表題の「2020年生まれ 世代別サイヤーランキング」とは、大激戦だった2022年のJRA2歳リーディングサイヤー争いの続きであります。すなわち、昨年のダービー翌週から始まるJRA新馬戦から、今年のダービー当日までの3歳戦すべてにおける種牡馬成績ランキングを指します。
一世代だけの比較ですから、ベテランの種牡馬も、新種牡馬も、基本は同じ条件での比較になりますので、今後の種牡馬トレンドを見ていく上、旬な指標になるもの。
日本ダービーが終了して「2020年生まれ 世代別サイヤーランキング」(2023年5月28日時点)は以下のとおり、確定いたしました!
第1位 ドゥラメンテ 勝利数42勝 AEI 2.78 賞金12億90百万円
第2位 キタサンブラック 勝利数34勝 AEI 2.90 賞金09億61百万円
第3位 ハーツクライ 勝利数39勝 AEI 1.62 賞金08億02百万円
第4位 ロードカナロア 勝利数48勝 AEI 1.14 賞金07億88百万円
第5位 サトノクラウン 勝利数22勝 AEI 1.89 賞金07億54百万円
第6位 エピファネイア 勝利数57勝 AEI 1.24 賞金07億38百万円
第7位 モーリス 勝利数45勝 AEI 1.29 賞金06億76百万円
第8位 ルーラーシップ 勝利数42勝 AEI 1.25 賞金06億54百万円
第9位 ハービンジャー 勝利数35勝 AEI 1.08 賞金06億01百万円
第10位 シルバーステート 勝利数33勝 AEI 1.67 賞金05億84百万円
第11位 キズナ 勝利数42勝 AEI 1.45 賞金05億64百万円
ちなみに、昨年暮れまでの2歳リーディングサイヤーランキングは以下のとおりでした。
第1位 ドゥラメンテ 勝利数24勝 AEI 2.28 賞金4億11百万円
第2位 エピファネイア 勝利数35勝 AEI 1.52 賞金4億10百万円
第3位 ルーラーシップ 勝利数19勝 AEI 1.57 賞金3億50百万円
第4位 ハーツクライ 勝利数22勝 AEI 1.33 賞金2億87百万円
第5位 ロードカナロア 勝利数19勝 AEI 1.06 賞金2億61百万円
第6位 モーリス 勝利数23勝 AEI 1.10 賞金2億61百万円
第7位 ジャスタウェイ 勝利数22勝 AEI 1.31 賞金2億57百万円
第8位 キズナ 勝利数20勝 AEI 1.33 賞金2億26百万円
第9位 ハービンジャー 勝利数18勝 AEI 1.05 賞金2億25百万円
第10位 ヘニーヒューズ 勝利数20勝 AEI 1.71 賞金2億21百万円
第1位は、昨年に続いてドゥラメンテが2連覇。賞金額12億円超過で、AEI2.78の水準も見事、圧勝といえるレベルだと思います。そして、第2位がキタサンブラック。産駒の数が少ないのに、AEI2.90で賞金額も9億円を突破。内容的には、こちらも1位と遜色ないと言える成績でありました。
ディープインパクト時代の後継としては、現時点でドゥラメンテとキタサンブラックの2頭の種牡馬が抜け出したと言って良いと思います。ただし、早世したドゥラメンテはあと残りが2世代なのが残念。キタサンブラックにしても、まだ2世代しか見れていないので、3世代目、4世代目と実績が続くのかがポイント。昨年まで勢いがあったエピファネイアが急激に勢いを無くしているように、スーパー種牡馬になるためには、毎世代の種牡馬成績が優秀であり続けないといけません。
一方で、昨年末までは圧倒的な勢いだったエピファネイアとルーラーシップの2頭が、今年に入ってから失速。勝利数は伸びるのですが、大きなところで勝てない。ちなみに、昨年末の段階で第1位だったドゥラメンテと第2位だったエピファネイアの差は僅か60万円ほどでしたが、最終の日本ダービー終了時点では、5億円以上に開きました。これは、桜花賞とオークスを勝ったリバティアイランド、NHKマイルCを勝ったシャンパンカラーなど、産駒の重賞勝ちの差が原因であります。この世代のドゥラメンテ産駒は、6頭が計8勝も重賞勝ちを収めているのに対して、エピファネイア産駒の重賞勝ちは0。ルーラーシップも、朝日杯FS勝ち馬のドルチェモアがニュージーランドTでまさかの7着となるなど足踏みで、NHKマイルCでも巻き返しが成りませんでした。
そして、皐月賞で産駒ソールオリエンスが勝ち、青葉賞で同じくスキルヴィングが勝ったキタサンブラックが圏外から第2位へ大躍進。ノーザンファーム総帥の吉田勝己氏が「サンデーサイレンス系の後継種牡馬はキタサンブラックかもしれない」とコメントしたように、たった2世代で、イクイノックスとソールオリエンスという牡馬のスーパーホースを出したことは驚異的であります。もちろん、この2頭にしても、種牡馬として実績が上がるかは「やってみないと分からない」のですが・・。
なお新種牡馬の中では、ダービー馬タスティエーラを出したサトノクラウンが第5位でAEI1.89、賞金額7億54百万円は立派でありました。特に初年度産駒からダービー馬を出したことは素晴らしい。何と言っても、2012年~2023年までのダービー馬は、ディープインパクト(7頭)とキングカメハメハ(2頭)とハーツクライ(2頭)の産駒に限られており、まだロードカナロアもエピファネイアもキズナもドゥラメンテも、産駒がダービーを勝てていません。ここで新種牡馬が新たな時代を切り開いたことに大きな意義があります。そして、新種牡馬の中ではリアルスティールが全体13位で第2位。AEI1.23、賞金額4億97百万円は新種牡馬としては合格ラインだったと思います。
さて、このランキングは、一応、日本ダービー終了当日時点までで順位を決定しますが、ときどき、その後の推移についても、このblogではお伝えすることにしますので、今後とも宜しくお願い致します。
ちなみに、昨年の「2019年生まれ 世代別サイヤーランキング」は、日本ダービー終了時点では、種牡馬ドゥラメンテが第1位(勝数68勝 AEI1.88 賞金11億93百万円)でありましたが、直近の2023年5月28日時点では、種牡馬ディープインパクトが首位を奪還しております。昨年の菊花賞でアスクビクターモアが勝ち、今年の天皇賞春でジャスティンパレスが勝ったことが大きかったようです。以下3位まで表示します。
第1位 ディープインパクト 勝利数129勝 AEI 2.89 賞金27億84百万円
第2位 ロードカナロア 勝利数148勝 AEI 1.39 賞金24億31百万円
第3位 ドゥラメンテ 勝利数129勝 AEI 1.43 賞金23億67百万円
やはり、スーパー種牡馬とは、産駒が総じて、早熟でもなく、晩成でもなく、どのような基準で比較しても、成績が高いレベルで安定している種牡馬を指すのですね。あらためて、ディープインパクトは特別な存在でありました。