植松 油彩
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは大人クラスの植松さんの油彩作品です。ヨーロッパの街並みの写真集から、ベルギーの風景を描かれています。
石造りの床や壁は、筆跡を残しながらキャンバスの上で色を混ぜていく油絵らしい描き方で表現されています。ザラザラとした質感と油絵の具の相性はやはり良いですね、画面の隅々までじっくりを見ていたくなります。
ベルギーといえば、カラフルでオモチャの様な形の家が並ぶブルージュの光景が思い浮かびますが、植松さんが描かれたのはグレーの石畳や壁、街路樹が立ち並ぶどこかひっそりとした景色。手前にはハシゴが立て掛けてあり、誰かが街路樹の剪定でもしていたのでしょうか?側には折りたたみのテーブルも置かれています。画面の中には人は写っていませんが、そこに暮らす人の日常を想像させるアイテムが味わい深いですね。無彩色のグレーでまとめられた無機質の風景ながら、どこか柔らかく優しい印象を与えてくれるのは、作者の人柄が表れているのでしょう。
現地の人にとっては何時ものなんて事の無い風景だとしても、我々異国の者から見れば素朴な街並みもなんだか魅力的に見えるもの。しかし植松さんの作品には気取った風はなく、「場所は違えども、日々の穏やかな暮らしがあるのはこちらと同じだね」、という共感の念の様なものも感じられます。
植松さんの過去の作品を遡ってみると、ちょうど6年前に初めての油彩に挑戦し、その楽しさに目覚めてる所でした。(以前は水彩画に取り組んでいました。)こうして新旧作品を比べてみますと、絵の具の扱いにも慣れてきているのが分かりますね!