林 鉛筆デッサン
日焼け止めを忘れがちです、ナツメです。今日は日曜大人クラスの林さんのデッサンをご紹介します!
ドライフラワーのカサカサ感、固くてひんやりしている錫製の花瓶、ふわふわで軽めのミニフクロウなど、それぞれのモチーフの温度や重量感までが伝わってくるほど、本当によく観察してディテールまで緻密に描写されました。
奥に細かな描写が必要な色の濃いモチーフが置いてあったので遠近感を出すのが難しかったと思いますが、手前にいるフクロウの足を細く硬く描き、目の部分などにもかなり強い暗さを入れることで、白いモチーフながら後ろの花瓶との遠近感を出しています。
そして今回のデッサンのもう一つの工夫は、布を描いていることです。普段はモチーフを置いている椅子の木目を隠すために白い床として布を敷いているため、描く対象としては扱わず質感の表現もしません。ですが今回は敢えて布の折り目や起伏まで描かれたため、同じ台上に置いてあるモチーフ同士を繋げる役割を果たしており、空間までも非常に良く表現されています!
デッサンで描き込みをしていくと、描いていたモチーフがシールを貼り付けたようなペラペラの平面に見えてきてしまうことがあります。今回林さんも「ステンレスの花瓶の光が、立体的にならずストライプ模様に見えてしまう」と悩まれていたのですが、実は目が良く注意深く観察して描こうとしている人ほど起こりやすいのです。
これは映り込みやラベルの印字や木目など、目に見えているものを出来る限り描こう!と思っている内にモチーフ全体から意識が逸れていき部分のみを見てしまうため、段々ものとしての立体感が損なわれてしまう現象(?)です。1番はじめにつける立体に沿った陰影(ベース)をもう一度思い出して、その場所にあった明暗を取り戻すことで大抵の場合良くなります!
もちろんデッサンだけではなくその他の絵を描く時も、一つの場所を注視していると離れて見た時に意外と良くならないな、となることが多々あります。受験生にはよく「とにかく沢山立って離れて見ろ!」などと指導したりもするのですが、定期的に絵全体を見ることを心がけてみると見えてくるものがあるかもしれませんよ!