「大きなピアスだね。」
そう、私の肩をマッサージしてくれながら夫が言う。今まで、そんなふうに言ったことはなかった。
「ずいぶん前に買ったのよ。子供が買う通販の、いくらだったかしら、300円くらいかな。」
ふっつと、少し楽しそうに夫が笑う。丁寧にカチカチになった肩をほぐしてくれる。
なのに、触れられるたびに私の体は緊張感を増し、さらに固くなっていく。それを悟られないように、
「ありがとう。楽になった . . . 本文を読む
絡まって、どうにもならなくなって丸まって、
解くことができなくなっていく糸もある。
絡まっていたものが、
ふと、何かのきっかけで、
するすると解けて、長い長い糸になり、
ひとつひとつの結び目が綺麗につながっていたりもする。
どこでなにがどう、
どうしてつながっているのかはわからないけれど、
人と人って
そうやってちゃんとつながりながら、
生きているのかもしれない。 . . . 本文を読む