教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

光の速さが遅すぎる!

2009-06-09 00:02:42 | 科学
光は真空中では1秒間に30万kmすすむ。
ふつうに暮らしているぶんには、30万kmだろうが無限大に速かろうがどーでもいいこった。
あえて言うなら、トップをねらえ!とかを見たときにウラシマ効果を意識するくらいかな。

しかし!

世の中には、光の速さが遅すぎるせいで苦労するひとたちも実際にいるのだ。



まずイチバン身近なところから。
NHKとかで海外ニュースをリアルタイムに放送するとき、特派員との会話でビミョーに食いつきが遅いのを見たことがないだろうか。
これは恐らく静止衛星を介して通信しているからだろう。
静止衛星の軌道は約3.6万km上空にある。
特派員と会話するために2往復すると約14万km分を移動することになり、0.5秒くらいの遅延が発生するように見える。
だから何だかへんな違和感がでてくる。



つぎに地球上でのはなし。
地球の裏側にあるサーバーをつかってネトゲをしたとしよう。
そこまで地表にそってまっすぐにテフロン皮膜の有線ケーブルをはわせて通信したとしよう。
往復すると4万kmだ。
そこまで光が伝播するのに往復で0.2秒くらい時間がかかる。
日本~北アメリカ間の通信でも0.1秒以上はでるだろう。
ネトゲのジャンルにもよるが、格ゲーやシューティングをやるとしたら致命的に遅い。



つぎにPCのなかのはなし。
30cm角のPCのなかを伝播するのに、光の速さでいけば0.000000001秒しかかからない。
ところがこれは無視できるほど十分小さいわけではない。
むしろ大きすぎるのだ。

なぜなら!

バスが3GHzで動くCPUがあったとする。
そのバスを比誘電率が4のプリント基板中に配線したとしよう。
そしてそのバスにじゃんじゃんデータをのせる。
3GHzだから1秒間に3000000000回データをのせる。
そうすると、なんと5cm先に1回前のデータがまだいる。
バスの伝送路の設計をちゃんと考えずにバカチョンで作ると、前に送ったデータと今送ったデータがグジャクジャに干渉して何がなんだかわからなくなるのだ。

そうならないように、高速なチップをのせるプリント基板の設計者は、光の速さが遅すぎるのにブーたれながら、伝送線路理論をもちだしてひーこら言いながら設計している。
めちゃおおざっぱに言うと、1波長の20分の1くらいになると伝送線路理論をもちださないといけなくなるので、さっきの例だと配線が2.5ミリ以上だったらバカチョンで作るとアウト。

PCのマザーボードを見てみよう。
ところどころに蛇がのたくったようなウネウネしたラインがあるはずだ。
これはバスの信号が伝播する時間をピコ秒オーダーで合わせるために、わざわざ遠回りして配線しているのだ。
だから、これを見たカンペキ主義者の人が
「なんだこのムダな設計は!?」
とでもいいながらジャンパで最短配線しでもしたら、タイミングが合わなくなってたぶん誤動作する。



ちなみに、光の速さが有限なのは無線屋さんにとってはアタリマエだ。
それをわかっていないとアンテナやフィルタを設計することさえできないし。
魚の骨みたいなTVのアンテナなんかも、光の速さが違う別の世界へ持ってったら、こっちの世界と同じ周波数では動作しなくなる。



伝送線路理論というのは光の速さが遅すぎて光の速さを考慮しなくてはならなくなって初めて必要なものになる。
だから、たとえば光の速さがいまの1万倍速ければ、伝送線路理論はいまだに日の目をみることなく、「理論的にはありえるけどねぇ・・・」という程度のタダの数字遊びにすぎないなま終わってしまっていたかもしれない。

逆に、光の速さがいまの1万倍遅ければ、光の速さはマッハ100を切るので、光の速さが有限なのをもっとカンタンに見ることができたに違いない。
たぶんアメリカまで飛行機で行ったら秒の単位で時計がずれているのがわかると思う。
そして相対性理論の実験的理解も深まり、いまごろは光の速さを打破するようなワープ理論的なものも発明されていたかもしれない。
きっと、トップをねらえ!のタンホイザーのとっちゃんは実在しただろう。

どっちがいいとも言いがたいけど。


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