モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

合格、卒業

2018-03-09 11:13:05 | 学生

優花 高3 油彩・鉛筆デッサン  東京造形大学美術学科絵画専攻領域 合格

オバラです。信じられない事に、高校三年生の10月に「東京造形大学を受験したい」とミオスへ入会しました。「今から始めたって現役では間に合う訳ない。なんでもっと早く予備校か研究所に行かなかったの?」と聞くと、「実は以前から東京の小さな研究所に通っていたんですが、先生が全員デザイン科出身で油絵が伸び悩み、こんな直前に怖かったけど退会しました。でも人数の多い大手の予備校では私みたいな中途半端な学生は全く相手にされず、流れ着いたのがミオスです。」とのこと。悩んだ末に未知の場所へ飛び出した行動は、20年前ベストセラーになった『チーズはどこへ消えた?』という「状況の変化にいかに迅速に対応すべきかを説いた」絵本式ビジネス書を彷彿とさせました。

そんな決断力のある彼女でしたので(油絵は泥臭いままですし、デッサン力もまだまだですが)、一度覚えたことは忘れず応用し、沢山のテクニックを磨き、短時間でメキメキ腕を上げました。最も素晴らしかったのは、教わっていない技法も必要だと判断すれば果敢に一人で試し、突っ走って行く勇気を持っていたこと。失敗してから「こういう風にしたかったんですが、上手くいきませんでした。」と助言を求めてくるので、修復する方法を知る事になり、ますます恐れ知らずな人間になりました。また油絵は塗り重ねが大事な画材ですので、早く結果を求め薄っぺらな絵にせず、あがいてあがいた積み重ねの重みや説得力を武器にすることができました。私は『失敗は成功の元』という言葉は油絵の為にあると思っていますが、優花は下積み(下塗り)の大切さ、失敗をプラスに活かす方法を、一人で学んだと言っても過言ではありません。そんな姿勢は忘れかけていた大切なものを私に思い出させてくれます。上手く行かない事を他人(先生)や状況のせいにせず、結果をきっちり責任取り、必ず次に繋げようと努力する前向きさ。人として尊敬していました。

美大受験は絵が上手くなることが全てではありません。『努力しても上手く行かない時に、モチベーションが下がらないように自己をコントロールしながら、失敗を成功に変える方法を模索する』人生に必要不可欠な力を培う大切な時間です。優花はそれを十分学んでくれたように思います。
付き合った時間が短か過ぎて、あれも教えたかった、これもまだ教えてない、と少々の悔しさもありますが、たくましくなった彼女にもう私は不要でしょう。これからの成長が楽しみでなりません。

コメント
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