6月28日(日)に行われた棋聖戦第2局は、藤井聡太七段が序盤からリードを広げて快勝。2勝0敗として、タイトル奪取へ王手をかけました。
すでに新聞各紙、ネット情報でも、数多く報道されているので、ご存知の方も多いニュースではありますが、序盤で指した「5四金」という常識外れの手が話題を呼んで、師匠である杉本八段も「将棋界の歴史を覆す一手」として称賛しています。局後のインタビューでは、藤井聡七段も「あの形になったら、指してみたかった一手」と、従前から用意していた「自信の一手」だったようです。
しかし、勝負を決めた一手は、この5四金ではなく、そのあとに守りを固めた「3一銀」。誰も予想していなかった手であるばかりか、指した直後は、あまりに消極的な手ではないかと検討陣からは声が出たくらい。藤井聡七段も「自信がなかった」と発言しています。
ところが、局後に渡辺明三冠が振り返ったように、いくら検討を重ねても、3一銀のあとには、渡辺三冠には勝機がなく、チャンスが残っていなかったという、とんでもない一手。将棋の神様がいるとしたら、その神様だけが知り得る手ではないか‥。そんな評価を与えたくなるような、神の一手でした。
改めて、藤井聡七段の凄まじさを目の当たりにした1局と言えますが、渡辺三冠には、少し体制を立て直してもらい、次は意地の1局を見せて貰いたいと思います。第3局は、7月9日(木)に東京の都市センターホテルで行われます。