やっとカタツムリに名前をつけた。
つのながくん と ゆっくりちゃん。
つのながくんはもう1匹より角が長くてよく動きまわる。
ゆっくりちゃんは先に飼い出した方で最初から動きが鈍い。そして つのながくんが来てから卵を産んだ。
実はあの産卵の後、ずっと心配事があった。
ゆっくりちゃんは、石によじ登って産卵した格好のまま1ミリも動かないのだ。
「どうしちゃったのかな。」
何度も覗き込む息子。
卵を産んで息絶えてしまったのだろうか。
でも卵の数が微妙に増えている気もする。
「まだ 産んでいるのかな。」
殻からしっぽが出た状態なので、乾かないように霧吹きで湿らせてみたりした。
産卵し始めてから3日目の午後、ようやくコトリと音をたてて動き出した。
息子も一安心。
「ゆっくり産んでいたんだね。」
お疲れ様、と栄養価の高いバナナをプレゼントした。
卵のために もうひとつ飼育ケースを買ってあったので、やっと移すことができる。
慎重に卵を移しかえる。
卵は思ったより硬く、ザララッとビーズのネックレスのように繋がっていた。
そして カタツムリが入っている方の飼育ケースの汚れがずっと気になっていたので、掃除もすることにした。
割り箸とキッチンペーパーを使って綺麗に拭いていく。
ゆっくりちゃんはのんびりとケースの側面を這っている。
つのながくんはレタスと石の間に埋もれて ずっとお昼寝中のようだ。
「ごめんね、ちょっとどいてね~。」
レタスをどけ 割り箸で つのながくんを挟んで、そっと持ち上げた。
すると ーー
なんと、もう1匹の つのながくんも卵を産んでいた。
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