紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

気になるおじさん

2009-03-10 23:26:00 | 読書
 ここんとこ、アタマに引っかかり続けている人物がいる。ときたま私の中で、あぶくのように浮上してきては、一陣のブームを刹那の間巻き起こしては、いつしか消えてしまう人物。それは、最近映画化もされた、怪人二十面相である。

 ウィキペディアによれば、二十面相とは以下のような人物として紹介されている。

 名探偵明智小五郎ひきいる少年探偵団がライバル。変装の天才で、腕前は「賊自身も、ほんとうの顔をわすれてしまっているかも知れない」ほど。血を見るのが嫌いで殺人はしない。初期の作品では美術専門の盗賊であったが、後には着ぐるみ等を着て世間を驚かす愉快犯になった。

 最初は美術専門の盗賊だったのだ。いまならさしずめ、NHKの『新・日曜美術館』より、ゲストとして出演依頼がきてもおかしくはない存在だったのだ。

 それがいつしか、着ぐるみなどを着て世間をあっといわすのが、楽しくてたまらない劇場型愉快犯になってしまうとは。

 人が出会えばお天気の話をするように、二十面相の話題から始まり、新聞には連日二十面相の名前が踊る。この快感を一度知ったばかりに、二十面相は変装なんていう地味な仕事では飽き足らず、どんどんへんてこな着ぐるみにエスカレートしたのではないだろうか?

 だって『鉄塔の怪人』では、巨大カブトムシになっているのだ! 巨大カブトムシ!! しかも手には転落防止のため吸盤をつけていたらしい。ぜんぜん不気味でもこわくもない。「なぜ、カブトムシ?」と首を傾げざるをえない。しかも、彼はカブトムシの格好のまま、鉄塔のてっぺんから転落死(偽装とも替え玉説もあるが)したらしいのだ。あまりにかっこわるくないか?

 あるときを境にして、二十面相は「着ぐるみ」にはまってしまったのかもしれない。二十の顔ではあきたらず、自ら『四十面相』と改名!?したが、それでも満足できなかったのだ。彼にとって、「着ぐるみ着用」は後戻りのできない一本道だったような気がする。

 リーダーシップもあり、カリスマ性も持ち、自分のためにヤバい橋を渡ってもらえる部下が何人もいる。大親分である。

 しかも同じ手は二度と使えないので、企画力も発想力も、もちろん実行力もあるはずだ。部下を養う甲斐性だってある。税金で動いている警察の横で、ちょいちょいとアタマを使うだけの明智小五郎とは、スケールが違うのだ。二十面相はすべてが自分持ちなのだ。これはどうあっても、二十面相に肩入れせずにはおれないだろう。

 リーダーシップもあり、カリスマ性も持ち、しかも反戦論者*でヘンな事を提案すればするほど、周囲が熱狂する人物。そんな実在の人物を私はひとり知っている。変装も盗みもしないけれど、みうらじゅんって、ある意味、二十面相に似ているかも。

*ウィキペディアより。反戦主義者で、『宇宙怪人』では、戦争を起こして沢山の人を殺した悪い奴らがつかまらず、自分だけがつかまる事に対して憤慨している。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿