モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

画面の密度と繊細さ

2023-03-23 23:47:44 | 大人 水彩


黒永 透明水彩・茶色ミリペン/木製パネルに直描き

花粉に苦しめられています!マユカです。本日は黒永さんの作品をご紹介します。

キューバの裏道です。閑静な住宅街のような雰囲気にも見えますが、泥棒除けの鉄格子のはまったドアもある整備の行き届かない路地を描かれました。こちらの作品なんと、木のパネルに直接描かれています。しかも水彩絵の具で!
木は、かなり水を吸収しやすく、目が粗いために木目の溝を伝って広範囲に絵具がにじみやすい素材です。しかも、水彩絵の具は絵具の中でも水分を多めに使う画材であるにも関わらず、手前の車や建物の輪郭がはっきりとしており、直線や曲線にブレがありません。水分量の調節はもちろんですが、その筆さばきも細かく、こだわりを持って描いていることが伝わってきます。

奥の建物の薄れていく描写にはにじみをうまく使い、空間に奥行きが出ていますね。道や空に使ったぼかしと対比するように、メインである車や建物にははっきりとしたタッチで細かく描写がしてあり、よく見ると車のヘッドライトの反射やナンバープレート、建物のドアの凹凸、壁のシミなどすらしっかりと描きこまれています。特筆すべきは、パネルの木目や傷・ささくれを利用した、陥没してぬかるむ道路の表現でしょう。パネル自体がF0号とかなり小さく、掌両手分位の大きさの画面なので、この写真では分かり辛いのですが実際に見ると巧みなテクニックが見て取れます。
以前描かれたパネル作品も、同じように丁寧に描きこまれており、差し込む光の雰囲気がとても美しい作品でした。(前回黒永さんが描かれたパネルの絵はこちら

木のパネルには紙を貼るものだと思い込んでいた私にとって、パネルにそのまま描く、というのは驚きでした。皆様も時には紙ではない素材を支持体にして描いてみると、新たな発見があるかもしれませんね!

コメント
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