金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【2023年のリスクを考える③】 台湾をめぐる中国の出方 バイデンは強気を維持できるか⁉

2022-12-31 02:47:21 | 金融マーケット

 前回までは、「インフレ」「金利上昇」「賃上げ」「株式市場の水準調整」および「その後の復活」のお話をしてきましたが、今回は所謂「地政学リスク」『台湾有事』がテーマであります。

 

 2022年10月の中国共産党大会で、習近平総書記1強体制がかなり強引な手法で確立いたしました。しかし、その直後に、北京・上海ほか中国全土で、『ゼロコロナ政策への抗議デモ』=『習近平政権を支持しない反対デモ』が発生する事態となっており、これは中国共産党内で、すなわち水面下において、激しい権力闘争=主導権を巡る激しい争いが、起きていることを示唆しております。

 習近平政権としては、異例の3期目に突入した今、この5年間で最大のテーマである『台湾統一』に目処を立てる以外、道が無くなったということ。共産党内部の反対勢力からすれば、そのように習近平政権を追い込むリスクシナリオが、あの人事案を見た時から動き始めたということなのでしょう。

 

 このblogでは『台湾有事』について、何度も取り上げていますので、もう耳タコ状態の方が多いとは思いますが、『台湾有事』『八重山・先島諸島有事』ほぼ同義と覚悟すべきであります。距離の近さはもちろんのこと、台湾を「表側」だけでなく「裏側」から上陸作戦を仕掛ける場合、与那国島や西表島・石垣島なども同時に制圧してしまわないと、ここに米軍の攻撃ヘリが数多く用意されたり、またドローン兵器を用意されれば、中国側の作戦に大きな支障が出てしまうからです。

 したがって、与那国島や石垣島に陸上自衛隊が駐屯するようになったのも、中国側の同時制圧を抑止するため、簡単には攻めさせないようにするのが理由でした。

 ちなみに、八重山諸島・先島諸島を制圧した場合は、中国は制圧と同時に、この地域の領有権を改めて主張することになります。この根拠は、明治13年の時に締結しかけた、当時の明治政府と清国の沖縄分割協定沖縄本島は日本、先島諸島は清国という分割案で、一度両国は合意しかけた過去があります。その後、日清戦争が勃発して、台湾事態が日本領になったことから、うやむやになった沖縄領有権問題を、ここで持ち出そうというのが中国側の魂胆であります。

 現地の八重山諸島の方々の中には、『陸上自衛隊の駐屯』『先島諸島の防衛システムの高度化』そのものに反対している方も数多くいると聞いています。それがある故にかえって戦争に巻き込まれると考えるから、だそうです。

 しかし、ロシアによるウクライナ侵攻を見れば、巻き込まれるとか巻き込まれないとかのレベルではなく、占領されてしまえば、必ず既得権化されて、明治時代の歴史を持ち出して中国側は『領有権を主張』してくるのが必定。そして、次には島民に対して「中国軍に参加するか、あくまで日本人であることを選択して銃殺されるか、どちらかを選べ」と選択を迫られ、結果として、同胞と殺し合いをしないといけない状況追い込まれていきます。

 こうした状況は、『ウクライナ東部で現実に起きた事態』です。日本人は、占領というと米軍にしか占領された経験がないので、「むしろ無抵抗に占領された方が良い」と考える人が多いようです。これこそ、大変な思い違いと言えます。

 

 話が少し脱線してしまいましたが、上記のとおり、習近平政権は、ここからの5年間で『台湾統一』に目処を立てる必要があるところまで追い込まれています。これに対して、米国のバイデン政権がどこまで強気で強硬姿勢を維持できるのか? ウクライナ侵攻を呼び起こしてしまった失敗を、二度と起こせないと考えているとは思いますが、米国自体、アフガン以来の厭戦ムードが根強く残っている中、2024年の大統領選に向けて、どこまで強い姿勢を維持できるか?

 対峙する共和党サイドにとっても、ここが一番の攻めるポイントでバイデンの弱点でもあります。『インフレ対応』『台湾問題』の2つは、米国内でも2024年の大統領選に向けて最大の論点となります。ここのタガが少しでも緩むと、日本にとっても『インフレ』『賃上げ』『株価下落』と並んで、『台湾問題』が最大のリスクに浮上して参ります。

 

 防衛費増税くらいで騒いでいる場合ではありませんぞ。石垣島や宮古島、与那国島を中国に占領されたら、もう取り返すことは不可能です。そういえば、「Dr.コトー先生」は、与那国島に単身赴任しているお医者様だそうな。

 コトー先生を見捨てたりしたらいけませんぞ!


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【2023年のリスクを考える②】 インフレ・金利上昇・賃上げ 追っかけっこの2023年⁉

2022-12-30 04:34:22 | 金融マーケット

 12月27日の【2023年のリスクを考える①】に続いて、本日は【2023年のリスクを考える②】をお送りします。

 

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 2023年は、インフレ・金利上昇・賃上げが追いかけっこのように、目まぐるしく進展しそう。実は、過去にも同じことが発生いたしました。1973~74年にかけての第1次オイルショックと、1979~80年にかけての第2次オイルショックです。

 

 この時代は、日本がまだ高度成長期の余韻が冷めやらない時でありまして、そこに第四次中東戦争をトリガーにした第1次オイルショックイラン革命をトリガーにした第2次オイルショックが起きたものですから、もう日本国内は大混乱となり、トイレットペーパーの買占め事件が起きたのも、この時でした。

 金利は上がるは、賃上げも止まらないは、株価も急落と急騰を繰り返す状況。あまりに急激に様々なモノの値段が上昇するので、わら半紙の値上げに耐えきれなくなった「少年マガジン」や「少年ジャンプ」が、連載漫画の数を絞って、急に全ページ数が半分くらいになったことを記憶しております。

 

 あの時との一番の違いは、労働人口の数。あの頃は働き手が一杯いたので、人を集めること事態は苦労せず、ただ賃金を上げていかないと、労働者が物価高で生活できなくなるから、ちゃんと賃上げをしていたという状況。

 でも、今は根本から異なります。まず、人を集めること事態が難しい状況。労働人口が高年齢化により急減しているのです。また、高級ホテルや高級料亭で働くような、サービスレベルの高い人材、あるいは料理人といった人材を集めることが難しく、相当に高い賃金を用意しないと、人員確保すら困難な状態が今、なのであります。

 こうした状態は、株式市場にとっても厳しい環境となります。久々に、株式の当面の底値を探るようなシーンが見られる時期になるかもしれません。そういえば、ちょうど12年前の兎年である2011年は、東北の震災が起きた年でした。兎年は『跳ねる年』などと期待していたら、建物や鉄道、道路が『跳ねて』しまい、日経平均株価も、アベノミクスが始まる前の水準程度まで下落してしまいました。

 

 12年前とは、原因も理由も異なりますが、株式にとっては厳しい時期を迎えるリスクを覚悟せざるをえません。

 ただし、悪いことばかりではありません。インフレによる金利上昇は、一時的な株価調整局面を生むことになりますが、そのあとは、インフレそのものが株価に反映されていくので、長い上昇局面に入ることになります。株価も金利も為替も、『名目ベース』のシロモノですから、物価が上昇する=名目成長率が上昇する、ということ。株価にはプラス要因なのです。

 また物価上昇は「適正な利潤」を取り戻すきっかけにもなり、「賃金上昇」と併せて日本経済復活の原動力にもなります。

 デフレマインドに浸ってしまった日本人が、長い間、忘れてしまった重要なポイントであります。(続く)


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【GⅠ回顧】 ホープフルS

2022-12-29 03:21:27 | 競馬

 今年ラストのGⅠ、2歳牡馬チャンピオンを決めるホープフルS勝ったのは、ドゥラメンテ産駒ドゥラエレーデ好スタートから2番手追走を選択。逃げたデクラレーションオブウォー産駒トップナイフの前半1000mのラップが1分1秒5と平均ペース。しかし、残り800mのところからロングスパート合戦となり、厳しい流れになりました直線に入ると、逃げるトップナイフがそのまま押し切りを図ります。その横からドゥラエレーデが追いかけて、並走したままゴール。写真判定ではクビの上げ下げで、ハナ差だけドゥラエレーデが勝っていました。良の勝ちタイムは2分1秒5。ハナ差2着がトップナイフ、1馬身1/4差の3着は後方から鋭く追い込んだキングズレイン、クビ差4着が中団から差してきたファントムシーフ、1/2馬身差5着が1番人気のミッキーカプチーノ

 勝ったドゥラエレーデは、デビュー5戦目でのGⅠ勝利前走は東スポ杯4着でしたが、前にいた馬には厳しい流れの中で唯一4着に粘っておりました。今回のように、途中からロングスパート合戦になったレースで地力を発揮した形。前々の位置から、ロングスパートをかけるというのがこの馬のスタイルなので、クラシック戦線ではレース展開のカギを握るキーホースになると思います。なお、父ドゥラメンテは、リバティアイランドに続いて2歳GⅠ2勝目2歳サイヤーランキングでも、トップを走っていたエピファネイアを超えたか、僅差の2番手となったか、集計結果を待ちたいと思います。

 2着のトップナイフは惜しい敗戦となりました。クビの上げ下げだけでした。この馬もドゥラエレーデ同様、前々からロングスパートというのが持ち味。距離が伸びても大丈夫。3着のキングズレインは舞台が府中に変われば逆転が可能になると思います。4着のファントムシーフはベストのレースをした結果なのでやむなし5着のミッキーカプチーノは大外枠から3番手の位置を取ったのは良かったのですが、前に馬を置けずに道中は引っかかっていました。スムースな競馬が出来ていれば・・と思います。

 

 いずれにしても、波乱の結果に終わったホープフルSを受けて、来年の3歳牡馬クラシック戦線は混戦模様に。朝日杯にも、ここにも、出てこなかった馬の中に『本当の主役』がいるのかもしれません。


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【2歳戦回顧】 12月28日

2022-12-28 18:44:49 | 競馬

 中山1Rダート1200mを勝ったディスクリートキャット産駒ヨロ6番手追走で脚を溜めます。直線に入ると、まず4番手からダンカーク産駒ディアナゼロスが先頭に立って、そのまま押し切りを図ります。それを追いかけてヨロが並びかけ、ゴール手前でクビ差だけ前に出て勝利。ダート良の勝ちタイムは1分12秒6。2着ディアナゼロスから1馬身1/2差の3着には、後方から差してきたキンシャサノキセキ産駒タリエシン

 阪神1Rダート1800mを勝ったゴールドシップ産駒オルノア好スタートからマイペースの逃げへ。直線に入ると、後続を離して押し切りを図りますが、5番手からダノンバラード産駒ライジングラパスが迫ります。それでもゴール前では1/2馬身差をつけて逃げ切り勝利。ダート良の勝ちタイムは1分55秒9。2着ライジングラパスから6馬身差の3着には、後方から追い込んできたキズナ産駒ツウカイノキズナ

 中山2Rダート1800mを勝ったジャスタウェイ産駒エッグスラット好スタートから2番手追走へ。直線に入ると、エッグスラットが早め先頭に立ちます。その横からリオンディーズ産駒アクションプランが迫りますが、ゴールまで交わさせずにクビ差の勝利。ダート良の勝ちタイムは1分56秒2。2着アクションプランから1馬身3/4差の3着には、後方から差してきたモーリス産駒モーメントキャッチ

 阪神2R芝1200mを勝ったダイワメジャー産駒アトモストリミッツ好スタートからスピードを活かした逃げへ。直線に入ると後続を離して押し切りを図りますが、中団からヴィクトワールピサ産駒ヴァルダリスが迫ってきます。それでも1/2馬身差をつけて逃げ切り勝ち。良の勝ちタイムは1分9秒9。2着ヴァルダリスから1馬身差の3着は、5番手からシャンハイボビー産駒スイープラン

 中山3R芝1600mを勝ったキタサンブラック産駒ポリーフォリア好スタートからマイペースの逃げへ。直線に入るとスピードを加速して、そのまま後続を寄せ付けず1馬身1/4差で快勝。良の勝ちタイムは1分36秒0。2着は2番手からトーセンラー産駒トーセンエスクード、そこから1馬身1/4差の3着には、5番手からイスラボニータ産駒バンディート

 阪神3R芝1800mを勝ったエピファネイア産駒メモリーズオブユー好スタートから2番手追走へ。直線に入ると、早め先頭に立ってそのまま押し切りを図ります。3番手からパゴ産駒テーオーシルビアが迫りますが、1/2馬身差をつけて快勝。良の勝ちタイムは1分47秒9。2着テーオーシルビアから1馬身1/2差の3着には、3番手からダノンバラード産駒ランヴァル

 中山4R芝1800mを勝ったモーリス産駒フラミニア中団待機で脚を溜めます。4コーナー手前から大外を回して前に進出、直線に入るとまず、4番手からドゥラメンテ産駒ラファドゥラが先頭に立ちますが、これを1番外から追いかけて、フラ三ニアがゴール前で豪快に差し切ってクビ差の勝利。良の勝ちタイムは1分49秒5。2着ラファドゥラから1馬身1/2差の3着には、中団から差してきたハービンジャー産駒オークアンドモルト

 中山5R芝2000m新馬を勝ったハーツクライ産駒オールザタイム好スタートからマイペースの逃げへ。直線に入るとスピードを加速、そのまま後続を寄せ付けずに2馬身1/2差をつけて完勝。良の勝ちタイムは2分3秒8。2着は6番手から差してきたディーマジェスティ産駒ドーバーイーグル、そこからクビ差の3着には3番手からエピファネイア産駒シェアザグローリー

 阪神5R芝1600m新馬を勝ったディープブリランテ産駒ランスオブサウンド5番手追走で脚を溜めます。直線に入ると、逃げ粘るサトノダイヤモンド産駒サトノアダマスの横から、ランスオブサウンドがこれを交わして先頭に立ちます。そのまま後続に1馬身差をつけて快勝。良の勝ちタイムは1分36秒0。2着は、後方から追い込んできたハーツクライ産駒ルカン、そこから1馬身1/2差の3着には、逃げたサトノアダマス

 中山6Rダート1200m新馬を勝ったロードカナロア産駒ラヴェリテ好スタートからスピードを活かした逃げへ。直線に入ってもスピードを緩めず、そのまま後続を突き放して3馬身1/2差で完勝。ダート良の勝ちタイムは1分13秒3。2着は中団後方から追い込んできたアポロキングダム産駒シズカノウミ、そこから5馬身差の3着には3番手からノヴェリスト産駒ユーカリプタス

 

 阪神6Rダート1200m(2歳1勝クラス)を勝ったジャスティファイ産駒ユティタム好スタートから3番手追走へ。直線に入ると、2番手から早め先頭に立ったマインドユアビスケッツ産駒メイクザビートを残り200mのところで捉まえて、そのまま3馬身差で圧勝。ダート良の勝ちタイムは1分53秒9。良血の2億2千万円馬ユティタムが2連勝を飾りました。年明けは、サウジかドバイ遠征が楽しみになりそう。2着はメイクザビート、そこから1馬身1/4差の3着には、中団から差してきたハービンジャー産駒ブリタニア

 

 

 『2歳戦回顧』は今回が最終回です。年明けからは『3歳戦回顧』になりますが、『3歳戦回顧』は全レースの回顧ではなく、レースレベルの高さや注目馬が出走したか否かで、レースを選択しながらお届けいたしますので、あらかじめご容赦下さい。

 


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【競馬】 ホープフルステークス(GⅠ) 来春のクラシックの主役は誰だ⁉

2022-12-28 03:37:59 | 競馬

 クリスマスの日に開催された有馬記念では、『救いの御子』は現れず、寒く震える聖夜となってしまいました・・。

 でもここで、ヘコたれる訳には参りません。ホープフルSで『新たなる希望』『救世主』を見つけて、何とか新年に生きる希望に繋げたい。

 それとも、最後の最後で、さらに『お尻の毛まで抜かれる』事態になるのか? あるいは『新たなる希望』が現れるのか⁉

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 今年最後のGⅠレース、ホープフルSです。

 来春の3歳クラシックの主役候補はどの馬なのか? 朝日杯FSに続いて好メンバーが揃っています。

 東京スポーツ杯2歳Sの上位組、1着のジャスタウェイ産駒ガストリック、3着のハーツクライ産駒ハーツコンチェルト、4着のドゥラメンテ産駒ドゥラエレーデ。京都2歳Sの上位組、ラブリーデイ産駒グリューネグリーン、2着のデクラレーションオブウォー産駒トップナイフ。野路菊賞を勝ったハービンジャー産駒ファントムシーフ、そして伝説の新馬戦の勝ち馬であり葉牡丹賞を勝ったエピファネイア産駒ミッキーカプチーノ

 

 狙いたいのは、矢作芳人厩舎の⑱ミッキーカプチーノ前走の葉牡丹賞の内容が秀逸。この馬が勝つと、種牡馬エピファネイアは4世代連続でGⅠ馬を輩出することになります。

 相手には、前述の東京スポーツ杯組の1着⑩ガストリック、3着②ハーツコンチェルト、4着⑪ドゥラエレーデに加えて5着の⑤フェイトも。それから野路菊賞を勝った①ファントムシーフの5頭。京都2歳S組はレースレベルが高くなかったので全て切ります。

 馬券は、本命⑱ミッキーカプチーノ頭固定の三連単20点 ⑱⇒⑩②⑪⑤①

 

 伝説の新馬戦の勝ち馬ミッキーカプチーノが、果たして『新たなる希望』で、ワタクシの『救世主』となるのか⁉


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