わたしがしばらくいた某部署の話をしよう。
わたしはサラリーマンだが、電子回路の分野での研究開発職でもある。
世に広く数多ある職のなかでも、研究開発職は頭脳労働のウエイトが高い。
そして、頭脳労働の対局は、肉体労働、ではない。たぶん。
労働の成果が働いた時間に比例する、考えることやスキルを要求されない仕事が頭脳労働の対局である。
たとえば、ダイレクトメールの業者のために、プリントを折って封筒に入れてノリで封する内職とかがそれにあたる。
こういう職の場合、労働者にとっては労働時間、雇用側にとっては投入労働量が、最も重要な要素になる。
それはあたりまえだ。
しかし!
その研究開発職まで投入労働量で全てを説明しようとした画期的な部署が現れた!
それが、わたしが2年ほどいた、とある部署である。
前置きが長くなった。
そこで何が行われていたか、それをこれから記していきたい。
某部署は、とにかくマルクス経済学である。
マルクス経済学とは、製品の価値を、製品の材料費、プラス、投入労働量で表す。
すなわち、投入労働量が多ければ多いほど、製品の付加価値が上がるというのだ。
プリントを折って封筒に入れてノリで封する内職なら、それはごもっともであろう。
マルクスが生きていた産業革命の初期段階でも、それはだいたい正しい。
しかし!
その概念を研究開発職まで適用するとどうなるだろうか?
仕事の成果は残業した時間で決まることになったのだ!
なんてフシギな世界があったのだろう!!
どんなに難易度の高い研究開発案件でも、達人が一瞬で設計して定時に帰ってしまえば、そいつは大した仕事をしていなかったということになり、人事評価が下がる。
その逆もしかり。
ふつうに考えればエンジニアに向いていなそうなヤツが毎日夜12時まで残業して設計して、それでも性能が良くない。
しかしそれは問題ない。
たくさん残業したのだからいいものができたに決まっている、またはたくさん残業したのだから高難易度の研究開発案件だった君はよくがんばった、となり、人事評価が上がる。
「うちのLSIは毎日夜12時まで残業して設計したのだからすばらしいものだ。君の部署のLSIは毎日は毎日定時で帰るヤツが設計したのだから大したもんじゃないに決まっている!」
という議論が真顔で通る世界なのだ。
するとどうなるか?
そこにいる人間は何種類かにタイプ分けされていった。
【タイプ1】
このマルクス経済学のイデオロギーに完全に心酔してしまう。
課長の半分くらいがこのタイプである。
こいつらはアタマの中がマルクス経済学なので、まるで話が通じない。
【タイプ2】
「こんなマルクス経済学で研究開発案件をマネジメントしてたらマトモに機能するわけないじゃないですか!」
と部長に食いつくヤツ。
部長は、部集会ではざっくばらんに議論しましょうという題目をかかげているが、実態は異なる。
部集会で部長に意見した者は、あっという間に他の部署に飛ばされる。
多くの者はこの部署にいたがらないのでこれは願ったり叶ったりかと思う人もいるかもしれない。
しかし、部長はとにかくこいついらね的な間隔で非常に非常にその場の思いつきで部署移動させるので、だいたいとんでもないところに飛ばされる。
会社をやめようと思うくらいなら試すべきだが、基本的にこの作戦は危険である。
【タイプ3】
さっさと辞めるヤツ。
新人のときからこの部署に配属されると、会社全体がマルクス経済学だと信じてしまう。
そりゃー辞めますわ。
テキパキ仕事をしてさっさと終わらせる仕事スタイルを好む善良な人間ほど、人事評価がどんどん下がり、潰されて辞めていく。
「〇〇君は今日も定時に帰ったのかー。いかんなー」
という課長の一言は驚愕に値する出来事であった。
【タイプ4】
異常にガマン強いヤツ。
新人のときからこの部署に配属されると会社全体がマルクス経済学だと信じてしまうところまでは同じだが、だから部署移動しても今よりマシになると全く思っていない人たちだ。
「どこにいってもきっと同じように苦労すると思うよ」
というのが口癖になる。
【タイプ5】
過剰順応したヤツ。
我輩はこのタイプだ。
研究開発職なんだから、ふつうに考えれば、いいモノを作るだとか、すばらしい発明を思いつくだとか、そういうことが仕事のはずである。
しかし、決められた上限残業時間を使いきるギリギリまで可能なかぎりチンタラ仕事をしなければならないと思い、もっとよくなる新しい方式は検討すらせずに全く手をつけず、とにかく言われたとおりに「だけ」仕事をする。
エンジニアの仕事は、本来なら、世界で初めて実現するモノを作るために、誰も扱ったことのない人類未踏の領域で性能が出ずにアタマかかえて困るのが常だ。
だがその部署ではそんなことに悩む必要などない。
残業時間を使い切ることこそが最も優先度の高い仕事である。
性能が出ようが出まいがまるで気にしない。
「時間いっぱいまで残業してがんばりました。性能はでませんでした」
で許される。
こんなにラクチンな職場がこの世に存在するとは思わなかった!
満州でソ連兵のもとでひところ働いていたじっちゃんが言っていた。
「ロシア人は、ちょっとでもサボるとめちゃくちゃ文句を言うが、どんだけゆっくりだろうがチンタラ仕事をしていれば全く何も言わない。がんばって仕事をしたらノルマが増えるから大変なことになる」
おわかりだろう。
ソ連が崩壊するほど生産性が悪かった理由がそのまま運用されているのだ。
某部署でも全く同じである。
有能な人間は、
部長にたてついて飛ばされるか、
見切りをつけてさっさと辞めるか、
過剰順応してチンタラ仕事をするようになり無能化するか、
のどれかである。
無能な人間は、
残業時間を使い切ることこそが上司に対する忠誠心をアピールする最も重要な仕事であると信じて仕事をする。
実際、残業時間の上限が40時間と決められていた場合、39時間58分まで残業したヤツが偉い。
まあ、偉いというか、部長に忠義を尽くした忠臣である。
もちろん、上限40時間なのに20時間くらいしか残業時間を使わなかった場合、上司から仕事をしていないと呼び出しを受ける。
どれだけ仕事が進捗していようが、どれだけ性能が出ていようが、部長に逆らった愚か者となる。
するとどうなる?
チンタラ仕事をするヤツしか残らなくなる。
そうすると人が足りない。
部長は他の部署から人を奪ってくる。
しかし奪ってきた人も、いずれは去るかチンタラ仕事をするようになる。
また人が足りなくなる。
部長はまた他の部署から人を奪ってくる。
この部署はブラックホールのような位置エネルギーの低さを示していた。
そして恐ろしく肥大化した。
部長が
「うちの部署って、なんか効率悪いよね」
とぼやくのを聞いたことがある。
理由がわかっていないことに我々は驚愕した。
もう1つエピソードがある。
我輩、とある案件で夜12時まで仕事をしていた時期があった。
よくは知らないが、労働法かなにかの事情により、深夜時間帯にも30分ほど休憩時間があった。
休憩時間は給料が出ない。
なので我輩は昼寝(?)していた。
多くの人はさっさと仕事を終わらせて帰りたいから仕事をしているようなのだが。
深夜、課長が現れた。
「ねえ体調大丈夫?」
「は? いや全然大丈夫ですよ?」
意味がわからない。
後でわかった。
我輩は、体調が悪いのにそれをおくびにも出さず深夜まで残業して仕事をする忠臣ですばらしい部下だと思われたのだ。
おなじ時期。
「今日、体調が悪いので帰っていいですか?」
と言った同僚。
「うーん困ったなー。ねえ何とかならない?」
「いえ、今日は体調が悪いので……」
「うーん困ったなー。ねえ何とかならない?」
「いえ、今日は体調が悪いので……」
「うーん困ったなー。ねえ何とかならない?」
「いえ、今日は体調が悪いので……」
「うーん困ったなー。ねえ何とかならない?」
無限ループに陥った。
けっきょく同僚は体調が悪いのをおして残業して帰った。
この部署では、途中で体調が悪くなっても帰宅できなくなるのが周知された。
すると、ちょっとでも体調が悪い場合、大事をとって休む。
風邪をひいても大事をとって何日も休む。
そして人がいなくなり、仕事が進まない状況がさらに悪化した。
うちの会社の上層部も、いや、会社の上層部「は」、バカではない。
エンジニア出身ではない人も多いので技術的にはわかっていないことも多々あるが、非常に非常に鋭い。
この部署が何かおかしいことに勘付いた。
して査察が入った。
そこで驚愕の事実が明らかになった。
毎月必ず39時間58分なんて残業時間に調整している涙ぐましい努力を怠らなかった忠臣がそこら中にいたのだ。
上層部は、なぜそうなったのかというところには到達しなかったようだが、おかしいことには気がついた。
して部長に是正命令が入った。
するとどうなったか?
「末尾が9の残業時間を禁止します」
という通達が出たのだ。
こいつどんだけバカなのかとか、いくらなんでも作り話だろうと思うかもしれないが、事実である。
しばらく後、
「あなたは今月は〇〇時間の残業時間になるように調整してください」
とか、
「あなたは今日〇〇時から〇〇の間に帰ると残業時間の末尾が9になるので、その間の帰宅を禁止します」
とか言いだした。
もはやコントである。
「いくらなんでもそんなに酷くはないだろ。作り話なんじゃないの?」
と笑っていた別の部署の男も、たまたまこの会話を聞いていて
「本当だったんだ……」
と驚いていた。
こんなんでも、プリントを折って封筒に入れてノリで封する内職をする職場なら、まあそれでもいい。
しかしここは研究開発の職場である。
これでいいものができると思うほうがどうかしているし、事実いいものができていない。
わたしはサラリーマンだが、電子回路の分野での研究開発職でもある。
世に広く数多ある職のなかでも、研究開発職は頭脳労働のウエイトが高い。
そして、頭脳労働の対局は、肉体労働、ではない。たぶん。
労働の成果が働いた時間に比例する、考えることやスキルを要求されない仕事が頭脳労働の対局である。
たとえば、ダイレクトメールの業者のために、プリントを折って封筒に入れてノリで封する内職とかがそれにあたる。
こういう職の場合、労働者にとっては労働時間、雇用側にとっては投入労働量が、最も重要な要素になる。
それはあたりまえだ。
しかし!
その研究開発職まで投入労働量で全てを説明しようとした画期的な部署が現れた!
それが、わたしが2年ほどいた、とある部署である。
前置きが長くなった。
そこで何が行われていたか、それをこれから記していきたい。
某部署は、とにかくマルクス経済学である。
マルクス経済学とは、製品の価値を、製品の材料費、プラス、投入労働量で表す。
すなわち、投入労働量が多ければ多いほど、製品の付加価値が上がるというのだ。
プリントを折って封筒に入れてノリで封する内職なら、それはごもっともであろう。
マルクスが生きていた産業革命の初期段階でも、それはだいたい正しい。
しかし!
その概念を研究開発職まで適用するとどうなるだろうか?
仕事の成果は残業した時間で決まることになったのだ!
なんてフシギな世界があったのだろう!!
どんなに難易度の高い研究開発案件でも、達人が一瞬で設計して定時に帰ってしまえば、そいつは大した仕事をしていなかったということになり、人事評価が下がる。
その逆もしかり。
ふつうに考えればエンジニアに向いていなそうなヤツが毎日夜12時まで残業して設計して、それでも性能が良くない。
しかしそれは問題ない。
たくさん残業したのだからいいものができたに決まっている、またはたくさん残業したのだから高難易度の研究開発案件だった君はよくがんばった、となり、人事評価が上がる。
「うちのLSIは毎日夜12時まで残業して設計したのだからすばらしいものだ。君の部署のLSIは毎日は毎日定時で帰るヤツが設計したのだから大したもんじゃないに決まっている!」
という議論が真顔で通る世界なのだ。
するとどうなるか?
そこにいる人間は何種類かにタイプ分けされていった。
【タイプ1】
このマルクス経済学のイデオロギーに完全に心酔してしまう。
課長の半分くらいがこのタイプである。
こいつらはアタマの中がマルクス経済学なので、まるで話が通じない。
【タイプ2】
「こんなマルクス経済学で研究開発案件をマネジメントしてたらマトモに機能するわけないじゃないですか!」
と部長に食いつくヤツ。
部長は、部集会ではざっくばらんに議論しましょうという題目をかかげているが、実態は異なる。
部集会で部長に意見した者は、あっという間に他の部署に飛ばされる。
多くの者はこの部署にいたがらないのでこれは願ったり叶ったりかと思う人もいるかもしれない。
しかし、部長はとにかくこいついらね的な間隔で非常に非常にその場の思いつきで部署移動させるので、だいたいとんでもないところに飛ばされる。
会社をやめようと思うくらいなら試すべきだが、基本的にこの作戦は危険である。
【タイプ3】
さっさと辞めるヤツ。
新人のときからこの部署に配属されると、会社全体がマルクス経済学だと信じてしまう。
そりゃー辞めますわ。
テキパキ仕事をしてさっさと終わらせる仕事スタイルを好む善良な人間ほど、人事評価がどんどん下がり、潰されて辞めていく。
「〇〇君は今日も定時に帰ったのかー。いかんなー」
という課長の一言は驚愕に値する出来事であった。
【タイプ4】
異常にガマン強いヤツ。
新人のときからこの部署に配属されると会社全体がマルクス経済学だと信じてしまうところまでは同じだが、だから部署移動しても今よりマシになると全く思っていない人たちだ。
「どこにいってもきっと同じように苦労すると思うよ」
というのが口癖になる。
【タイプ5】
過剰順応したヤツ。
我輩はこのタイプだ。
研究開発職なんだから、ふつうに考えれば、いいモノを作るだとか、すばらしい発明を思いつくだとか、そういうことが仕事のはずである。
しかし、決められた上限残業時間を使いきるギリギリまで可能なかぎりチンタラ仕事をしなければならないと思い、もっとよくなる新しい方式は検討すらせずに全く手をつけず、とにかく言われたとおりに「だけ」仕事をする。
エンジニアの仕事は、本来なら、世界で初めて実現するモノを作るために、誰も扱ったことのない人類未踏の領域で性能が出ずにアタマかかえて困るのが常だ。
だがその部署ではそんなことに悩む必要などない。
残業時間を使い切ることこそが最も優先度の高い仕事である。
性能が出ようが出まいがまるで気にしない。
「時間いっぱいまで残業してがんばりました。性能はでませんでした」
で許される。
こんなにラクチンな職場がこの世に存在するとは思わなかった!
満州でソ連兵のもとでひところ働いていたじっちゃんが言っていた。
「ロシア人は、ちょっとでもサボるとめちゃくちゃ文句を言うが、どんだけゆっくりだろうがチンタラ仕事をしていれば全く何も言わない。がんばって仕事をしたらノルマが増えるから大変なことになる」
おわかりだろう。
ソ連が崩壊するほど生産性が悪かった理由がそのまま運用されているのだ。
某部署でも全く同じである。
有能な人間は、
部長にたてついて飛ばされるか、
見切りをつけてさっさと辞めるか、
過剰順応してチンタラ仕事をするようになり無能化するか、
のどれかである。
無能な人間は、
残業時間を使い切ることこそが上司に対する忠誠心をアピールする最も重要な仕事であると信じて仕事をする。
実際、残業時間の上限が40時間と決められていた場合、39時間58分まで残業したヤツが偉い。
まあ、偉いというか、部長に忠義を尽くした忠臣である。
もちろん、上限40時間なのに20時間くらいしか残業時間を使わなかった場合、上司から仕事をしていないと呼び出しを受ける。
どれだけ仕事が進捗していようが、どれだけ性能が出ていようが、部長に逆らった愚か者となる。
するとどうなる?
チンタラ仕事をするヤツしか残らなくなる。
そうすると人が足りない。
部長は他の部署から人を奪ってくる。
しかし奪ってきた人も、いずれは去るかチンタラ仕事をするようになる。
また人が足りなくなる。
部長はまた他の部署から人を奪ってくる。
この部署はブラックホールのような位置エネルギーの低さを示していた。
そして恐ろしく肥大化した。
部長が
「うちの部署って、なんか効率悪いよね」
とぼやくのを聞いたことがある。
理由がわかっていないことに我々は驚愕した。
もう1つエピソードがある。
我輩、とある案件で夜12時まで仕事をしていた時期があった。
よくは知らないが、労働法かなにかの事情により、深夜時間帯にも30分ほど休憩時間があった。
休憩時間は給料が出ない。
なので我輩は昼寝(?)していた。
多くの人はさっさと仕事を終わらせて帰りたいから仕事をしているようなのだが。
深夜、課長が現れた。
「ねえ体調大丈夫?」
「は? いや全然大丈夫ですよ?」
意味がわからない。
後でわかった。
我輩は、体調が悪いのにそれをおくびにも出さず深夜まで残業して仕事をする忠臣ですばらしい部下だと思われたのだ。
おなじ時期。
「今日、体調が悪いので帰っていいですか?」
と言った同僚。
「うーん困ったなー。ねえ何とかならない?」
「いえ、今日は体調が悪いので……」
「うーん困ったなー。ねえ何とかならない?」
「いえ、今日は体調が悪いので……」
「うーん困ったなー。ねえ何とかならない?」
「いえ、今日は体調が悪いので……」
「うーん困ったなー。ねえ何とかならない?」
無限ループに陥った。
けっきょく同僚は体調が悪いのをおして残業して帰った。
この部署では、途中で体調が悪くなっても帰宅できなくなるのが周知された。
すると、ちょっとでも体調が悪い場合、大事をとって休む。
風邪をひいても大事をとって何日も休む。
そして人がいなくなり、仕事が進まない状況がさらに悪化した。
うちの会社の上層部も、いや、会社の上層部「は」、バカではない。
エンジニア出身ではない人も多いので技術的にはわかっていないことも多々あるが、非常に非常に鋭い。
この部署が何かおかしいことに勘付いた。
して査察が入った。
そこで驚愕の事実が明らかになった。
毎月必ず39時間58分なんて残業時間に調整している涙ぐましい努力を怠らなかった忠臣がそこら中にいたのだ。
上層部は、なぜそうなったのかというところには到達しなかったようだが、おかしいことには気がついた。
して部長に是正命令が入った。
するとどうなったか?
「末尾が9の残業時間を禁止します」
という通達が出たのだ。
こいつどんだけバカなのかとか、いくらなんでも作り話だろうと思うかもしれないが、事実である。
しばらく後、
「あなたは今月は〇〇時間の残業時間になるように調整してください」
とか、
「あなたは今日〇〇時から〇〇の間に帰ると残業時間の末尾が9になるので、その間の帰宅を禁止します」
とか言いだした。
もはやコントである。
「いくらなんでもそんなに酷くはないだろ。作り話なんじゃないの?」
と笑っていた別の部署の男も、たまたまこの会話を聞いていて
「本当だったんだ……」
と驚いていた。
こんなんでも、プリントを折って封筒に入れてノリで封する内職をする職場なら、まあそれでもいい。
しかしここは研究開発の職場である。
これでいいものができると思うほうがどうかしているし、事実いいものができていない。