この世に生まれたのも初めての経験。 小学生になったのも二十歳になったのも気がつけば老人になっていたのも、明日始まるいちにちも全部初めての経験。 だから死んでいくのも初めての事、人生とは不思議なものだ。 先日の報道番組で、臨床宗教家という職業を知った。 宗教の普及ではなく傾聴というスキルを身につけ、がん患者などの心に寄り添うという仕事。 その宗教家はホスピスに医師や看護師等とスタッフとして勤めながら、在宅で終末を迎えている患者さんを訪問したりしていた。 訪問宅の宮崎さんという80代の男性に紙に書いて紹介したという「詩」が、なんかふわっと不思議な安心感を感じたる「詩」だった。
そのままの宮崎さんで ちょうどいい
今生きていることが ちょうどいい
いい先生に会えたのも ちょうどよいい
天国に行こうと地獄に行こうと 行った所がちょうどいい
何かこんな様な「詩」だった。
ちょうどよいから ここに僕がお邪魔してお話しさせてもらえる・・・・・・と。
どこかの宗教家が作ったという「詩」きっともっと長いんだろうけど2人の会話の中での言葉なので覚えられなかった。
生きていて良いんだなぁ~と思わせてくれる詩だ。
癌の手術を行う側だった外科医が胃がんになり患者として気づいた事は、患者と医師との間には溝があり本音トークは出来ないと言う事。 そしてがん患者が誰でも集えて常駐の看護師等が居て心のうちを話せる施設を作った。
寺の住職で医師でもある男性は、末期癌と戦いながら同じがん患者の言葉に耳を傾ける日々を過ごしていた。 「死」が怖い!という思いを共有し、少しでも不安が軽くなったらそれは何よりの治療だと思う。 自ら闘病しながらも行動を起こせる人は限られた人だし、そうする事で自分自身も死の恐怖から救われているのだろうと思う。 大抵の人は何も出来ない、ただ受け止めて、それでも頑張って生きる。