
木村 日本画
せっかくの七夕だというのに、物凄い暑さに朝からやられっぱなしの酒井です。心なしかベタも元気がない様子??
さて、今日は日曜クラス木村さんの日本画をご紹介いたします!東大寺の金剛力士像を描いた、迫力満点の1枚です。太く逞しい肢体、盛り上がる胸と腹筋までしっかりと描かれ、今にも動き出しそうなほどの躍動感。視線の向け方や腰のひねりまで計算し尽くされています。
口を大きく開けた猛々しい阿形像とは違い、口元をグッと引き結んで静かに睨み据える表情は、凛とした気迫に満ち溢れています。阿形像と吽形像2体で対になって社寺のガードマンををしているこの像は、邪な心を打ち砕く為に視線で参詣者の心を脅し、浄化する役目を負っているそうです。確かに、後ろめたい気持ちを心に秘めたままこの像の前を通り抜けるのは勇気がいりそうですね・・・・。
絵の下方、轟々と燃え上がる火のような赤色の表現は、この絵の雰囲気づくりにおいてとても重要な役割を担っているのですが、実はこの表現が生み出されたのは全くの偶然でした。寒い冬の朝、絵を軽く乾かそうと赤外線ストーブにパネルを近づけていたところ、ストーブのオレンジ色の灯りが絵に映りこむのを発見!「火が燃えてるみたいでかっこいい!」ということで、急遽赤色を重ねたのでした。金剛力士の静かなる闘志を表すようなこの火の描写は、冬でなければ生まれなかったものなのです。前回の作品が7月16日のブログで紹介されていますので、約1年に渡る大作だったわけですが、やはり絵は描いた季節、時間、気分などの要素によってその時にしか描けない1枚になるのですね!
先週から新しく、来年の干支「馬」の絵に挑戦されている木村さん。今回苦労されていた筋肉の表現やどっしりとした存在感の表現が生かせるモチーフだと思います。頑張りましょう!