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人はなぜ、宗教にハマるのか?
苫米地 英人【著】
この本を読んでみたのだが。
あかんはこれはwww
完全にミイラ取りがミイラになってますわwww
この本は宗教を否定する目的で書かれたものだが、その実態は
「ぼくのかんがえたさいきょうのしゅうきょう」
でしたwww
論理の飛躍が目立つところが多いし。
いろいろと陰謀論めいたところも多いし。
当blogでも、論理を飛躍させることで、あえておかしな結論へ誘導することもやることはあるが、そういう我輩が見ても誘導がビミョーすぎる。
さらにいうと。
どうやらこいつ、共産主義マンセー主義者のようであり、いかに共産主義は優れているかを大幅にページをとって解説してある。
我輩の死んだじっちゃんは終戦後しばらく満州でロシアの支配下に入り仕事をしていた時期があり、ヤツらの仕事っぷりや行動様式について直に観察し、それをよく幼少のわたしに語ってくれたのだが、そのじっちゃんの言ってることとことごとく違う。
ようは共産主義社会を直に見たことがないヤツが空想や机上の空論で共産主義の良さを語っているだけで、読んでてなんかもうアンチ資本主義だからルサンチマンで共産主義マンセーしてるだけなんじゃないかとしか思えなくなってきた。
そして、そもそも共産主義こそ
「ぼくのかんがえたさいきょうのしゅうきょう」
である。
この本はそれなりにおもしろいにはおもしろいのだが、これを読んで
「大変感動した! ぜひみなさんに読んでほしい!」
と思う人こそ宗教にハマる人である。
そういう人は
「今からミイラを取りにいくぞー!」
と音頭をとっているミイラにホイホイついていくことになるんでしょうな。
(「神」をオレオレ定義すれば何とか処理できるかもしれませんが、原則として神に限らず「非存在」系の証明は困難でしょう…)
あまり深くウォッチしたことはないのですが、炎上マーケティング的な刺激のある言葉やタイトルを連発して商売する方という印象があります。
「共産主義」も自らの商売のためのバズワードの一つで、自らは本当は全く信じていない可能性もあるのでは、と思うのですがどうなんでしょうね。
そういえば、昭和後期に、下記のような冗談本気の説がありました。
「ソビエトも中国も全く社会主義・共産主義とは言えない。一部の権力層による独裁国家にすぎない。
むしろ、マルクスの考えた理想に一番近いのは日本ではないか。
社員たちは『自分たちの会社』と思い込み(また簡単に解雇もできず)、
経営層も株主の代理という意識がなく、
経営層が独断専行すると(株主ではなく)社員が『会社を私物化している』と叫び、
株主は利益の最後のおこぼれしか貰えず大した意見も言えない。
これは会社社会主義という国である。
社員の叫ぶ『会社の私物化』という非難は、他の資本主義国家からは(それあたりまえだろ)と受け取られる、一番理解しがたい言葉ではないか」
ただ経済失速以降、徐々に欧米流の価値観が少しずつ侵食して、会社社会主義的価値観は衰退している印象はありますね。
これについてもずいぶんページ数かけて書いてました。
全体的にそこはかとなくただようインチキ臭さと論理の飛躍がひどかったですね。
ご指摘のように、仮に炎上商法まがいで特定の結論に結びつけるために本心ではないこと書いているのだとすれば、そりゃーインチキ臭さと論理の飛躍がめだつのも合点がいくというところでしょうか。
昭和の時代は「終身雇用を保証するかわりに会社に公私ともに忠義を尽くせ」みたいな感じでしたね。
うちの会社ではITバブル崩壊のタイミングでリストラした際に一瞬できれいさっぱり消えてなくまりました。
「会社が傾いたらさっさと逃げるのが社員として当然」とモチベーションが切り替わった意味でも、社員も欧米流(?)にドライになったもんです。
とてもよくわかります。
ちなみに、社員側の感情という意味では、無能な経営陣が居座ったままリストラするより、総入れ替えでドライなことをやられたほうが、まだ納得がいく気がしますね(笑)
そういえば、クルーグマンの本を読んでいると、アメリカでも終身雇用や手厚い退職金・家族経営的な文化は一部にあった(昔のIBMとか)という話があって、80年代のLBO・乗っ取り全盛という嵐が吹き荒れたためにドライな文化がより強化された、と書かれていた覚えがあります。
当時のLBO/乗っ取り屋たちは「乗っ取りで上昇した株価は、我々が経営を合理化した賜物」と豪語していたが、実は「これまでの経営陣の約束(終身l雇用や手厚い退職金積み立て等)なんて知らんがな」とやることで、未来の負債を一掃することで、目先の企業価値を増大させて売り抜けるという、「約束の反故による利益」が大半なのでは?という指摘があるよと。
そして、そういった未来の約束がない会社ばかりになると、乗っ取り屋さんの最も効果的だった手が使えないので、それ以降は、LBOの嵐は止んでしまった、と。
(加えて、LBO全盛時代の総計よりも、それ以前の時代の方が全体の生産性が高かったとも)
そんな別の観点からの事情もあったんですね。
そのアメリカの話は昨今のドイツの話に通じるものがあるような気がしてきました。
よくロイターの記事になる論調でいうと、ドイツ経済は競争力があってすばらしい→競争力があるのは労働改革したからだ→労働改革の成果は賃金上昇を抑制したことにある→けっきょくそれかい!…みたいな。
それはありますよね(笑)
ドイツの場合、それに加えて(最適通貨圏を超えた)統一通貨で一番おいしい立ち位置にいるという効果もありそうですが。
ところで、LBOの件は 15年前に読んだクルーグマン本(さらに原著は1994)なんですが、改めて引っ張り出して読むと、結論部は明らかな事実誤認(記憶違い)をしていたので訂正しておきます、すみません。
下記、当該セクションの要約です。
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0.なぜ80年代にLBOの嵐が?そしてLBOで大金持ちが続出したのはなぜ?という疑問
1.LBOによる価値増加の由来は、ハーバード大でも議論があって、「非効率経営の修正」を唱える教授と「約束の反故(含む賃金カット)&内部留保吐き出し」を唱える教授がいる。
2.どちらも極端だが、トータルで言えば後者に近い。
(実際、LBOされても全体生産性は上がっておらず、LBO長者の利益の源は、約束反故による利益再配分が大きい)
3.ミルケンが市場を作った説はあるものの、真実かどうかはわからない。
(ただミルケンのジャンク債リスクの計算は、長期になると急にリスクが上昇していくジャンク債の実態を無視した短期計算になっており、それが熱狂を呼んだかもしれない)
4.「なぜかタイミング良く」80年代は規制緩和と重なってLBOが起きた。
(70年代だと反トラスト法に掛かるような合併が容認された…これは本当に偶然なのか怪しい)
5.LBOが衰退した理由は(既存の会社が変化したのではなく)、LBOで巨額の負債を背負わされた企業の多くが90年代に入り資金繰り・経営に困る事態が多くなり、ジャンク債市場自体が崩壊したため。
貴重な情報ありがとうございます。
多くの人が望まない形でそうなったとしたら、当時の日本の終身雇用を解体してアメリカナイズな改革をするぞっていう音頭とりは、そもそも論的に目標を間違えたっぽいところもあるのかもですね。