京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

動物の感染症とソーシャルディスタンス

2021年02月14日 | 環境と健康

(アメリカイセエビ)

 

 COVID-19の感染リスクを防ぐために、ソーシャル・ディスタンスが盛んに呼びかけらている。これは人の社会の話しだが、アメリカイセエビ (Panulirus argus)でもソーシャル・ディスタンスの現象が観察されている。アメリカイセエビ (PA)は、西大西洋のサンゴ礁やマングローブの沼地に生息するロブスターの一種で、岩の隙間などに複数個体が同居し生活をしている。一つの巣穴に20匹以上が集団でいる事もある。海底を一列になって行進したりする、集合性の甲殻類である。

 このイセエビはPAウイルスというウィルスに感染し、約50%が死んでしまうことがある。もし巣の一匹のPAがこれに感染すると、他のPAは、そこに入らずに別の場所に移動する。感染個体が出す尿に特殊な匂いがついておりそれを忌避するようである。これは野外動物がウィルス感染から逃れるために身につけた本能的な知恵である。

この他にもソーシャルジスタンは昆虫のケアリでもみられる。真菌がコロニーに感染すると社会的活動を低下して蔓延をふせぐ。フィンチの一種のメキシコマシコも病気になった他個体との接触を避けるようになる。

 

 

 

参考

DM. ホーリー、JC. バック 『動物のソーシャル・ディスタンシング』日経サイエンス 2020/10月号 p76-81

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