アベノミクスの施策の効果は、民主党政権下の日経平均株価7000円台と、現在の21000円台を比べるだけでも明らかであり、総じて有効な施策だったと評価できます。
ただし、皆さんも感じられているように、成長戦略もデフレ脱却施策も道半ばというのが実態でしょう。本日は、まず成長戦略に対する評価からお話しします。
今、日本企業の中ではコーポレートガバナンス改革の真っ盛りで、社外取締役・女性取締役などが引っ張りだこになっています。また低ROEのままでは経営陣に対する再任議案が難しくなるなど、世相は様変わりになっています。「カリスマ経営者」と呼ばれていた有名な経営者ほど、その実態はとんでもなく専制的で自己中心的なパワハラオジサンだった‥という話は珍しくなくなってきました。常に資本コストを意識した近代的な経営へと変化するスピードは益々高まっていくと思います。
また機関投資家による議決権行使が、例え相手が重要な取引先だったとしても、明確に「NO!」を突き付けるケースが当たり前になってきました。さらにエンゲージメント活動(実際に企業経営者やIR責任者との議論によって、会社施策そのものを修正させる活動)も本格的なステージになりつつあります。したがって、コーポレートガバナンスコード・スチュワードシップコードといわれる世界は、着実にこの国に浸透しつつあると実感しています。
それでも、日本企業の成長スピードと米国企業のそれとは、まだまだ差があると感じざるを得ません。その決定的な違いは何か?
それは「ゾンビ企業」の存在です。ゾンビ企業とは、生産活動やサービス提供は続けているものの、すでに競争力は失いつつあり、長期の存続は難しい企業を指します。確かにこうした企業も多くの雇用を抱えており、彼らを退場させるとその直後は地域経済にかなりの痛手を発生させますが、それよりも問題なのは、新たな起業家たちが本来は得る筈だった「日光」や「養分」を、彼らから奪い取っている存在だということです。
森林において新しい樹木を早く育てるためには、死にゆく樹木の伐採は欠かせない作業ですが、これを一切許さないのが今の日本です。金融円滑化法という名のもとで、日本の金融機関はゾンビ企業に対して延々と資金を入れ続ける義務があるのです。
一方、アメリカは分かりやすい。先般もシアーズ・ローバックという20世紀のアメリカに流通革命を起こした小売の老舗企業を、あっさり倒産させました。ちなみに、シアーズは30年前まではダウ30種採用銘柄だった会社です。同じく30年前までは世界のフイルム業界を牽引したイーストマン・コダック、もちろんこれもダウ30種銘柄でしたが、今はもう存在しません。デジタル化の波に遅れたため、存在価値を失い市場から退場しました。
日本でゾンビ企業を残すのは政治的な理由です。地方で票が取れなくなるからです。GPIFがベンチマークをTOPIXに拘る理由も同じです。東証上場の中にいるゾンビ候補を生き永らえるためです。
日本の成長戦略に足りないものは「退場ルールの明確化」。起業家の育成と同時に、ゾンビ企業を早期に退場させるルール作りが急務だと思います。
ただし、皆さんも感じられているように、成長戦略もデフレ脱却施策も道半ばというのが実態でしょう。本日は、まず成長戦略に対する評価からお話しします。
今、日本企業の中ではコーポレートガバナンス改革の真っ盛りで、社外取締役・女性取締役などが引っ張りだこになっています。また低ROEのままでは経営陣に対する再任議案が難しくなるなど、世相は様変わりになっています。「カリスマ経営者」と呼ばれていた有名な経営者ほど、その実態はとんでもなく専制的で自己中心的なパワハラオジサンだった‥という話は珍しくなくなってきました。常に資本コストを意識した近代的な経営へと変化するスピードは益々高まっていくと思います。
また機関投資家による議決権行使が、例え相手が重要な取引先だったとしても、明確に「NO!」を突き付けるケースが当たり前になってきました。さらにエンゲージメント活動(実際に企業経営者やIR責任者との議論によって、会社施策そのものを修正させる活動)も本格的なステージになりつつあります。したがって、コーポレートガバナンスコード・スチュワードシップコードといわれる世界は、着実にこの国に浸透しつつあると実感しています。
それでも、日本企業の成長スピードと米国企業のそれとは、まだまだ差があると感じざるを得ません。その決定的な違いは何か?
それは「ゾンビ企業」の存在です。ゾンビ企業とは、生産活動やサービス提供は続けているものの、すでに競争力は失いつつあり、長期の存続は難しい企業を指します。確かにこうした企業も多くの雇用を抱えており、彼らを退場させるとその直後は地域経済にかなりの痛手を発生させますが、それよりも問題なのは、新たな起業家たちが本来は得る筈だった「日光」や「養分」を、彼らから奪い取っている存在だということです。
森林において新しい樹木を早く育てるためには、死にゆく樹木の伐採は欠かせない作業ですが、これを一切許さないのが今の日本です。金融円滑化法という名のもとで、日本の金融機関はゾンビ企業に対して延々と資金を入れ続ける義務があるのです。
一方、アメリカは分かりやすい。先般もシアーズ・ローバックという20世紀のアメリカに流通革命を起こした小売の老舗企業を、あっさり倒産させました。ちなみに、シアーズは30年前まではダウ30種採用銘柄だった会社です。同じく30年前までは世界のフイルム業界を牽引したイーストマン・コダック、もちろんこれもダウ30種銘柄でしたが、今はもう存在しません。デジタル化の波に遅れたため、存在価値を失い市場から退場しました。
日本でゾンビ企業を残すのは政治的な理由です。地方で票が取れなくなるからです。GPIFがベンチマークをTOPIXに拘る理由も同じです。東証上場の中にいるゾンビ候補を生き永らえるためです。
日本の成長戦略に足りないものは「退場ルールの明確化」。起業家の育成と同時に、ゾンビ企業を早期に退場させるルール作りが急務だと思います。