日々是好舌

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紫蘇揉んで生命線を際立たす

2011年11月02日 20時35分00秒 | 日記
シソはシソ科シソ属の一年生草本で成長すると高さ一メートルほどになる。シソ科植物は世界中に約一八〇属三五〇〇種があるとされるが、この科にはシソのほか、バジル、ミント、ローズマリー、セージ、マジョラム、オレガノ、タイム、レモンバームなど多くの香草やハーブを含む。葉は対生で、低木やつる性の種もあるが、植物中に精油を含むため香気に富むものが多い。
シソにもペリルアルデヒドに由来する特有の香りと辛味がある。種子からは抗酸化作用のあるα‐リノレン酸を多く含むシソ油が取れるので最近では健康食品としても注目されている。

シソは、元々ヒマラヤやビルマ、中国などが原産で日本へは中国を経て伝わったとされている。その中国にはシソにまつわる次のような逸話が残されている。後漢末、洛陽の若者が蟹の食い過ぎで食中毒を起こした。若者は死にかけていたが、名医・華佗が薬草を煎じ、紫色の薬を作った。この薬を用いたところ、若者はたちまち健康を取り戻した。これ以来、「紫」の「蘇る」薬だということで、この薬草を「紫蘇」というようになった。

シソには幾つもの品種があるが、通常、食用にするのはアオジソとアカジソである。アオジソは葉や花を香味野菜として薬味や刺身のつまや天ぷらなどにする。アオジソの葉は野菜としては「大葉・おおば」とも呼び、四国の土佐地方では「青蘇・せいそ」と呼んでいる。アカジソは、梅干などの色づけに使い、葉を乾燥させたものを香辛料として七味唐辛子に配合することがある。また、熟さない実を付けた「穂じそ」、花が開きかけの「花穂じそ」も刺身のつまに用いることがある。「穂じそ」は箸または手指で茎からこそげ落として使用する。実は萼ごと食用とし、茶漬けなどの風味付けに用いる。ぷちぷちした食感と独特の風味がある。

アカジソの葉を摘んで水洗いし、水気を切って、塩で揉み、初めに出た汁は捨てる。次に梅酢を加えて揉んでから絞ると鮮紅色に発色する。シソの葉はそのまま梅酢に浸して四、五日も置くと、一層濃厚な赤梅酢が得られる。梅干を赤く染めるのには、この赤梅酢に浸けるのである。赤梅酢の用途としては、新生姜、茗荷の子、大根などの赤漬けに用いる。
 
赤梅酢を搾った後のシソは、梅干と一緒に塩蔵することも出来るが、土用の頃に十分に干して、乾燥させ、粉末にする。これを「ゆかりの粉」と呼ぶのは、むらさきを意味してのことである。

アカジソを使ったもので特に有名なのは京都大原名物の紫葉漬である。茄子を刻んだアカジソの葉で塩漬けしたものだが、かの建礼門院徳子も好んで食べたという逸品である。
最後は、私のふるさと静岡のお国自慢ということで「ほととぎす漬」を紹介しておく。

東海道藤枝宿は、東海道五十三次の二十二番目の宿場である。江戸時代の藤枝名物といえば梔子の染め飯と辛い漬物「ほととぎす漬」であったが、現在では焼津市の焼酎屋本店が「ほととぎす漬」の伝統を守っている。「ほととぎす漬」は、古くは白瓜の辛い漬物だったとも言うが、今に伝わるものはカラシやワサビを味噌に混ぜ、シソの葉に巻き込んだものである。

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