梅 中3 油彩
虫の声がだんだん増えましたが、虫が苦手なのでここからが正念場になります...ホノカです。
今回は学生クラスから、梅の油絵をご紹介します!
油絵ならではの重厚感のある赤い椿が、大きく中心に据えられた作品です。椿は一般的に12月から2月が花盛りの花なので、少し季節外れになってしまいます。ですが彼女は今回の作品が初の油絵だったということで、その分試行錯誤した結果もあるのではないでしょうか。
上述のように初挑戦であるが故、油絵の具の特徴にとても悩みながら取り組んでいました。油絵の具の特徴として、絵の具が乾くまでに時間がかかるという点があります。この特徴は気に入らない部分を描き直しやすかったり、混色がしやすいという点でメリットにもなりますが、すぐに乾かないため塗っている内に、色が混ざりすぎて同じ色になってしまうデメリットもあります。彼女が今回苦戦していたのもその部分で、椿に影や光を描き込むものの、その部分を描き足していく内に、どんどん色が混ざり合って結局一色になってしまう。という状況でした。ですが、最後の方で点描のように細かく小さく絵の具を置くことで、その課題にも解決策を見出していきましたね!
椿の中心を見ると、影の暗い色だけでなく、紫や黄色など細かく異なる色が使われており、植物のムラのある感じが自然に表現されていると思います。
また、点で描く力は背景にも生かされていますね。手前側にある椿の花とその近くの葉にピントが合っている分、背景はぼんやりとさせてあげることで、より主役の椿が目立つようになります。このぼんやり描くという部分はぼかす加減も難しく、あまりぼかしすぎても手前側の精緻に描かれた花と雰囲気が合わず、かといって背景の葉の密集や木の枝を描きすぎてしまうとメインの椿が目立たなくなってしまいます。そこで、点描にして少し輪郭を曖昧にする事で手前と奥でメリハリのある作品になりました。
以前の彼女の日本画もそうでしたが、動植物の複雑な色合いをしっかり追っている部分が個人的にはとても好きなところです。椿は赤っぽいから暖色系だけ使う、葉は緑系しか使わないというような、ある種の固定観念に囚われないで必要な色を選択していく、その力は今後の作品作りでも大いに活躍してくれるでしょう!あとは同じ部分を永遠にいじり続ける癖が無くなればいいかなと思います!