岩田です。
先週の土曜日は、私の受験時代の作品を教材に一枚の絵を構造的に分析しながら、鑑賞者に楽しんで貰うかといった少しプロ志向の内容を座学でお伝えした後、墨や茶色の絵の具などを使って、スパッタリングやポーリング、ドリッピングといった、普段では部屋の汚れを気にしてできないような絵の具の偶然性を活かした画面作りをしました。
座学でお伝えしたことは予備校時代に講師から教えて貰ったことを元に、色々な絵を見ながら自分で分析し、そこから得ていった事柄なので、他の教材には載っていないオリジナルな視点の気づきも多く含んでいます。
参加者の皆様には、絵を描く上で、少しでも役立てて欲しいです。又こうした皆さんに喜んで頂ける勉強会を開催できたらと思います!
「見せる絵を描く為に、絵を構造的に作る」
〇ひとつのエンターテイメントとして
・自分の絵は見てくれないという前提に立つ。
・鑑賞者をいかに楽しませるかの仕掛け作り。( 今回は特に視点の誘導について)
・人を如何に釘付けにできるか、如何に長い時間、画面を見てもらえるか。
〇構図、構成について
・モチーフの良い所を惹き出す。(描きたいものを良く観察する。描く対象との対話。)
・ドラマや演劇の監督のように登場人物などの序列を設定し、関係性をつくる。
(主役、ヒロイン、ライバル、友達、親、上司、職場、環境、都市、国、季節のように。)
・第一印象を意識する。(見せ場、アイキャッチの場所や置き方、見せ方が先ず大切。
全体の色使い、明度バランスの美しさ、インパクト、画風など。)
・始めと終わり、奥行と平面性を意識し目を誘導させる道を作っていく。
(アイキャッチを皮切りに、奥行に変化を持たせながら、どういうルートを通って部屋(画面)
を回遊させるか。奥行についても、モノ同士にどれ位の距離があるのかをちゃんと設定する。)
・光の設定(光源の方向、角度、強弱、シチュエーション。)
・オリジナリティー、アイデンティティの投影。
(自分の得意なこと、好きなもの、描く意味、画風、設定の面白さ、色使い、特徴、強味。)
〇色、描き込みについて
・画面の明暗バランス(彩度や色相より、構成バランスを明度で考えることが、先ず一番。)
・cmyk+w( シアン、マゼンダ、イエロー、ホワイト)、
明度対比、彩度対比、色相対比、補色対比
(1枚の絵を総体的に見た時に、主役は明度、彩度、色相共にコントラストを付ける、
脇役はその逆。部分、全体に補色対比を取り入れ、互いの色を引立て合う効果を使う。
ハレーション(高彩度、同明度、異色相)も面白い効果を生む。)
・同じ空間に存在しているように演出する。
(モチーフや背景などが個別バラバラにならないように、モチーフ同士や背景の色を
反映する。)
・描くべきところ、そうでないところを見極める。メリハリを付ける。
(あくまでも主役を中心とした構成と心得る。震源地から離れる程、震度が低くなって
いくように。)
90分の講座の内、約1/3の時間を使い解説した、見せ場『アイキャッチ』についてのみ、動画でアップしました。
興味のある方は、ぜひご覧ください。こちら