――大失敗に終わった習近平の外交
 
◆PRCこそ「胸に手を当てて自問せよ」
 
 今年9月3日、中華人民共和国(以下、PRC)の習近平国家主席は、「抗日戦争と世界反ファシズム勝利70周年記念」と銘打った式典を開催し、大規模な反日軍事パレードを行ないました。
 PRCの王毅外相は、日本を標的としていることが明らかなこの軍事パレードに、海外首脳を招待すると発表した際、安倍総理を「日本の政権を握る者」と名指した上で、「まずは胸に手を当てて自問せよ」「自分の良心に尋ねてみよ」とかなり偉そうな発言をしました。
 
 神戸大学の梶谷懐先生によると、PRCはヨーロッパにおいても反日工作をかなり強めているそうですが、欧米諸国は、「PRCはなぜそこまで日本に絡む必要があるのか?」という疑問しかもっていません。
 そもそも、日本との戦争でほとんど戦ってすらいない中国共産党が、いったい何様のつもりでしょうか。一党独裁政権が日本を指さして「反ファシズム」と叫ぶのは悪い冗談でしかありませんが、軍事パレードへの参加は諸外国に対して、「おまえたちはどちら側に付くのだ」と迫る「踏み絵」でもありました。
 今回の軍事パレードを見ていて思わず笑ってしまった「笑点」が、二つあります。一つ目は、式典冒頭で人民解放軍が「抗日の狼煙を上げろ」「日本を東方に駆逐せよ」と合唱していたことです。おそらく、戦時中に自力で日本に勝てなかったことが、中国人にとっては、よほどのトラウマになっているのでしょう。
 
 もう一つの「笑点」は、この軍の合唱を報じた中央電視台(CCTV)の映像です。この映像には、第2次大戦中に撮影された、プラカードを持ってデモ行進をする中国の人びとの古い映像が挿入されたのですが、映像の途中で「服従 領軸訓示(指導者の訓示に従おう)」と書かれたプラカードの前に、共産党最大の仇敵だった国民党のリーダー、蒋介石の顔を描いた別のプラカードが掲げられていたのです。
 つまりこれは、「蒋介石の訓示に従おう」という映像です。何度も見直しましたが、間違いありません。
 歴史をまったく知らないのか、あるいはかなり深刻な健忘症を患っているのかはわかりませんが、これでよく日本に対して「正しい歴史認識」を迫れるものです。
「胸に手を当てて自問せよ」という有り難いお言葉は、熨斗を付けてお返し致します。