杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

パリ3区の遺産相続人

2016年06月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年11月14日公開 イギリス=フランス=アメリカ 107分

パリの旧市街マレ地区。疎遠だった父を亡くしたマティアス・ゴールド(ケヴィン・クライン)は、相続した遺産のアパルトマンを調べるためにニューヨークからやって来る。離婚3回、子どもはなく、持ち家を処分して借金だけが残った彼にとって、負け犬人生をリセットするチャンスだった。部屋数が多く、庭付きのアパルトマンは高く売れそうだと期待するが、誰もいないはずのそこには、英国生まれの老婦人マティルド・ジラール(マギー・スミス)が住んでいた。驚いたことに、フランス伝統の不動産売買制度“ヴィアジェ”によって、元の所有者であるマティルドが亡くなるまで売却できない上、毎月2,400ユーロを年金のように支払い続けなければならないという。頭を抱えるマティアスだったが、ニューヨークに帰る金もなく、マティルドから部屋を借りることに。夜には、帰宅したマティルドの娘クロエ(クリスティン・スコット・トーマス)から、月末までにお金を支払わなければ不法侵入で訴えると逆に脅される始末。アパルトマン売却の機会を虎視眈々と狙うマティアスは、売れそうな家具を探している最中、父親とマティルドが一緒に写った写真を発見。マティルドは、2人が愛し合っていたことを告白する。長年の父の裏切りを知り、ショックを受けたマティアスは翌日、母親が目の前で自殺したことをクロエに明かす。10才の時に母親が別の男性を愛していることに気づき、傷ついてきたクロエも、既婚男性と不倫関係を続けてきた自分が母親と同類だというジレンマを抱えていた。互いの心の痛みに共感し、その夜、2人は結ばれる。一方、病死と聞いていたマティアスの母親の死の真相を初めて知ったマティルドは、マティアスとクロエの行く末に思いを巡らす。やがて近づくアパルトマン売買契約の期限。マティアスの決断は……?そしてクロエとの恋の行方は……?(Movie Walkerより)


ケビン・クライン、マギー・スミス、クリスティン・スコット・トーマスの名優競演は良かったです。
マギー演じるジラール老婦人の生き方は全く賛同しかねるものの、あまりにも堂々とした信と威厳の前に力技でそういうのもありかもと思わせてしまいます。

物語の中で重要な役割を果たすのがフランス独特の不動産売買制度「ヴィアジェ」。何と200年以上も前から存在する制度なんですって。
アパルトマンや持ち家などの物件を相続する人がいない独り身の老人が、売却しても死ぬまでそこに住める=買い手は売主が死ぬまで物件を自由にできないってこと。フランスも日本ほどではないけれど長寿国なので、買い手にとって通常より安く手に入るけれど、売り手の寿命によって物件の相場が左右されるギャンブル性の高い制度というわけ。さらに「ヴィアジェ」には終身年金という意味もあって、買い手は前金を支払った後、売り手が死ぬまで一定金額を払い続けなければならない。下手すると買い手の方が先に死んじゃうこともあり得ます。

そんな契約を交わした老婦人とマティアスの父の関係は、だから容易に想像できるというもの。
案の定、物語が進むにつれて、恋仲だったことがわかります。
そうなると、マティアスとクロエは兄妹なのか?という疑問が湧いてくるのですが、既に二人はベッドインしちゃってるの検査の結果は血縁関係無しということでホッとしますが、肝心の老婦人はどっちでも構わないという態度これはどうよ??そんな風に達観できるものかしらん?

親の過去に縛られ苦しんできたのはマティアスもクロエも同じ。
母親が夫の浮気を疑い、挙句に自殺してしまったことで、マティアスは父を許せずにいたし、自分が父の本当の娘ではないのではないかという不安を抱えて生きてきたクロエも同じです。
そりゃ、恋愛は自由だし、人の心は縛れないけれど、せめて子供に対する責任はちゃんとしようよ!
マティアスの名が老婦人の名前から採っているなど、言語道断ですけど

親の過去を知ったことで、二人はようやく人生を前に進めたわけですが、内容的には釈然としなかったなぁ

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