『Cliff Ecology: Pattern and Process in Cliff Ecosystem』
D.W. Larson, U. Matthes, P.E. Kelly
Cambridge University Press 2000 (340pages)
崖や急峻な傾斜は地表のいたるところに見られる。日本では、あまりはやらないが、
崖域生態学(cliif ecology)という分野があって、この本はそれに関するまとまった
学術書である。崖の動物相 (fauna)や植物相(flora)の特徴を記載し、平面を垂直に分断する
”界面”境界で生物多様性を高める役割をするのなどの記述がある。界面境界とは異質な生態的
空間を分割する地球の膜みたいなもので、崖、河川、海岸、地溝などがある、この書には
一方で “urban cliff hypothesis"(高層都市の崖域起源説)などといった話も出て来る。
Bonnsai(盆栽)の名木を収集するには崖をロッククライムして捜すのが良いとも書かれている。
(図は掲書より引用。崖は複雑な構造と環境を備えておりコウモリなど
様々な生物の住処となって多様性を高めている。途中洞窟がみえるが
人類の祖先は、このような場所をねぐらにしていた可能性がある。)
『石器時代と同様に摩天楼の中でも人間は一方で閉ざされた空間に意味を見いだし、
他方では地平線への凝視に意味を見いだす』 ルネ・デュボス