングクラブのオーナーが気になる。彼女の気持ちが実にわかってしまう自分がちょっと切ないよ

一方アダムはといえば、妻のように老いを素直に受け入れられません。大きなボタンの電話機やお風呂の手すりなど、家の中を高齢者仕様にするメアリーにいらつき、彼女と共に老いへの準備を始めることにも抵抗します。老人ホームの設計より若手たちと美術館の設計の方に情熱を傾けるのは、まさに老いを拒否する心情からでしょう。あげく、部下の女性に誘われて一線越えちゃうし。男ってさぁ・・・ま、メアリーもなんだけど。面白いのはアダムは友人(経営仲間)に喋っちゃって家族にばれちゃうんだけど、メアリーは口をつぐんだままなのね。もちろん賢いのはメアリーの方だな

二人の溝はどんどん深くなっていくけれど、メアリーの母の死をきっかけにヨリが戻るの。
結局どちらも互いをかけがえのない人として認めているからこそ、愛情が残っているからこその結末です。子供たちの前で恥ずかしげもなく抱き合う姿は日本人には引かれそうだけど、身体のスキンシップも重要と考える欧米人ならではの光景です。

この夫婦の3人の子供たちの対応も三者三様。母寄りの長男、中立的な長女、冷めてる末っ子、それぞれの立場や性格が出てました。

さて、自分たちの老後は・・・急に事を進めずにゆっくりゆっくりいきまっしょい

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