最近では話題にもならなくなったが、世の中にはゲームファンドというものがある。
すごく単純化して言ってしまうと、株式は会社に投資し会社の利益の一部を配当でもらうのに対し、ゲームファンドはゲームに投資しゲームの売り上げの一部を償還してもらうものだ。
対象のゲームがバカ売れすれば儲かるし、全然売れなければ元本割れする。
これが立ち上がった背景から説明しよう。
まず、ゲームの開発には莫大な初期投資が必要である。
例えばマンガであれば雑誌の掲載料という形で毎回お金が入ってくるわけなので、大きな初期投資をせずとも自転車操業は可能だ。同じくアニメでもTV放映が決まれば前受金を得られるので自転車操業は可能だ。
しかしゲームでは自転車操業はできない。
あらかじめゲームを開発しきるだけの資金を持っていなければゲームを作ることもできないのだ。
ではどうすれば良いか。
銀行に行って「このゲームは絶対売れるはずだから金貸してくれ」とでも言ったところで、担保に入れる資産でもなければ相手にされないだろう。
金がなければ大手の下請けの仕事を細々ともらい銭を蓄えるか、もしくは少人数でできるミニゲームでも細々と作っていくかしかない。ファミコン時代はハードがショボかったがゆえに少人数でも開発が可能だったのだが、今のご時世そうもいかない。
しかし、うまいことやる方法がある。
ゲームに対して株式のようなものを発行する方法だ。
だれでもいい不特定多数の人に、とある紙切れを売りつける。
この紙切れはゲームの売り上げの一部をもらえるという約束がついている。
もちろんお金がかかわるモノだからタダでは貰えない。お金を払って買うことになる。
ゲームがたくさん売れそうだと思った人は、紙切れの値段よりも戻ってくるお金が多いと思った人は、この紙切れにお金を払って買う。(正確には時間とインフレの話やらリスクプレミアム云々の話が必要だが、正確に書きすぎるとワケわからなくなるので除外(笑))
紙切れを売りつけた当の本人は集めた金でゲームを作る。
そしてゲームを発売し、あとで売れたお金の一部を紙切れの所有者に分配する。
あくまでも “う ま く い け ば” だが、ゲーム会社は金がなくてもゲームを作れるし、紙切れを買った人はお金が増えてもどってくるし、ゲームがタダでもらえちゃう事もある。みんなハッピーになれる。
特にゲーム会社からすれば、自腹を切らなくても、エラそうな銀行に頭を下げなくても、社債を発行して世間に借金を作らなくても、増資して1株価値が下がった既存株主を怒らせなくても、それでも開発費をまかなえる魔法の方法なのだ。
これがゲームファンドである。
しかし、ここで大きな問題がある。
ちょい話がそれるが、世の中には似たようなものにREITというものがある。
REITとは不動産投資信託の略で、ゲームファンドと同じように不特定多数の人から金をかき集め、集めた金でマンションやビルを買い、それの家賃収入で儲かったお金をみんなに分配するというしくみである。
一般の人にとっては数10万円くらいの小額で不動産投資ができ、かたや運営側は安定した運営報酬をもらえ、みんなハッピーになれる。あくまでも “う ま く い け ば” だが。
実はREITにはバラ色の未来は待ってはいなかった。
もともと不動産をあつかうシロモノであるからして、これを立ち上げるのは不動産屋さんがメインだった。
そして新興不動産デベロッパーのみなさんがたくさんREITを立ち上げた。
不動産デベロッパーとは、土地を買って建物を建てて売って、その金でまた土地を買って・・・を繰り返して商売をしている人たちのことである。
この人たちは自分たちの建物を買ってくれる人がいないと困る。
自分のいうことを聞いて高値でホイホイ建物を買ってくれる人を欲していた。
だからREITを立ち上げた。
REITに金をはらった人たちにとっては、自分の金で高い買い物をされたのではたまったもんじゃない。
ホントはREITにお金を払った人がバカをみないように、不動産の価値を第三者に鑑定依頼しなければいけないことになっているとか、チェック機構は働くように法整備がなされている。
しかしたとえば、鑑定会社に
「高い鑑定価格を出してくれないと2度とシゴト頼まないからヨロシク♪」
とオドシに近い依頼を出し、そして鑑定会社もシゴトがないと困るので、自分たちの裁量内でギリギリまで高い鑑定価格を書いて返す・・・とか不正ギリギリのことをよくやる。
依頼元は大喜びだ。
なんたってバカ高い値段で堂々と売りつけることができるお墨付きをもらえたのだから。
こういう状況のことを利益相反という。
クリード(8983)などはこの件でやり過ぎで行政処分を受けている。日本レジデンシャル(8962)などは親会社の配下のやつから物件を取得しようとして、けどやっぱり止めることにして、止めたからといって違約金を払い、それで資産をすり減らすようなこともしている。
もちろん、どこもかしこもこんなクソ会社だらけではない。
プレミア(8956)のように株主総会でスポンサーから優先的に物件を取得してバランスを崩すことは絶対にしないと明言したところもあるし、日本ビルファンド(8951)のように何をしようが投資家から絶対の信頼を受けていて株価は高値を維持しつづけているところもある。
さて、ゲームファンドの話にもどろう。
仮に、なにかオトナの事情で売れないゲームを開発しなければならなくなったとしよう。
例えば大口の問屋さんが「あのゲームの続編つくってよ」と言ったら断れないとかあるかもしれない。
グループ内のアニメ部門とのタイアップで、どうしてもゲームを作らざるを得ないということもあるかもしれない。
けど、マーケティングやってみたら売れそうにもないことが予めわかってしまうかもしれない。
不況になっているとか、FFの発売日と重なりそうだとか、他の大型プロジェクトをかかえていてロクなメンバーを回せないとか、時期的な都合もあるかもしれない。
そういうとき、ゲーム会社は自分では開発リスクを負いたくない。
儲けは期待できないのだから、なんとか頭をひねってゲーム開発メンバーの維持費くらいは集めようとする。
そうだ!
ゲームファンドを立ち上げ、開発リスクは全部他人におしつけてやればいいじゃないか!
実はゲームファンドでの調達率を上げれば上げるほど、ゲーム会社にとってはゲームの売り上げがどうなろうと知ったこっちゃなくなる。
だから最初っから投資家をダマす目的で金を集めることも可能なのだ。
投資家もバカじゃない。そんなことがまかり通ってたまるものかとも思う。
しかし、ゲーム会社の会社が傾いているとき、そんなになりふりかまってはいられないのだ。
REITのときだって親会社がヤバいところほどムチャクチャしやがる率が高い。これは歴史が証明したことだ。
これからの世の中、ゲームファンドでこんな利益相反的なことにならなきゃいいんだけど・・・
すごく単純化して言ってしまうと、株式は会社に投資し会社の利益の一部を配当でもらうのに対し、ゲームファンドはゲームに投資しゲームの売り上げの一部を償還してもらうものだ。
対象のゲームがバカ売れすれば儲かるし、全然売れなければ元本割れする。
これが立ち上がった背景から説明しよう。
まず、ゲームの開発には莫大な初期投資が必要である。
例えばマンガであれば雑誌の掲載料という形で毎回お金が入ってくるわけなので、大きな初期投資をせずとも自転車操業は可能だ。同じくアニメでもTV放映が決まれば前受金を得られるので自転車操業は可能だ。
しかしゲームでは自転車操業はできない。
あらかじめゲームを開発しきるだけの資金を持っていなければゲームを作ることもできないのだ。
ではどうすれば良いか。
銀行に行って「このゲームは絶対売れるはずだから金貸してくれ」とでも言ったところで、担保に入れる資産でもなければ相手にされないだろう。
金がなければ大手の下請けの仕事を細々ともらい銭を蓄えるか、もしくは少人数でできるミニゲームでも細々と作っていくかしかない。ファミコン時代はハードがショボかったがゆえに少人数でも開発が可能だったのだが、今のご時世そうもいかない。
しかし、うまいことやる方法がある。
ゲームに対して株式のようなものを発行する方法だ。
だれでもいい不特定多数の人に、とある紙切れを売りつける。
この紙切れはゲームの売り上げの一部をもらえるという約束がついている。
もちろんお金がかかわるモノだからタダでは貰えない。お金を払って買うことになる。
ゲームがたくさん売れそうだと思った人は、紙切れの値段よりも戻ってくるお金が多いと思った人は、この紙切れにお金を払って買う。(正確には時間とインフレの話やらリスクプレミアム云々の話が必要だが、正確に書きすぎるとワケわからなくなるので除外(笑))
紙切れを売りつけた当の本人は集めた金でゲームを作る。
そしてゲームを発売し、あとで売れたお金の一部を紙切れの所有者に分配する。
あくまでも “う ま く い け ば” だが、ゲーム会社は金がなくてもゲームを作れるし、紙切れを買った人はお金が増えてもどってくるし、ゲームがタダでもらえちゃう事もある。みんなハッピーになれる。
特にゲーム会社からすれば、自腹を切らなくても、エラそうな銀行に頭を下げなくても、社債を発行して世間に借金を作らなくても、増資して1株価値が下がった既存株主を怒らせなくても、それでも開発費をまかなえる魔法の方法なのだ。
これがゲームファンドである。
しかし、ここで大きな問題がある。
ちょい話がそれるが、世の中には似たようなものにREITというものがある。
REITとは不動産投資信託の略で、ゲームファンドと同じように不特定多数の人から金をかき集め、集めた金でマンションやビルを買い、それの家賃収入で儲かったお金をみんなに分配するというしくみである。
一般の人にとっては数10万円くらいの小額で不動産投資ができ、かたや運営側は安定した運営報酬をもらえ、みんなハッピーになれる。あくまでも “う ま く い け ば” だが。
実はREITにはバラ色の未来は待ってはいなかった。
もともと不動産をあつかうシロモノであるからして、これを立ち上げるのは不動産屋さんがメインだった。
そして新興不動産デベロッパーのみなさんがたくさんREITを立ち上げた。
不動産デベロッパーとは、土地を買って建物を建てて売って、その金でまた土地を買って・・・を繰り返して商売をしている人たちのことである。
この人たちは自分たちの建物を買ってくれる人がいないと困る。
自分のいうことを聞いて高値でホイホイ建物を買ってくれる人を欲していた。
だからREITを立ち上げた。
REITに金をはらった人たちにとっては、自分の金で高い買い物をされたのではたまったもんじゃない。
ホントはREITにお金を払った人がバカをみないように、不動産の価値を第三者に鑑定依頼しなければいけないことになっているとか、チェック機構は働くように法整備がなされている。
しかしたとえば、鑑定会社に
「高い鑑定価格を出してくれないと2度とシゴト頼まないからヨロシク♪」
とオドシに近い依頼を出し、そして鑑定会社もシゴトがないと困るので、自分たちの裁量内でギリギリまで高い鑑定価格を書いて返す・・・とか不正ギリギリのことをよくやる。
依頼元は大喜びだ。
なんたってバカ高い値段で堂々と売りつけることができるお墨付きをもらえたのだから。
こういう状況のことを利益相反という。
クリード(8983)などはこの件でやり過ぎで行政処分を受けている。日本レジデンシャル(8962)などは親会社の配下のやつから物件を取得しようとして、けどやっぱり止めることにして、止めたからといって違約金を払い、それで資産をすり減らすようなこともしている。
もちろん、どこもかしこもこんなクソ会社だらけではない。
プレミア(8956)のように株主総会でスポンサーから優先的に物件を取得してバランスを崩すことは絶対にしないと明言したところもあるし、日本ビルファンド(8951)のように何をしようが投資家から絶対の信頼を受けていて株価は高値を維持しつづけているところもある。
さて、ゲームファンドの話にもどろう。
仮に、なにかオトナの事情で売れないゲームを開発しなければならなくなったとしよう。
例えば大口の問屋さんが「あのゲームの続編つくってよ」と言ったら断れないとかあるかもしれない。
グループ内のアニメ部門とのタイアップで、どうしてもゲームを作らざるを得ないということもあるかもしれない。
けど、マーケティングやってみたら売れそうにもないことが予めわかってしまうかもしれない。
不況になっているとか、FFの発売日と重なりそうだとか、他の大型プロジェクトをかかえていてロクなメンバーを回せないとか、時期的な都合もあるかもしれない。
そういうとき、ゲーム会社は自分では開発リスクを負いたくない。
儲けは期待できないのだから、なんとか頭をひねってゲーム開発メンバーの維持費くらいは集めようとする。
そうだ!
ゲームファンドを立ち上げ、開発リスクは全部他人におしつけてやればいいじゃないか!
実はゲームファンドでの調達率を上げれば上げるほど、ゲーム会社にとってはゲームの売り上げがどうなろうと知ったこっちゃなくなる。
だから最初っから投資家をダマす目的で金を集めることも可能なのだ。
投資家もバカじゃない。そんなことがまかり通ってたまるものかとも思う。
しかし、ゲーム会社の会社が傾いているとき、そんなになりふりかまってはいられないのだ。
REITのときだって親会社がヤバいところほどムチャクチャしやがる率が高い。これは歴史が証明したことだ。
これからの世の中、ゲームファンドでこんな利益相反的なことにならなきゃいいんだけど・・・
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