2月27日午後からティダの会が沖縄防衛局に対して、辺野古新基地建設のために日本政府が行っている環境アセスメント調査に関する申し入れを行った。この2月か3月にも調査が打ち切られようとしているなかで、それを許さないために、複数年にわたる調査を求めている沖縄県の意見書や、辺野古住民の生の声を突きつけながら、調査の問題点を明らかにしていった。
特に今回の申し入れで焦点となったのが、台風時の調査の欠落である。新基地建設による大規模な埋め立てや海上への導入灯の設置などが、周辺の環境にどのような影響を及ぼすのか。特に台風時におけるそれは重要な問題である。ジュゴンの餌となる藻場やサンゴへの影響はもとより、漂砂、海蝕崖への影響や波飛沫による塩害など多様な問題の発生が考えられる。ところが、昨年は沖縄島に台風は来ていない。そのため、重要な調査項目である台風時の環境影響調査が行われていないのである。そのことは対応した沖縄防衛局の職員も認めざるを得なかった。
申し入れに参加した辺野古の住民からは、辺野古の下の集落は海抜が低いため、過去に何度も水害にあっている、という事実が語られた。今回の新基地建設では、辺野古漁港西側の干潟も埋め立てられ、護岸設置によって河口部が狭められる。当然のことながら排水能力の低下が考えられ、台風と満潮が重なれば、大規模な水害が発生しかねない。そこで生活している住民からすれば、このことはこれまでの生活体験から容易に予想できる。過去に床上浸水や腰まで水に浸かったり、車が水没する被害があったという住民の意見に対し、沖縄防衛局の職員(主に答弁したのは上谷康晴環境調査課長補佐)は何も答えることができなかった。
台風時の調査に関して沖縄防衛局は「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書に対する追加・修正資料(修正版)」(平成20年3月)において次のように記している。
〈海蝕崖は、台風などによる変化が捉えられるような時期を考慮して2回実施します。なお複数年の調査については、調査の実施状況を踏まえ、検討します〉(139ページ)
〈[現地調査]1)水域の状況(流域及び河川流量等の状況)/季節毎の平常時の状況と降雨時の状況を把握するため、下記の時期に実施します。/(a)平常時 春、夏、秋、冬の4季/(b)降雨時 2月~11月までの期間において、台風時を含めて3回〉
昨年は沖縄島に台風が来てないので、上記の調査も完全には行われていない。沖縄は「台風県」と言われるほど、自然災害では台風の被害を大きく受けてきた。昨年も沖縄島の被害はなかったが、宮古・八重山地域では大きな被害が出ている。辺野古に新基地ができた場合、台風時に潮流や河川の流れにどのような変化が生じ、それが辺野古の集落や海岸部、海底にどのような影響を与えるか、それを調査するのは必須事項だろう。にもかかわらず、それを行わないまま調査を打ち切ることは、およそあり得ない話だ。
そのことを問われて沖縄防衛局の職員は、環境アセスメント調査を含めて「今後の予定は県と交渉中」とくり返すだけだった。沖縄防衛局は四季を通して調査を行ったという形だけを整え、あたかも十分な調査を行ったかのように装おうつもりかもしれない。しかし、台風時の調査の欠落一点を見ても、その調査には大きな穴が空いているのである。
時間の制約があり27日の申し入れでは、台風時の調査の欠落に絞って話し合ったのだが、現在日本政府が行っている環境アセスメント調査は、方法書の段階から数多くの問題点が専門家や市民団体から指摘されてきた。複数年の調査が必要と指摘される項目も多岐にわたる。政府・防衛省はそれを無視して調査を打ち切り、2014年の完成に間に合わせるため、強行突破をはかろうとしている。だが、それは日本政府の焦りにかられた妄動であり、けっして許されることではない。
昨日は嘉手納爆音訴訟の判決日であり、マスコミの関心もそれに集中した。ティダの会の申し入れはその陰に隠れてしまったが、辺野古の住民が自分たちの生活に直接の被害が予想される問題点を突きつけ、環境アセスメントの欠陥を具体的に明らかにしたことは意義があったと思う。嘉手納であれ、辺野古であれ、実際に被害にあって苦しむのは、そこに住む住民である。その住民の声を無視して進められる「国策」はけっして「国民」のための策ではない。
「グアム移転協定」締結に向けての動きや四者協議会設置の動きなど、辺野古の新基地建設をめぐっていくつもの動きが進み、緊迫度を増している。3月の年度末を迎えるが、日本政府・沖縄防衛局・沖縄県・名護市のそれぞれの動きに注意したい。
特に今回の申し入れで焦点となったのが、台風時の調査の欠落である。新基地建設による大規模な埋め立てや海上への導入灯の設置などが、周辺の環境にどのような影響を及ぼすのか。特に台風時におけるそれは重要な問題である。ジュゴンの餌となる藻場やサンゴへの影響はもとより、漂砂、海蝕崖への影響や波飛沫による塩害など多様な問題の発生が考えられる。ところが、昨年は沖縄島に台風は来ていない。そのため、重要な調査項目である台風時の環境影響調査が行われていないのである。そのことは対応した沖縄防衛局の職員も認めざるを得なかった。
申し入れに参加した辺野古の住民からは、辺野古の下の集落は海抜が低いため、過去に何度も水害にあっている、という事実が語られた。今回の新基地建設では、辺野古漁港西側の干潟も埋め立てられ、護岸設置によって河口部が狭められる。当然のことながら排水能力の低下が考えられ、台風と満潮が重なれば、大規模な水害が発生しかねない。そこで生活している住民からすれば、このことはこれまでの生活体験から容易に予想できる。過去に床上浸水や腰まで水に浸かったり、車が水没する被害があったという住民の意見に対し、沖縄防衛局の職員(主に答弁したのは上谷康晴環境調査課長補佐)は何も答えることができなかった。
台風時の調査に関して沖縄防衛局は「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書に対する追加・修正資料(修正版)」(平成20年3月)において次のように記している。
〈海蝕崖は、台風などによる変化が捉えられるような時期を考慮して2回実施します。なお複数年の調査については、調査の実施状況を踏まえ、検討します〉(139ページ)
〈[現地調査]1)水域の状況(流域及び河川流量等の状況)/季節毎の平常時の状況と降雨時の状況を把握するため、下記の時期に実施します。/(a)平常時 春、夏、秋、冬の4季/(b)降雨時 2月~11月までの期間において、台風時を含めて3回〉
昨年は沖縄島に台風が来てないので、上記の調査も完全には行われていない。沖縄は「台風県」と言われるほど、自然災害では台風の被害を大きく受けてきた。昨年も沖縄島の被害はなかったが、宮古・八重山地域では大きな被害が出ている。辺野古に新基地ができた場合、台風時に潮流や河川の流れにどのような変化が生じ、それが辺野古の集落や海岸部、海底にどのような影響を与えるか、それを調査するのは必須事項だろう。にもかかわらず、それを行わないまま調査を打ち切ることは、およそあり得ない話だ。
そのことを問われて沖縄防衛局の職員は、環境アセスメント調査を含めて「今後の予定は県と交渉中」とくり返すだけだった。沖縄防衛局は四季を通して調査を行ったという形だけを整え、あたかも十分な調査を行ったかのように装おうつもりかもしれない。しかし、台風時の調査の欠落一点を見ても、その調査には大きな穴が空いているのである。
時間の制約があり27日の申し入れでは、台風時の調査の欠落に絞って話し合ったのだが、現在日本政府が行っている環境アセスメント調査は、方法書の段階から数多くの問題点が専門家や市民団体から指摘されてきた。複数年の調査が必要と指摘される項目も多岐にわたる。政府・防衛省はそれを無視して調査を打ち切り、2014年の完成に間に合わせるため、強行突破をはかろうとしている。だが、それは日本政府の焦りにかられた妄動であり、けっして許されることではない。
昨日は嘉手納爆音訴訟の判決日であり、マスコミの関心もそれに集中した。ティダの会の申し入れはその陰に隠れてしまったが、辺野古の住民が自分たちの生活に直接の被害が予想される問題点を突きつけ、環境アセスメントの欠陥を具体的に明らかにしたことは意義があったと思う。嘉手納であれ、辺野古であれ、実際に被害にあって苦しむのは、そこに住む住民である。その住民の声を無視して進められる「国策」はけっして「国民」のための策ではない。
「グアム移転協定」締結に向けての動きや四者協議会設置の動きなど、辺野古の新基地建設をめぐっていくつもの動きが進み、緊迫度を増している。3月の年度末を迎えるが、日本政府・沖縄防衛局・沖縄県・名護市のそれぞれの動きに注意したい。